オフィスレイアウトのデザインは千差万別です。テーマカラーにする色やデスクの配置、壁や天井の仕上げなど、どこか一つを変えるだけでもオフィスの雰囲気は一変します。そのため、会社にとって少しでもプラスとなるオフィスレイアウトを実現するには、レイアウトの基本構造を理解する必要があります。
この記事ではオフィスレイアウトの基本となる、ゾーニングとデスクレイアウトについて解説します。
目次
1、オフィスレイアウトの基本は「ゾーニング」から
1-1社員一人当たりの面積を考える
1-2動線をシンプルにする
1-3セキュリティも意識する
2、オフィスのデスクレイアウトの基本!レイアウトの種類と距離感をチェック
2-1デスクレイアウトの種類と特徴
2-2デスク間や壁との距離を適正にする
3、まとめ
オフィスレイアウトの基本中の基本と言えるのが「ゾーニング」です。ゾーニングとはゾーンを決めること、つまりオフィスにおける執務スペースや通路などの配置を考えることです。
何もない大きなスペースをイメージしてみてください。そのスペースにこれからエントランスや客間・打ち合わせスペース・執務スペース・カフェカウンターなどを設置していきます。普通はエントランスのすぐ前にカフェカウンターを配置することはありません。クライアントを通す通路や客間を配置します。
ゾーニングをする場合は、各部署や休憩室・会議スペースを適当に配置するのではなく、社員の動きや見た目の良さを考えた配置が必要です。では具体的に、どんなポイントが基本になるか見ていきましょう。
■1-1社員一人当たりの面積を考える
まず基本となるのは、社員一人あたりのスペースを算出することです。十分なスペースがなければ快適さが失われ、無駄な動きが生まれたり、社員が窮屈な思いをすることになります。
一般的には、社員一人当たりのスペースは「ワークスペースの面積÷社員数」で計算します。
デスク1台の寸法は「幅1000×1400mm、奥行600×800mm」が一般的です。
社員一人あたりのスペースの目安は3坪~4坪が一般的ですが、中には2坪台であったり、空間を広く活用したいという会社では5坪以上というところもあります。
【一般的な一人あたりのスペース】
・一人当たり3坪~4坪×社員数=総面積
(社員数が30名のオフォスでは、総面積が90坪~120坪)
社員一人当たりの作業スペースが3坪だと、ある程度の作業スペースは確保できます。4坪になるとゆとりができ、総面積が広がった分を会議室やエントランスを広げたり、増やしたりすることも可能になります。(これらの数字は業態やオフィスの使い方によっては、当然異なります。あくまで一般的な目安としての数字になります。)
■1-2動線をシンプルにする
動線もゾーニングを考える上での基本ポイントです。動線とは、簡単に言えば社員たちがオフィス内で動き回る通路のことです。例えば以下のようなルートが動線となります。
・エントランスから入ってから自分のデスクにつくまでのルート
・関連する部署に行くときのルート
・打ち合わせスペースとデスクとのルート
・休憩場所と執務スペースとのルート
動線は社員たちが一日中歩く場所なので、ある程度ゆとりのある幅が確保されていなければなりません。大勢の社員が一度に通ることが考えられるのであれば、メインの動線として十分なスペースを確保する必要があります。
動線は可能な限りシンプルにするのがポイントです。ジグザグに何度も動くような移動の仕方は、社員にとってストレスになりますし、無駄な動きを生みます。できるだけ最短距離で目的の場所に到達できること、回遊できるようにして行き止まりのルートを作らないことが大事です。
■1-3セキュリティも意識する
ゾーニングにはセキュリティも基本項目となります。オフィスの中には社員だけが入れる場所、クライアントも入れる場所を明確にしたスペース配置が求められます。不特定多数の訪問者やクライアントが入れる場所には、特にセキュリティ面をしっかりと配慮する必要があります。当然、重要書類が保管されているスペースをエントランス近くに持ってくることはないでしょう。
また人為的な意味だけでなく、地震や火災などの災害が発生することも踏まえたゾーニングも必要です。社員たちが速やかに対比行動を取れるように動線を確保しましょう。当たり前のことですが、建築基準法や消防法に準じたレイアウトを施工しなければなりません。
執務スペースには、デスクが多数配置されることになりますが、デスクの配置の仕方も労働意欲や生産性の向上を図る上で大切なポイントになります。ここでは基本的なデスクレイアウトの種類や特徴、意識すべき距離感について解説します。
■2-1デスクレイアウトの種類と特徴
デスクレイアウトの方法は様々あります。日本では昔から島型オフィスが好まれてきました。複数のデスクを向かい合わせにして、社員同士が相手の顔を見えるようにするスタイルです。このパターンでは、デスクサイドか少し離れたところに上司の席があり、全体を見渡せるような配置になっています。しかし最近では、職種や社員の動きに合わせた特徴を持つデスクレイアウトが編み出されています。
・同向型
名前の通り、同じ方向を向いて仕事するレイアウトです。スクール式とも呼ばれますが、対向式と違って互いに視線が交差せず、気まずくなることもありません。このレイアウトは金融機関や教育機関に多いスタイルです。
このタイプのメリットは、一定方向を向くためにプライバシーがある程度確保されることや、その気になれば前後左右のスタッフともすぐにコミュニケーションがとれる点です。
・背面式
相手に対して背中を向けるように座るスタイルです。前には壁面やパーティション、あるいは何もない空間がくるイメージです。同行型と同じく、周りの社員と視線が合わないというメリットがあります。また、壁面に向かって仕事する場合、中央のスペースを大きく取れるという特徴もあります。
このタイプのメリットはプライバシーが確保されやすいこと、自分の仕事に集中しやすいことなどが挙げられます。
・クラスター型
こちらは欧米のオフィスで多いスタイルです。左右対称型とも呼ばれますが、このタイプだと、中央にパーティションなどを配置して、その両側に向きの異なるデスクを縦一列に配置します。パーティションを挟んで左の列は一方の向き、右の列を反対の向きにします。パーティションの高さは状況に応じて変更できます。高くすると個室感が出て、低いと周りとのコミュニケーションが容易になります。
このタイプのメリットは、背面型のようにプライバシー感があり、同時に一人一人に十分な作業スペースが割り当てられるという点です。
・フリーアドレス式
最近人気が高いレイアウトです。特定のデスクが割り当てられず、空いている席にどこでも座れるというタイプのレイアウトです。パソコンや資料などは個人個人で管理して、その都度必要に応じて座り、作業します。
このタイプのメリットは、部署間やプロジェクト間を超えた交流が促進されること、専用スペースがないので打ち合わせや通常業務の場所を選ばないことなどが挙げられます。
■2-2デスク間や壁との距離を適正にする
窮屈なスペースでは仕事ははかどりません。社員それぞれには十分な作業スペースと、快適な空間が与えられる必要があります。先述のように、一人ひとりの執務に必要なスペースの目安としては約3坪~4坪程ですが、もう少し詳しいスペース取りについて説明します。
・通路の寸法
オフィスの通路幅の基準は消防法で「120cm以上を基準とする」となっています。これは人がすれ違うための最低の通路幅を意味しています。また、人が行き交うオフィス内で片側通行を想定した動線はあまりおすすめしません。
・デスク間の寸法
背中合わせに座っている社員2人の間には、160センチ以上の幅があると快適です。オフィスが手狭な場合はもう少し狭めることができますが、120センチは割らないようにしましょう。
・デスクと壁面との距離
背中に壁面が来る場合は、120センチ以上を確保してください。180センチ以上あるとかなりゆったりした雰囲気になります。ただし役員や上司など、あまり背面を取られたくないデスクについては、逆に120センチを割って60センチほどにすることでセキュリティを確保しやすくなります。
・デスクサイドとデスクサイドの距離
島型レイアウトのように、デスクグループが複数ある場合は、一つのグループのデスクサイドと別のグループのデスクサイドが、60センチ~90センチほど取ると良いです。もしデスクサイドがメインやサブの動線になる場合は、120センチ以上は取るようにしましょう。
オフィスレイアウトの基本は、ゾーニングとデスクレイアウトです。ゾーニングで各部署やエントランス・客間・動線など、おおまかなスペースの配置を考え、デスクレイアウトで社員の働きやすさやプライバシーを確保します。オフィスレイアウトを考える時は、おしゃれなデザインを重視したくなることもあるでしょう。しかしまずは、社員が動きやすく働きやすい機能性を優先する必要があります。
これからオフィスレイアウトの変更をお考えであれば、まずはレイアウトの基本にそって、イメージしてみることから始めて見てはいかがでしょうか?
その上で、業者へ依頼するときは弊社「WORK KIT」も検討の一つに入れて頂けると幸いです。