近年、非常におしゃれなオフィスが増えてきていて、テレビなどのメディアでもレイアウトが取り上げられることが多くなっています。おしゃれなオフィスは、社員のモチベーションをあげることに貢献しますが、おしゃれ要素の他にも重要視する大事なポイントがあります。それは「機能的である」ことです。
この記事では、オフィスレイアウトをさらに機能性を持たせるための5つの要素を解説します。
目次
1、オフィスレイアウトを考える際のポイント
1-1コンセプトを決める
1-2業務内容によって最適なレイアウトを適用する
2、機能的なオフィスレイアウトの5つの要素を解説
2-1適切な間を設けている
2-2関連度が高い部署が近くに配置されている
2-3職種に向いたデスク配列がある
2-4従業員の意見を尊重している
2-5動線がシンプル
3、まとめ
■1-1コンセプトを決める
コンセプトはオフィスレイアウトを決める上で軸となる重要な部分です。新しい内装やレイアウトによって何を実現したいのか・どんな働き方を実現させたいのか、目的を整理しましょう。
一人一人が集中しやすいオフィスにするのか、コミュニケーションが行いやすい開放的なデザインにするのか、オフィス全体で機能性向上を意識したレイアウトにするのか、コンセプトによってその後の方向性が大きく変わります。
■1-2業務内容によって最適なレイアウトを適用する
同じ企業・オフィス内であっても部署やチームにより業務内容は異なります。営業部や企画部などコミュニケーションが活発に行われる部署もあれば、経理部のように静かな空間で集中して作業をする部署もあります。
それぞれの業務内容に適したレイアウトにすることで、個々の生産性向上につなげることができます。
ある不動産総合研究所が行った調査によると、2016~2017年の間に新しいオフィスに入居した企業に、移転や入居の理由を聞いたところ、以下のような結果になりました。
1位:人員増で手狭になった(41.7%)
2位:従業員のモチベーションを上げるため(28.6%)
3位:業務効率化・生産性向上のため(26.7%)
参照:ザイマックス不動産総合研究所
このアンケートによると、2位の従業員のモチベーションと同じほど、業務効率化や生産性アップが重要視されているのが分かります。業務効率化に関係する要素は様々にありますが、オフィスの機能性を高めることはその一環です。同じ業務をこなすにしても、オフィスでの動きや他社員とのコミュニケーション・スケジュール管理・デスクワークはレイアウトに大きく影響されるものです。
機能的なオフィスにするにはどのような要素を意識すべきか、5つのポイントを取り上げましょう。
■2-1適切な間を設けている
快適で機能的なオフィスには「適度な間」が確保されています。食材でいっぱいになった台所をイメージしてみてください。料理を作ろうにも、物が乱雑に置かれていれば作業はスムーズに進みません。それと同じように、オフィスレイアウトを機能的にするには、ワークスペースと何もない空間との適度なスペース確保が求められます。
ワークスペースをA、何も置かないスペースをBとした場合、両者の理想的な比率はだいたい「A:B=3:7」です。つまりオフィス全体でワークスペースになるのが3割、何もない空間が7割ということです。7割を多少割り込むくらいなら良いですが、これよりも大幅に下回ると従業員の快適指数は下がります。
狭いオフィスなど、この比率を維持するのが現状難しい場合は、省スペース対応のオフィス家具などを取り入れるのも良いでしょう。
ワークスペースを設ける際には、壁面や他のワークスペースとの距離を適切に取ることも大事です。機能的な寸法の例をいくつか挙げてみましょう。
・デスクと壁面の距離:1200mm〜
・デスク間(背中合わせに座る場合):1600mm〜
・デスクサイド間(一つの島と別の島との距離):1200mm前後
従業員数やオフィスの広さによって多少変動しますが、デスク間や壁面との距離感を上記のように保つなら快適な動きができます。
■2-2関連度が高い部署が近くに配置されている
ある程度規模が大きいオフィスになると、様々な部署が配置されます。場合によっては複数フロアに展開することにもなるでしょう。各部署のレイアウトを考える時は、関連性が高い部署をできるだけ隣接させることがポイントです。
「企業実務」によると、機能的なオフィスは「密接な関係をもつ部門・エリアを隣接させること」で業務の効率化を図れます。例えば以下のような相関図を作ると、機能的なレイアウトを意識しやすくなります。
参照:企業実務
会社によって部署の数や種類、関連性は変わってきますが、通常業務を果たすうえで、より接点がある部署が近くにあると、無駄な移動を軽減できます。
■2-3職種に向いたデスク配列がある
デスク配列には以下のような様々なパターンがあります。
・対向式
複数のデスクが向かい合わせになるように配置します。グループワークが多い職種や事務職などに向いています。
・背面式
横並びのデスクは同じ方向を向いていて、背面のデスクの従業員とは背中合わせになる配置です。振り向くと他社員とコミュニケーションがすぐに取れるので、企画系や開発系など共同作業が多い職種に向いています。
・スクール式
学校の教室のように、全員が同じ方向を向く配置です。電話オペレーター業務や金融機関向きです。
・フリーアドレス式
特定のデスクを割り当てず、空いている場所に座れる配置です。外回りが多い部署や社内のコミュニケーションを活性化させたい会社向きです。
・ブース式
デスク周りにパーティションなどが置かれるため、他社員とは隔離度が大きく、一人で集中して作業をこなしやすい配置です。プログラマーやクリエイティブな職種向きです。
・クロス型
縦並びと横並びのデスクの島を交差する形で配置する方式です。これにより、動線がスムーズになりグループワークやチームコラボレーションが容易になります。一方で、集中力を保ちにくい配置でもあります。
・リンク式(ブーメラン型)
リンク式デスク配列は、ブーメランのように曲がりくねった形状でデスクを配置する方式です。作業スペースを広くとれ、デスクに複数のモニターを配置することも可能です。向い合っていても、目線が気になりにくくコミュニケーションもとりやすい配置です。
・ベンゼン型
ベンゼン型デスク配列は、ベンゼン分子の構造に似た形状でデスクを配置する方式です。背中合わせで座るため、作業に集中しやすく、中央にメンバーが集まって座っているためコミュニケーションもとりやすい配置です。
・左右対抗式
左右対向式デスク配列は、対向する形でデスクを配置する方式です。これにより、個々の作業スペースを確保できます。個人で集中して行う業務が多い部署に向いている配置です。
これらはほんの一例ですが、職種や労働内容によって機能的なレイアウトになるかどうかが変わります。グループワークが多いなら対向式が機能的ですし、一人ひとりの裁量で業務をこなすことが多いならブース式が機能的です。営業職など外回りが多く社内にいないことが多いなら、フリーアドレス式が機能的でしょう。
■2-4従業員の意見を尊重している
従業員の意見をしっかりレイアウト案に取り入れることはある意味、機能的なオフィスを作るうえで最重要項目と言えます。何と言ってもオフィスで実際に働くのは社員たちなので、普段感じている不満点や改善の要望などを聞くなら、満足度の高いオフィス環境が出来上がるはずです。
例えば、従業員は以下のような要望を持っているかもしれません。
・「観葉植物を取り入れてほしい」
・「立っても座っても作業ができる昇降式デスクにしてほしい」
・「通路の幅を十分取ってほしい」
・「パーティションを透明にしてほしい」
・「フロアマットを清潔感あるものにしてほしい」
・「照明をもっと落ち着いたおしゃれなものにしてほしい」
・「カフェスペースを充実してほしい」
このような要望すべてをかなえられるかどうかは別として、オフィスでの労働意欲や生産性をアップさせるためには、そこに身を置く社員の声を重要視しなければなりません。もちろん、社員たちは内装のレイアウトやデザインのプロではないので、最終的にはプロの業者に任せることになります。とはいえ、事前に社員の声を聞くなら、おしゃれや機能性がまんべんなく反映されやすくなります。
注意点としては、男性社員だけの声を聞くとか、中堅社員の声だけを聞くといったことはしないことが大事です。おしゃれや機能性に関しては、男性と女性で、また年代によって変わるものだからです。社員全体の声をまとめることがポイントです。
■2-5動線がシンプル
機能的なオフィスレイアウトは「動線」が強く意識されています。動線とは、オフィス内で社員たちが自然と動きまわるルートのことです。動線は主に「メインルート」と「サブルート」に大別できます。メインルートは大半の社員が動くルートで、サブルートは特定の部署の人間や、特定の目的を持った社員が動くルートです。
機能的なレイアウトのオフィスにするには、できるだけ動線をシンプルにすることが重要です。オフィスの入り口から入って、目的の場所や自分のデスクにまっすぐ到達できたり、できるだけ曲がることが少ない動きでたどりつける動線を確保することが基本です。
基本となる動線は以下の3つのパターンに集約されます。
参照:カグクロ
動線を意識せずに一方通行のルートを作ると、無駄な動きが発生します。イメージとしては「回遊できる」ような動線づくりが望ましいといえます。
なお動線については、避難通路や建築基準法なども意識する必要があります。
機能的なオフィスレイアウトを生み出すには、最低でも紹介した5つの要素を踏まえる必要があります。職種や関連部署を考慮して、適切なデスク配列や間を確保することが重要です。また、実際にオフィスで業務をこなす従業員たちの「生の声」を聞いて、それをレイアウト案にできるだけ取り入れることも大切です。
とはいえ、社内だけで機能的なオフィスレイアウトを実践するのは簡単ではありません。やはり、実績やノウハウがあるプロに依頼する方が無難です。
機能的かつ、おしゃれなオフィスをご希望なら「WORK KIT」に一度、お問い合わせ下さい。
「WORK KIT」の大きな特徴は「フリーランスのデザイナーを中心としたレイアウト設計をする」ことです。これによって多彩なアイデアが各方面から集まるため、職種や業種にとらわれない斬新なアイデアが生まれやすくなります。この記事で紹介した要素もしっかり踏襲した、機能的なオフィスデザインを考案いたします。