執務室のレイアウト6パターン!レイアウトを考える際のポイントも解説

オフィスには応接室をはじめさまざまな部屋が存在しますが、そのなかのひとつに執務室があります。しかし、執務室という名前を聞いても、具体的に何をするための部屋なのか、またどのように活用するのかわからない方もいるでしょう。
この記事では、執務室の役割やレイアウトの種類などについて紹介します。また、執務室を作るにあたって、どのような点に気を配りながらデザインを考えればよいかも解説するため、ぜひ参考にしてください。
執務室とは
執務室とは、従業員が日常的に業務を行うための空間、とくに会議室や応接室などの個室を除いた、デスクやパソコン、オフィス機器などが配置されたオフィス内の広いエリアを指します。
オフィスの大部分を占めており、勤務している従業員は1日の勤務時間のうち、ほとんどを執務室で過ごします。
しかし、近年はリモートワークが一般的になった影響もあり、執務室で過ごす従業員の数もやや減少傾向にあります。そのため、それまでの執務室の役割を見直し、より従業員が過ごしやすい、あるいは行きたくなるような空間に仕上げることが求められています。
執務室と事務室との違い
執務室と混同されやすい部屋として「事務室」が挙げられます。厳密な違いはないとされることも多いですが、一般的には「事務室」が事務作業に特化したニュアンスを持つのに対し、「執務室」は日常的な業務全般を行う、より多目的で柔軟な空間を指す傾向があります。
実際には執務室で事務作業を行ったり、事務室で日常的な業務を行うことも珍しくないため、最近ではその区分は曖昧になりつつあります。オフィスの移転やデザイン設計を行っている業者も、「執務室」で統一して表現することが一般的です。
執務室の役割

執務室は、日常的な業務のために使用される部屋です。しかし、役割が漠然としすぎているため、使用場面がはっきりと思い浮かばない方もいるでしょう。以下では、具体的な執務室の役割について解説します。
ミーティングスペース
代表的な執務室の役割として、ミーティングスペースが挙げられます。ミーティングスペースは、その名のとおりミーティングを行うためのスペースのことです。
ミーティングは、少人数であればとくに開催場所は問われません。しかし、参加人数が増えると、ミーティングをする場所は限られてしまいます。
あらかじめ広めのスペースを確保した執務室をミーティングルームとして活用することで、急な打ち合わせにも柔軟に対応できます。ホワイトボードやモニターなどの会議ツールを設置しておけば、スムーズな会議運営が可能です。
Web会議スペース
執務室は、Web会議スペースとしても活躍してくれます。Web会議とは、チャットアプリやツールを用いて行われる、オンライン上の会議のことです。
遠隔地にいても行えるため、時間や場所の融通を利かせやすい点がメリットとして挙げられます。そのため、執務室をWeb会議スペースとして利用するケースも少なくありません。なかには、専用ブースを設置して快適度を高めている企業もあります。
リフレッシュスペース
近年は従業員の労働環境を充実させるために、リフレッシュスペースを設ける企業も増えています。しかし、設置を決定したのはよいものの、リフレッシュスペースを設置するためのスペースがない場合も珍しくありません。
その場合は、執務室にリフレッシュスペースを設けることがあります。リフレッシュスペースはパーテーションやカーテンなどで仕切り、必要に応じてコーヒーメーカーやソファなどを用意すると、より快適に過ごせるようになるでしょう。
ラウンジスペース
ラウンジスペースとは、通常業務のみならず、ランチやリフレッシュなどの目的で利用できる、多目的スペースのことです。全従業員が利用できるようにすれば、自然とコミュニケーションを取る機会が増え、部署を超えた従業員同士の交流の活性化を目指せます。
また、基本的に従業員しか利用しないため、情報漏洩を防げる点もラウンジスペースの強みです。
作業スペース
執務室は、作業スペースとしても活躍してくれます。周囲の音や視線を遮断するようなレイアウトにすれば、集中して作業に取り組みやすいです。フリーアドレスを採用しているタイプのオフィスの場合、積極的に採用を検討しましょう。
また、業務内容や職種に応じて、適切な作業スペースを確保したうえでレイアウトを決定することが重要です。たとえば、作業スペースの具体的な広さは以下のとおりです。
- 営業・内勤職:幅1200mm×奥行700mm程度
- 技術・専門職:幅1400~1600mm×奥行700mm程度
執務室のレイアウト

執務室を設計する際、どのようなレイアウトにすべきか悩む方は少なくありません。執務室のレイアウトには、一定のパターンや定番のスタイルが存在しており、参考にすることでスムーズに検討を進めることが可能です。
ここでは、具体的な執務室のレイアウトのテンプレートや特徴について解説します。
1. 同向型レイアウト
同向型レイアウトとは、すべてのデスクを同じ方向に向けて設置するレイアウトのことです。このレイアウトのメリットとして、個人業務への集中のしやすさが挙げられます。
これは、従業員同士が対面しないため、視線や会話による干渉が少なく、業務に専念しやすくなるためです。コールセンターや銀行の窓口などで採用されていますが、スペース効率が悪くなってしまう点に注意しましょう。
また、部署全体のコミュニケーションが取りにくくなるため、従業員同士の連携が重要な部署にはあまり向きません。
2. 対向型レイアウト
対向型レイアウトとは、デスクを向かい合わせに配置するレイアウトのことです。オーソドックスなデスクの配置スタイルのひとつであり、さまざまな業種・形態で採用されています。コミュニケーションの取りやすさが特徴で、チーム業務や従業員同士のやり取りが多い場合におすすめです。
ただし、向かい側に座っている従業員の視線が気になってしまい、集中力が低下するリスクがあります。その場合は、パーテーションを設けて視線を切るような工夫が必要です。
3. 背面型レイアウト
背面型レイアウトは、デスクを背中合わせに配置するレイアウトのことです。プライバシー性を確保しつつ、集中力も保ちやすいため、エンジニアやデザイナーなどの集中力や創造力を要する業務に適しています。
ただし、上司の目が行き届きにくく、部下に対するマネジメントを強化したいケースには向いていません。また、背後から業務内容が見えてしまうため、機密保持が重要な業務を行っているオフィスは導入を避けた方がよいでしょう。
4. クロス型レイアウト
クロス型レイアウトとは、デスクを縦横に交差して配置するレイアウトです。コミュニケーションの活発化が期待できるスタイルで、協力が必要なプロジェクトや、短期間の作業をする場合に適しています。
なお、スペースの制約が大きい点がデメリットで、広いオフィスでないと実現するのが困難です。また、プライバシーを確保しにくく、集中力が求められる作業をするときは、ほかのレイアウトを採用した方がよいでしょう。
5. ブーメラン型レイアウト
ブーメラン型レイアウトとは、通常のデスクではなく120度の角度のブーメラン型デスクを、3台組み合わせて配置するレイアウトのことです。従業員1人あたりの作業面積が広い点が特徴で、デュアルモニターを配置しても狭さを感じません。
また、パーテーションを採用すれば、プライバシーも確保できます。ただし、スペース効率がよいとは言えないため、導入する際はよく検討しましょう。
6. ブース型レイアウト
ブース型レイアウトとは、パネルやパーテーションで個人スペースを構成するタイプのレイアウトです。仕事をするにあたって、周囲の環境が気になってしまい、集中力が途切れてしまうことがあります。
ブース型の執務室なら、周囲の視線や雑音が気になりません。そのため、業務に集中して取り組める環境を確保できます。また、サイズによっては、小規模なカンファレンスの実施も可能です。
執務室のデザインのポイント

執務室を新しく設けるにあたって、どのようなデザインにするか悩む方は少なくないでしょう。ここでは、デザインを考えるにあたって押さえるべきポイントについて解説します。
コンセプトを決める
デザインのポイントのひとつとしてコンセプト、つまりテーマをあらかじめ決めておくことが挙げられます。コンセプトを設定した執務室は、デザインの方針がブレにくくなるだけでなく、従業員や来訪者に対して企業理念をアピールすることが可能です。
また、企業理念に共感した取引先と商談をスムーズに進めたり、ブランディングに成功したりする効果も期待できるでしょう。
動線を意識する
デザインを考えるにあたって、実用性も重視しましょう。とくに意識すべきなのは、動線です。
動線とは、日常生活や仕事における人の移動経路を線で表現したものを指します。効率的な動線を実現できれば、業務効率を向上させることが可能です。
一方で、動線に問題があると、作業効率が低下してしまい、従業員のストレスの原因になりかねません。効率のよい動線を実現するポイントとして、通路を広げる、移動経路にものを置かないなどが挙げられます。
機能性を意識する
執務室は日常業務をはじめ、さまざまな作業を行う空間です。そのため、デザインを検討する際には見た目だけでなく、機能性にも十分配慮することが重要です。
機能性が不足していると、業務効率の低下を招く恐れがあります。まずは現在の業務内容を具体的に洗い出し、それぞれの業務が円滑に進むためにはどのような環境が適しているかを整理しましょう。
業務フローに合ったレイアウトや設備を取り入れることが、生産性向上につながります。
デザイン性を意識する
デザイン性に優れた執務室は、従業員のモチベーションに好影響を与えられます。実用性や機能性を重視しすぎると、無機質で冷たい印象の空間になりがちですが、工夫次第で温かみや安らぎを感じられる環境に変えることが可能です。
たとえば、観葉植物などの自然要素を適度に取り入れることで、視覚的にも心地よい雰囲気を演出できます。デザインは空間全体の印象を左右するため「どのような印象を与えたいか」を明確にしたうえでコンセプトを決定しましょう。
まとめ

執務室のレイアウトやデザインは、集中力の持続やコミュニケーションの質に大きく影響します。業務内容や働き方に合わせて、どのような機能を持たせるべきかを明確にし、従業員が快適に働ける空間を目指して設計することが大切です。
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