オフィス移転のコンサルとは?業務内容や依頼するメリット・デメリットを解説

オフィスづくりのコツ

オフィスの移転は、単に場所を変えるだけの作業ではありません。企業の成長や事業の変化にあわせて、組織体制や働き方にフィットしたオフィス空間を再設計する絶好のチャンスでもあります。

とはいえ、オフィス移転は頻繁に経験するものではないため、社内に十分なノウハウがなく、進め方に悩む方も多いのではないでしょうか。

本記事では、そんなときに頼れる「オフィス移転コンサルタント」の具体的な業務内容や、依頼する際のメリット・デメリットを詳しく解説します。また、オフィス移転の流れについても紹介するので、オフィス移転をご検討の方は参考にしてください。

オフィス移転のコンサルとは?

オフィス移転コンサルとは、企業が円滑にオフィス移転を進められるよう、計画立案から実施までをトータルでサポートしてくれる外部の専門家です。

オフィス移転には、物件選定からレイアウト設計、内装工事、引っ越し作業に至るまで、複数の工程が関係し、さまざまな業者との調整が必要となります。こうした複雑なプロジェクトを、社内の限られたリソースだけで対応するのは大きな負担となることも少なくありません。

コンサルを担うのは、不動産会社、設計事務所、内装会社などさまざまです。それぞれ得意分野やサービス内容が異なるため、自社のニーズに合ったパートナーを見極めることが大切です。

オフィス移転コンサルの業務内容

オフィス移転コンサルは、単なるアドバイザーではなく、移転プロジェクト全体を成功に導くための実務的な支援を行います。ここでは、主にどのような業務を担当しているのかを紹介します。

オフィスの課題分析

オフィス移転コンサルは、移転プロジェクトの初期段階で現オフィスの課題を客観的に洗い出し、整理するところからサポートを始めます。業務効率の低下を招く原因や、空間の使いにくさ、社員の働きづらさなど、日常業務で支障となっているポイントを明確にし、移転の目的や優先順位を固めるための土台をつくります。

この課題分析では、従業員へのヒアリングや業務フローの確認を通じて、根本的な構造的課題にまで踏み込んでいくのが特徴です。さらに、企業の経営戦略や将来的な成長計画と照らし合わせながら、新しいオフィスに求められる機能や空間の方向性を導き出します。

移転のプランニング

移転先の選定にとどまらず、事業拡大や組織の成長も見据えた、長期的な視点に立った移転計画を描くのも、オフィス移転コンサルの重要な役割です。

移転のプランニングでは、社員の働きやすさ向上やコスト削減、ブランド強化など、企業が移転で実現したい目的を明確にすることから始まります。目的に応じて、必要なオフィスの広さや機能、移転にかかる予算、スケジュールなどを総合的に検討し、現実的かつ効果的なプランへと落とし込んでいきます。

物件の調査・契約サポート

オフィス移転コンサルは、企業の条件に合致する最適な物件の選定から、契約手続きに至るまでの工程をトータルでサポートします。

物件探しでは、立地・広さ・賃料といった基本的な条件に加え、従業員の通勤しやすさや周辺環境、将来の事業拡大への対応力など、さまざまな視点を踏まえて候補を精査します。

さらに、また、内覧の手配や貸主との交渉、契約書の内容確認といった専門知識が求められる手続きも、企業の代理として対応してくれるため、安心して任せられます。

新オフィスのレイアウトやデザイン設計

企業の働き方や組織文化に合わせたレイアウトと内装デザインを提案し、機能性と快適性を兼ね備えた空間づくりを支援します。日々の働きやすさを高めることで、生産性や社員満足度の向上につながるでしょう。

また、企業のブランドや理念を内装に取り入れることで、オフィス自体が自社の価値観を伝える場となります。訪問者に与える印象の向上や、採用・定着への効果も期待できるため、デザイン面の工夫は企業戦略の一部としてとらえることが大切です。

内装工事の手配

内装をはじめとした各種施工を一括で管理し、現場の混乱を最小限に抑えます。新オフィスの準備では、内装だけでなく、電気や空調、通信、消防設備など複数の工種が同時並行で進行します。

担当コンサルタントは、施工業者との価格調整や工程の進行管理、仕上がりのチェックなどを通じて、予算内で質の高い仕上がりを目指します。専門的な知見をもとに、過不足のない工事内容を見極めることで、クオリティの高いオフィスづくりが実現しやすくなるでしょう。

また、法律面でのチェックや安全対策も丁寧に行うため、安心して移転準備を進められる環境をつくります。

引越し・システム導入支援

引っ越し作業とIT環境の整備を一括してサポートし、業務の停滞を最小限に抑えます。

移転にともなう荷物の移動については、信頼性の高い業者を選定し、見積もりの取得からスケジュールの調整、梱包・搬出・搬入までをトータルで支援します。

加えて、新オフィスでスムーズに業務を再開できるよう、ネットワーク環境の整備や電話・PCの設定、セキュリティ対策などのITまわりも支援対象です。技術面の準備も含めてコンサルタントが関与することで、移転直後から通常業務に集中できる体制を整えられます。

移転先でのトラブル相談

オフィス移転後に起こりうるトラブルにも、コンサルタントが継続的に対応してくれるため、安心して業務を続けられる環境を整えられます。

新しいオフィスでは、設備の不具合やレイアウト上の使いづらさ、ネットワーク設定のミスなど、予期せぬ問題が発生する可能性も少なくありません。そうしたトラブルに対し、専用の相談窓口を通じて迅速に対応し、業務への影響を最小限に抑えます。

さらに、原因の特定や再発防止策の提案を行い、長期的に快適で安定したオフィス環境づくりをサポートしてくれます。

こうした継続的な支援により、社内のコミュニケーションや働きやすさの改善にもつながります。

こちらの記事では、社内コミュニケーションで得られるメリットについて解説しています。
オフィスデザインによる成功事例も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

オフィス移転コンサルを依頼するメリット

ここでは、オフィス移転コンサルを活用することで得られる具体的なメリットを紹介します。

コストの削減が期待できる

オフィス移転コンサルに依頼することで、コストの最適化が期待できます。

移転には内装、引っ越し、ITインフラなど多くの業者が関与します。コンサルタントは、豊富なネットワークを活かし、信頼できる業者を比較・選定してくれます。価格、工期、品質、対応力といった複数の観点から総合的に判断できるため、コストパフォーマンスの高い選択が可能になるでしょう。

オフィス移転のリスクが減らせる

移転プロジェクトにともなうリスクを最小限に抑えられるのも、オフィス移転コンサルに依頼する大きなメリットです。

たとえば、工期の遅延、通信インフラの不備、テナント契約の行き違い、オープン日に間に合わないなど、予期せぬトラブルは少なくありません。こうした問題が発生すると、業務の遅れや顧客対応への支障といった深刻な影響につながる可能性があります。

その点、経験豊富なコンサルタントであれば、過去の豊富な事例を踏まえて、事前にリスクを予測し、適切な防止策を講じることが可能です。業務の中断や設備トラブルといったリスクを未然に防ぎ、移転後のスムーズな立ち上げを実現しやすくなるでしょう。

オフィス移転の負担が軽減できる

オフィス移転には、業者の選定、見積もりの取得、スケジュール調整、契約手続きなど、煩雑かつ専門的なタスクが数多く発生します。こうした業務を社内スタッフが兼任すれば、通常業務との両立が難しくなり、業務効率の低下や残業の増加につながる恐れがあります。

しかし、コンサルタントに業務を一任すれば、社内でのやり取りや調整作業を最小限に抑えることが可能です。担当窓口を一本化することで、社内外との調整もスムーズになり、情報伝達の相違や工程の抜け漏れといった問題も防げます。

プロのサポートやアドバイスが受けられる

オフィス移転をスムーズに進めるうえで、経験豊富な専門家の知見を得られるのは大きなメリットです。

コンサルタントは、これまでの実績や知識をもとに、企業ごとの事情に合った最適な進め方を提案してくれます。たとえば、空間を効率よく使うレイアウト、業種や企業文化を反映させたデザイン、従業員の働きやすさを高める動線設計など、目的に応じて実践的なアイデアを提供します。

また、工程管理や手続きのノウハウを共有してもらえるため、社内だけでは見落としがちなポイントにも対応可能です。選択肢の絞り込みや意思決定にかかる時間も短縮され、社内の負担軽減にもつながります。

スケジュールに沿ったオフィス移転ができる

計画通りに移転を完了させるためには、全体を見渡したスケジュール設計と的確な進行管理が欠かせません。

オフィス移転コンサルは、移転全体の工程を俯瞰しながら、各フェーズのタスクを整理・管理します。また、定期的な進捗確認や、突発的な遅延リスクの把握と対策も行うため、スケジュールどおりの移転が可能になります。

オフィス移転コンサルに依頼するデメリット

オフィス移転コンサルに依頼することは多くのメリットがある一方で、注意すべきポイントも存在します。それぞれを詳しく見ていきましょう。

費用が高くなる場合がある

たとえ移転プロジェクトそのもののコストを抑えられても、コンサルティング費用がかかるため、初期費用が高くなる可能性があります。

また、オプションの追加や対応範囲の拡大により、見積もりに含まれていない費用が後から発生するケースも少なくありません。トラブルを避けるには、契約前の段階でサービス範囲や金額の内訳をしっかり確認することが重要です。

とはいえ、社内で対応した場合に必要となる人件費や工数、手間を考慮すれば、トータルでのコスト最適化につながる可能性もあります。依頼前には、社内で対応できる部分と外注すべき部分を見極め、全体設計をしたうえでコンサルの活用を検討するとよいでしょう。

業者の見極めが大事になる

担当者のスキルや対応力にばらつきがあると、業務が円滑に進まず、かえって社内の負担が増えるリスクもあります。

たとえば、コミュニケーションがうまく取れない場合「要望が正しく伝わらない」「現場との認識がずれる」といった問題が起きがちです。その結果、作業のやり直しや進行の遅れが発生し、プロジェクト全体に支障をきたす恐れもあるでしょう。

また、オフィス移転で重視するポイントは企業によって異なります。レイアウト提案に強い会社もあれば、ITインフラ構築に精通した事業者も存在します。そのため、自社の課題や目的に合わせて、得意分野がマッチするコンサルタントを選定することが大切です。

workkit by HITOBA DESIGNでは、社内外をつなぐスムーズなコミュニケーション力を強みに、ストレスなく本質的なプランニングを進められる体制を構築しています。移転準備でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

オフィス移転の流れ

オフィス移転を成功させるには、事前に全体の流れを把握し、各工程を計画的に進めることが重要です。ここでは、一般的なオフィス移転のステップを4つに分けて紹介します。

1.移転先の決定と現オフィスの解約手続き

最初のステップは、移転先の選定と旧オフィスの解約準備です。

一般的には、移転の1年以上前から候補物件の検討や内見を始め、6か月前までに契約を締結するのが理想的なスケジュールとされています。同時に、現在入居しているオフィスの解約通知も、多くの場合で6か月前に提出が必要です。

また、解約にあたっては原状回復義務の内容や工事の有無なども事前に確認しておきましょう。余裕を持って準備を進めることで、後の工程に影響を与えず、移転全体を円滑に進めやすくなります。

2.レイアウトを決める

物件が決まったら、次に行うのが新オフィスのレイアウト設計です。業務効率や従業員の働きやすさ、社内コミュニケーションの活性化などを意識しながら、空間の使い分けを検討しましょう。

なお、設計の段階で各設備の配置や配線計画も詰めておくと、その後の工事や引っ越しがスムーズに進みます。

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具体的なイメージを描くうえで参考になる情報が多数そろっていますので、
ぜひあわせてご覧ください。

3.内装・電気などの設備工事

新オフィスのレイアウトが固まったら、内装工事やネットワーク設備、電気配線、電話回線などの手配に進みます。空調・照明・防災といった設備関連の工事は、ビルの指定業者が担当するケースが多いため「貸方基準」に記載された工事区分をあらかじめ確認しておくことが重要です。

なお、1〜3月、5月、9〜11月はオフィス移転の繁忙期にあたり、業者のスケジュールが埋まりやすくなります。計画段階から業者選定を意識し、早めの調整を心がけましょう。

4.引っ越しと各種手続き

工事が完了したら、いよいよ引っ越しです。新しいオフィスで滞りなく業務を開始するためにも、取引先や協力会社、従業員に対して、適切なタイミングで移転の連絡を行うことが大切です。

また、移転にともない必要となる各種手続きも忘れてはいけません。たとえば、法務局・税務署・年金事務所への届出、郵便転送依頼などが挙げられます。リスト化して一つひとつチェックしておくことで、漏れなく対応できるでしょう。

オフィス移転のコンサルタントを選ぶポイント

ここでは、適切なコンサルタントを選ぶために押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

オフィス移転の目的を明確にする

まずは、なぜオフィスを移転するのか目的を明確にしましょう。

たとえば、事業規模の拡大や立地改善による採用力の強化、あるいはコスト削減など、移転の背景は企業によってさまざまです。目的が曖昧なままだと、コンサルタントに相談しても最適な提案が得られず、判断軸がぶれる原因にもなります。

そのため、自社の課題や目標を具体的に整理し、対応できる支援体制を持つコンサルタントを選ぶことが、移転計画の成功につながります。

ニーズに合った業者を選ぶ

自社が求めている支援内容と業者の提供範囲がマッチしているかをしっかり確認することが大切です。オフィス移転のコンサルティングを手がける企業はさまざまで、それぞれに独自の得意分野や特徴があります。

たとえば、物件選びに不安がある場合は不動産会社、ブランドイメージや企業文化を反映した空間づくりを望むならデザイン会社の活用が効果的です。移転における重点ポイントに応じて適切なパートナーを選ぶことで、より満足度の高いサポートを得られます。

また、コンサルティング会社の実績も重要な判断基準となります。とくに、自社と似た規模や業種の企業で移転を支援した経験があるかを確認すると、安心して依頼できるでしょう。

法令や条例の知識を持っているか確認する

オフィス移転には、建築基準法や消防法、バリアフリー法、各自治体が定める条例など、法的な制約が多く存在します。これらに詳しい知識を持ち、必要な申請や届出について的確にサポートできるかどうかは、安心して任せられる業者かどうかを見極めるうえで重要です。

とくに、大規模なレイアウト変更や用途変更がともなう場合には、行政とのやり取りや法的な確認が欠かせません。万が一、法令違反があると移転そのものが延期になったり、追加コストが発生したりするおそれもあるため注意しましょう。

サービス内容・費用を確認する

最も重要なのは、サービス内容と費用の内訳を明確に把握することです。

見積書に記載されている内容が不明瞭だと、後からオプション費用や追加対応の料金が発生し、予算オーバーにつながるリスクがあります。「基本料金に含まれる範囲」「追加費用が発生するケース」などは、契約前にしっかり確認しておきましょう。

また、どこまで支援してくれるかを具体的に確認しておくことで、移転後のトラブル回避にもつながります。

なお、忘れてはならないのが担当者との相性や対応力です。移転は数か月にわたるプロジェクトとなるため、信頼して任せられる人物であるかが成果に直結します。初回の打ち合わせでは、要望に対する理解度や提案の具体性、コミュニケーションの丁寧さなどを見極めましょう。

workkit by HITOBA DESIGNでは、見た目や機能面はもちろん、
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まとめ

オフィス移転は、物件選びから工事、引っ越し、各種手続きまで多くの工程と関係者が関わる大規模なプロジェクトです。そのため、社内だけで進めようとすると、想像以上に手間がかかり、業務への影響やトラブルが発生する可能性もあります。

そこで有効なのが、オフィス移転の専門家であるコンサルタントの活用です。豊富な知識と経験を持つプロの力を借りることで、時間やコストを最適化しながら、目的に合ったオフィスを実現できるでしょう。

workkit by HITOBA DESIGNでは、オフィスの内装設計から施工までをワンストップで対応しています。見た目や機能だけでなく、働きやすさや経営課題にも配慮したご提案が可能です。

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