オフィスリノベで働きやすい職場に!費用や補助金・注意点を解説!
社員から「オフィスが古くて居心地が悪い」「部署を越えた交流がしづらい」といった声が上がることは少なくありません。
実際、働く環境は仕事のしやすさやモチベーションに大きく影響します。こうした課題を解決する有効な手段が「オフィスリノベーション」です。
本記事では、オフィスリノベーションにかかる費用の目安や利用できる補助金、進める際に注意すべきポイントをわかりやすく解説します。
オフィスのリノベーションとは

オフィスリノベーションとは、古くなったオフィスをただ直すのではなく、働く人にとってより快適で価値ある空間へと生まれ変わらせる取り組みです。壁や床の修繕にとどまらず、レイアウトの見直しやデザインの刷新、最新設備の導入などを通じて、職場環境そのものの質を大きく高めることができます。
リモートワークと出社を組み合わせた働き方が広がる現代では、オフィスは単なる仕事場ではなく「人と人が交流する場」「新しいアイデアを生み出す拠点」としての役割が求められています。
オフィスリノベーションは、現在の立地を活かしながら社員のやる気や会社のブランド力を高められる、将来への大切な投資といえるでしょう。
リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームはよく混同されますが、それぞれ目的が異なります。
リフォームは、老朽化した部分を新築時の状態に戻す「原状回復」を意味します。壁紙を張り替えたり、設備を修理したりするなど、必要最低限の修繕を行うことが中心です。
一方でリノベーションは、間取りやデザインを大きく変更し、新しい機能を取り入れることで空間の価値を高める取り組みを指します。たとえば、個室を減らしてオープンスペースをつくったり、フリーアドレス制やカフェスペースを導入したりすることが具体例にあたります。
つまり、リフォームは「元に戻すこと」を目的とし、リノベーションは「新しく進化させること」を目的とすると言えます。
オフィスをリノベーションするメリット・効果

日本オフィス家具協会(JOIFA)の調査によると、オフィス環境が「仕事の成果やモチベーションに影響する」と答えた人は71.4%にのぼりました。この数字が示すとおり、オフィス環境を整えることは社員の働きやすさだけでなく、企業経営全体に大きなメリットをもたらします。
ここでは、オフィスをリノベーションするメリットや効果について、具体的に解説します。
出典:一般社団法人日本オフィス家具協会「ワーカーアンケート集計・分析結果報告」
社員のモチベーションが向上する
快適で魅力的なオフィスは、社員の心理に大きな影響を与えます。明るい空間や効率的な動線、適切な温度管理が整えば、日々のストレスは軽減されます。
その結果、仕事への意欲が高まり、会社への愛着も深まります。さらに、企業理念やビジョンをデザインに反映すれば、帰属意識が強まり、離職防止にもつながるでしょう。
働きがいのある環境を整えることによって、社員一人ひとりが生き生きと働き、組織全体の活性化を実現できます。
業務効率がアップする
レイアウトの最適化や動線の見直しは、業務効率を大きく左右します。たとえば、部署間の連携に合わせて席を配置することで、情報共有をスムーズに進められるでしょう。
また、集中ブースを設ければ深い作業に取り組めるようになり、カジュアルなミーティングスペースを整えることで気軽な相談がしやすくなります。その結果、問題解決のスピードを高められます。
さらに、配線を整理したり最新機器を導入したりすることによって、日常業務をより効率的に進められるようになります。
社内コミュニケーションが活性化する
オフィスリノベーションは、社員同士の交流を促す効果もあります。
たとえば、フリーアドレス制を導入すれば、部署の垣根を越えて席が流動的になり、普段接点のないメンバーとも気軽に会話が生まれます。
さらに、リフレッシュスペースやカフェエリアを設けることで、ちょっとした雑談や偶然の出会いから新しいアイデアやイノベーションが育まれることもあります。
また、パーティションを減らして開放的なレイアウトにすれば、オフィス全体に一体感が生まれ、組織全体の連携力も高まるでしょう。
企業イメージが向上する
オフィスは、来客にとって企業を最初に感じる「顔」となる場所です。理念や社風を表すデザインにすれば、取引先からの信頼も高まります。
採用面でも大きな効果があり、とくに若い世代は職場環境を重視する傾向があります。魅力的なオフィスは「ここで働きたい」という気持ちを生み、優秀な人材の応募につながります。
さらに、リニューアルしたオフィスの写真を自社サイトやSNSで発信すれば「社員を大切にする先進的な企業」としてブランド力を高めることもできます。
固定費カットにつながる
リノベーションは、長期的なコスト削減にも効果を発揮します。
たとえば、LED照明や最新型の空調設備を導入すれば光熱費を抑えられます。また、間取りの工夫によって空調効率を高めることも可能です。
さらに、省スペース化によって賃貸面積を縮小したり、余剰スペースを有効活用することも可能です。結果として、固定費全体の削減につながります。
こちらから、workkit by HITOBA DESIGNの施工事例をご覧いただけます。
オフィスリノベーションの種類と費用・工期の目安

オフィスリノベーションは、規模や内容によって大きく3つに分けられます。それぞれの特徴と費用・工期の目安を押さえることで、自社に合った計画を立てやすくなります。
フルリノベーション
フルリノベーションは、オフィス全体を一から作り直す最も大規模な方法です。壁などの既存構造を取り払い、柱などの骨組みだけを残して設計し直すことで、まったく新しい空間を生み出せます。
費用は坪単価10万〜30万円ほどが目安です。工期は1〜2か月程度で、綿密な計画と準備が欠かせません。老朽化が進んだオフィスや、企業イメージを大きく刷新したい場合に最適な選択肢です。
ポイントリノベーション
ポイントリノベーションは、オフィスの一部に絞って行う改修です。会議室の増設や照明のアップグレード、床材の変更など、限定的な改善を行います。
費用は坪あたり約10万円、工期は1〜2週間程度です。「会議室が足りない」「照明が暗い」など具体的な課題解決に向いており、段階的に改善を進めたい企業にもおすすめです。
スケルトン
スケルトンリノベーションは、内装をすべて解体してコンクリートむき出しの状態に戻し、完全に新しく作り直す方法です。
解体費用・内装工事・設備の新設を含めると、総額は坪あたり30万〜80万円です。工期は2〜3か月以上かかりますが、オフィス環境を抜本的に変革したい場合や、企業の成長戦略に合わせて大規模なリニューアルを行いたい場合に適しています。
オフィスリノベーションに活用できる補助金・助成金

リノベーションにおける大きな課題は費用ですが、補助金や助成金を活用すれば初期投資を抑えて、より充実した計画を実現できます。
申請条件や募集時期は随時変更されるため、必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者の「生産性向上」や「革新的な取り組み」を支援する制度です。オフィスリノベーションでは、業務効率化を目的とした環境改善として利用できるケースがあります。
2025年度からは制度が改善され、収益納付が不要になりました。これにより、補助金の効果をより柔軟に企業成長へ結びつけられるようになっています。
【補助額・補助率の目安】
- 一般型:750万〜2,500万円(従業員数に応じる)
- グローバル展開型:3,000万円
- 補助率:中小企業は1/2、小規模事業者は2/3
- 大幅賃上げ特例:最大100万〜1,000万円を追加支給
- 対象経費:機械設備や技術導入費、専門家経費、運搬費など、生産性向上につながる幅広い投資が対象
出典:経済産業省中小企業庁「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」
中小企業新事業進出補助金
中小企業新事業進出補助金は、新市場への進出や事業領域の拡大を支援する制度です。オフィス環境を整え、新しいビジネス展開を進める場合にも活用できます。
2025年度は年4回程度の公募が予定されており、第1回は7月15日に終了しましたが、今後も継続的に募集されます。建物改装を含む幅広い経費が対象で、補助額が大きい点も特徴です。
【補助額・補助率の目安】
- 補助上限額:最大7,000万円(特例時は9,000万円)
- 補助率:1/2以内
- 対象経費:新事業進出に伴う設備投資・施設整備など
出典:経済産業省中小企業庁「中小企業新事業進出促進補助金 」
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者のIT化を支援する制度です。オフィスリノベーションとあわせて業務のデジタル化を進める際に活用できます。
2025年度も継続予定で、とくにクラウドサービス導入やセキュリティ強化が重点的に支援されています。
【補助額・補助率の目安】
- 通常枠:5万〜450万円
- セキュリティ対策推進枠:5万〜150万円
- インボイス枠:最大350万円
- 補助率:1/2~4/5以内
- 対象経費:ソフトウェア費、クラウド利用料、導入関連費など、業務効率化につながる幅広いIT投資が対象
出典:経済産業省中小企業庁「サービス等生産性向上IT導入支援事業「IT導入補助金2025」の概要 」
事業承継・M&A補助金
事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aを契機とした経営革新や設備投資を支援する制度です。オフィス環境の刷新を通じて事業承継を成功させたい企業に適しています。
2025年度も継続実施されており、11次公募では多くの企業が採択されています。移転・移設費用も併用申請により対象となるため、オフィスリノベーションと同時に活用できる可能性があります。
【補助額・補助率の目安】
- 事業承継促進:補助率1/2または2/3、上限800万円~1,000万円
- 専門家活用事業:補助率2/3、上限600万円
- 主な対象経費:設備費、人件費、店舗等借用料、移転・移設費用(併用申請時)など
出典:経済産業省中小企業庁「令和6年度補正予算「事業承継・M&A補助金」
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上を目指す小規模事業者を支援する制度です。オフィス環境改善による「業務効率化」や「集客のための環境改善」として活用できます。
2025年度の17回公募からは「通常枠」「創業型」「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」の4つの申請枠で構成されています。年2〜3回の公募が予定されており、比較的申請機会が多い制度です。
【補助額・補助率の目安】
- 通常枠:補助率2/3、上限50万円
- 創業型:補助率2/3、上限200万円
- 共同・協業型:補助率2/3、上限5,000万円
- 対象経費:機械装置費、広報費、展示会出展費、開発費、設備処分費など
商工会議所等の支援を受けながら申請することが要件となっているため、事前の相談が必要です。
出典:経済産業省中小企業庁「持続化補助金の概要 」
受動喫煙防止対策助成金
受動喫煙防止対策助成金は、職場における受動喫煙防止対策を推進する事業者を支援する厚生労働省の制度です。オフィスリノベーションとあわせて完全禁煙化や分煙対策を実施する場合に活用できます。
【補助額・補助率の目安】
- 助成率:工費の1/2
- 上限額:100万円
- 対象経費:屋外喫煙所設置費、換気設備設置費、パーティション等設置費
現代的なウェルビーイング重視の職場環境づくりと組み合わせることで、社員の健康促進と企業イメージ向上の両立が図れます。
各補助金・助成金は募集期間や要件が異なるため、最新情報を公式Webサイトで確認し、専門家に相談しながら戦略的に活用することが重要です。
出典:厚生労働省・都道府県労働局 「受動喫煙防止対策助成金の手引き」
オフィスのリノベーションで注意したいポイント

リノベーションを成功させるには、事前の準備と計画が欠かせません。予期せぬトラブルや追加コストを避けるためにも、次のポイントをしっかり押さえておきましょう。
リノベーションの目的を明確にする
「なぜリノベーションを行うのか」をはっきりさせることが大切です。
まずは、社員アンケートで現状の課題を把握しましょう。たとえば「コミュニケーション不足」「集中できる環境がない」「会議室が足りない」などを整理し、優先順位をつけることが大切です。
さらに「採用力強化」「ブランディング」といった経営目標との関係も明確にしておけば、投資効果を示しやすく、社内外の理解も得やすくなります。
施工できる範囲を確認する
賃貸オフィスでは、契約内容や建物の構造によってリノベーションできる範囲が制限されます。許可なく工事を進めれば、トラブルや損害賠償のリスクもあります。
とくに重要なのが工事区分(A工事・B工事・C工事)の確認です。テナントが自由に行えるのはC工事に限られるため、B工事(ビル管理会社が実施)との境界を明確にしておきましょう。
また、共有スペースや構造部分の改修は基本的に制限されます。希望する内容が可能かどうか、契約書を必ずチェックしておくことが欠かせません。
原状回復義務についても確認する
賃貸オフィスでは、退去時の原状回復義務が大きな負担になることがあります。リノベーションの規模が大きいほど、費用が膨らむ傾向があります。
どこまで原状回復が必要か、費用負担は誰がどの範囲まで負うのか、契約前に管理会社やオーナーと詳細に取り決めておきましょう。
場合によっては、原状回復費用がリノベーション費用を上回ることもあります。長期のコスト(トータルコスト)を見積もり、投資対効果を慎重に検討することが重要です。
消防法や建築基準法を遵守する
オフィス改修では、消防法や建築基準法などの法令を守ることが義務です。社員の安全を守るための規定であり、違反すれば法的責任を問われる可能性があります。
たとえば、間仕切り壁を追加する際には消防署への届出が必要です。Web会議用の個室ブースも、形態によっては消防法の適用を受けます。
また、工事の規模によっては建築基準法にもとづく「建築確認申請」が必要になるケースもあります。計画段階で建築士や消防設備士などの専門家に相談し、必ず法令遵守を確認しましょう。
工事中の業務の進め方を計画しておく
工事の騒音や人の出入りで、通常業務に支障が出る可能性があります。
自社ビルなら、仮オフィスの確保やリモートワークの強化、段階的な工事で影響を分散する方法が有効です。レンタルオフィスやコワーキングスペースを一時的に利用するのも選択肢のひとつです。
一方、賃貸オフィスの場合は移転が前提となることが多いため、仮オフィスの必要性は低めです。ただし、移転時期とリノベーション完了時期の調整は慎重に行う必要があります。
社員へのスケジュール共有を徹底し、業務への影響を最小限に抑える準備を整えておけば、プロジェクトはスムーズに進みます。
オフィスリノベーションを依頼する業者の選定ポイント

リノベーションを成功させるには、信頼できる業者選びが欠かせません。費用の安さだけで決めるのではなく、次の観点から総合的に判断することが大切です。
実績や経験は豊富か
まず確認したいのは、業者の施工実績です。とくに同業界・同規模のオフィスでの経験があれば、安心感があります。実際の事例を見ることで、デザイン提案力や技術力を具体的に判断できます。
消防法や建築基準法への対応実績や申請手続きの経験があるかもチェックが必要です。法令に精通した業者なら、安心してプロジェクトを任せられます。
担当者とのコミュニケーションは取りやすいか
リノベーションは数か月にわたって進む長期プロジェクトであるため、担当プランナーとの信頼関係が非常に重要です。要望を正確に理解し、さらにプラスアルファの提案をしてくれる担当者がいるかどうかを見極める必要があります。
評価のポイントは、レスポンスの速さや説明のわかりやすさ、そして提案の具体性です。初回打ち合わせにおける対応の質が、その後の進行状況を大きく左右します。
自社に寄り添った提案をしてくれるか
よい業者は見た目のデザインだけでなく、企業の課題解決に直結する提案をしてくれます。たとえば「コミュニケーション促進」「採用力強化」「出社促進」など、経営目標を実現するための空間設計を打ち出せるかどうかがポイントです。
費用面でも、限られた予算で効果を最大化する工夫ができる業者が理想です。単なるコスト削減ではなく、投資対効果を具体的に示せる提案力が信頼につながります。
アフターサービスは充実しているか
施工後のサポート体制は、長期的な満足度を大きく左右します。設備不具合への迅速な対応、定期メンテナンス、保証制度の内容などを事前に確認しておきましょう。
アフターサポートが手厚い業者なら、長期的に安心してオフィス運営を任せられます。複数社から相見積もりを取り「最安」ではなく「目的達成に見合う適正価格」で選ぶことが、満足度の高いリノベーションにつながります。
まとめ

オフィスリノベーションは、単なる改装ではなく「戦略的な投資」です。社員のモチベーション向上、生産性アップ、企業イメージの強化、そしてコスト削減など、多くの経営メリットをもたらします。
一方で、施工範囲や原状回復義務、法令遵守、工事中の業務計画など、注意すべき点も少なくありません。これらを的確に管理するには、経験豊富で信頼できる業者との連携が不可欠です。
workkit by HITOBA DESIGNは、オフィスの内装設計から施工までワンストップで対応いたします。見た目や機能面はもちろん、経営課題を解決するプランニングとデザインをご提案いたします。
働きがいのあるオフィス環境づくりをお考えの際は、ぜひ一度ご相談ください。
workkit by HITOBA DESIGNでは、オフィスに関するご相談を承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。