レイアウト変更でオフィスの生産性アップ!進め方や押さえるべきポイントを解説
働き方の多様化が進む今、オフィスの役割は大きく変化しています。リモートワークとの併用が一般化した現在では「わざわざ出社したくなるオフィス環境」を整えることが企業に求められています。
オフィスのレイアウト変更は、単なる模様替えではありません。社員の生産性向上やコミュニケーションの活性化、さらには企業のブランド価値の向上にもつながる、いわば戦略的な投資です。
十分な計画を立てずに進めてしまうと、配線トラブルや動線の悪化など、かえって業務効率を下げる結果にもなりかねません。
本記事では、オフィスのレイアウト変更によって得られる効果から、具体的な進め方、注意すべきポイント、業者選びのコツまでを解説します。
オフィスのレイアウト変更で期待できる効果

オフィスのレイアウト変更は、企業にとって単なる環境整備ではなく、経営に直結する重要な投資のひとつです。ここでは、オフィスレイアウト変更によって得られる主なメリットを紹介します。
業務効率アップ
職種や業務内容に合わせて最適なレイアウトを設計することで、無駄な移動時間を減らし、作業の生産性を高めることができます。頻繁に連携が必要な部署を近くに配置すれば、コミュニケーションの手間も減り、業務のスピードアップにつながります。
また、個人作業に集中できるブースや、チームでの打ち合わせに適したオープンエリアなど、目的に応じて場所を使い分けられる環境を整えることで、業務効率をさらに高めることが可能です。
さらに、コピー機やプリンターなどのOA機器を動線上の適切な位置に配置することで、作業の中断を最小限に抑えられます。こうした小さなストレスの軽減が積み重なり、長期的には大きな生産性向上をもたらします。
多様な働き方に対応したレイアウトは、社員のモチベーション向上にもつながり、結果として組織全体のパフォーマンスを高める効果があります。
コミュニケーション活性化
適切なレイアウト設計は、社員同士の自然なコミュニケーションを生み出します。
島型レイアウトやクロス型レイアウトを採用することで、人の流れが生まれやすくなり、偶発的な会話のきっかけが増えます。また、オフィスカフェやリフレッシュスペースを設けることで、部署を越えた交流が促進されます。
こうした日常的なコミュニケーションは、会議では出にくいアイデアや気づきを共有する場となり、新しい発想や改善のヒントを生み出すきっかけにもなります。
ブランディング
オフィスは企業の「顔」として、内外に向けたブランディングの重要な役割を担っています。
エントランスや来客スペースのデザインを通じて企業の理念や価値観を表現することで、取引先や求職者に強い印象を与え、信頼感やブランド価値を高めることができます。
また、社内に向けたインナーブランディングも欠かせません。働きやすく魅力的なオフィス環境は、社員の愛着や誇りを育み、エンゲージメントの向上や人材の定着につながります。
オフィスレイアウト変更の進め方

オフィスのレイアウト変更は、段階的な進め方と明確な目的設定が欠かせません。ここでは、オフィスレイアウト変更をスムーズに進めるための基本ステップを紹介します。
①レイアウト変更の目的を決める
最初のステップは、現状のオフィスが抱える課題を洗い出すことです。
たとえば、リモートワークの定着によってデスクが余っている、会議室が不足している、社員同士のコミュニケーションが減っているといった具体的な問題点を明らかにします。
社員へのアンケートやヒアリングを実施すると、表面化していなかった課題が可視化され、より実情に即した目的設定が可能です。
課題を整理できたら、それを解決するための具体的な目的を定めましょう。
「人員増加に柔軟に対応できるレイアウトにする」「部門間のコミュニケーションを促進する」など、目指すゴールを明確に言語化し、社内全体で共有することが大切です。
こちらの記事では、オフィス設計の進め方について解説しています。
手順や最新トレンドも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
②業者を選定する
オフィスのレイアウト変更は、配線工事や内装工事、法令遵守、地震対策など、専門的な知識が必要な作業が多く含まれます。自社だけで対応しようとすると、法令違反や安全性の問題を引き起こすリスクもあります。
とくに、過去にデスクを動かした際に配線が混乱したり動線が悪化した経験がある場合は、専門業者への依頼が効率的で確実です。業者選定の際は、実績の豊富さ、提案力、丁寧なヒアリング力を重視しましょう。
③デザインやレイアウトの打ち合わせを行う
設定した目的やコンセプトを業者と共有し、具体的なプランを形にしていきます。デザインを検討する際は、見た目の印象だけでなく、使いやすさや動線など機能面とのバランスを意識することが重要です。
この段階では、ゾーニング(用途別のエリア分け)も検討します。執務エリア、会議室、リフレッシュスペース、来客エリアなどをどのように配置するかを整理し、必要に応じてセキュリティレベルやアクセスのしやすさも考慮して計画を立てます。
④スケジュールを立てる
オフィス関連の什器や工事部材は、発注から納品まで3〜4週間かかる場合が多いため、最低でも完了希望日の2〜3か月前には大まかなスケジュールを決定することが望ましいです。
施工期間中はオフィスを通常どおり使用できないケースが多いため、土日を利用して2日間で工事を完了させる、または長期休暇中に実施するなど、業務への影響が少ないタイミングを選ぶことが重要です。
⑤工事を実施する
工事期間中は、施工の進捗を定期的に確認し、計画通りに作業が進んでいるかをチェックしましょう。問題が発生した場合は、早めに業者へ共有し、必要に応じて修正対応を依頼することが大切です。
施工が完了したら、当初の目的が達成できているかを必ず確認します。設定した課題が解消されたか、作業効率が向上したか、社員の満足度が改善されたかなど、複数の視点から評価し、今後の改善にも活かしましょう。
執務室のデスクレイアウトの種類

デスクの配置方法ひとつで、業務効率・集中力・チームワークが変わるため、オフィスの目的や組織体制に合わせたレイアウト選びが重要です。ここでは、代表的なデスクレイアウトの種類を紹介します。
対向型
デスク同士を向かい合わせに配置し、島のような形をつくるスタイルです。日本のオフィスでは最も一般的なレイアウトといえます。
チーム内でのコミュニケーションが取りやすく、スペース効率にも優れています。ただし、向かい合うことで視線が気になり、集中しにくいと感じる人もいます。人事部や総務部など、メンバー間の連携や情報共有が頻繁に発生する部署に適した配置です。
左右対向型
対向型レイアウトを発展させたスタイルで、列と列の間にパーテーションや通路を設けることで、プライバシーと効率的な空間利用を両立します。通常の島型レイアウトよりも集中しやすく、落ち着いた作業環境をつくることができます。
同向型
すべてのデスクを同じ方向に並べるスタイルで「スクール型」または「並列型」とも呼ばれます。
個人作業に集中しやすい一方で、チーム内でのコミュニケーションは取りづらくなる傾向があります。コールセンターや銀行の窓口業務など、個人単位で定型業務を行う部署に適したレイアウトです。
背面型
デスクを背中合わせに配置するスタイルです。
集中とコミュニケーションのバランスが取れており、基本的には個人作業に集中できる環境でありながら、必要なときには振り返ってすぐに同僚と会話できます。開発部門や企画部門など、個人作業とチーム作業の両方が求められる業務に適しています。
リンク型(ブーメラン型)
L字型やブーメラン型のデスクを用いるレイアウトスタイルです。
広い作業スペースを確保できるため、大型モニターを複数台設置したり、資料を広げて作業する業務に適しています。ただし、ほかのレイアウトに比べるとスペース効率はやや劣ります。
近年では、フリーアドレスを取り入れる企業も増えています。リモートワークとの併用により省スペース化や他部署との交流促進が期待できますが、個人の荷物管理や集中環境の確保といった課題もあるため、運用ルールを整備したうえで導入することが重要です。
オフィスのレイアウト変更で押さえておくべきポイント

オフィスのレイアウト変更時は、動線の設計や配線、通路の幅などを考慮しながら進めましょう。ここでは、レイアウト変更を成功させるために、とくに意識しておきたい基本のポイントを紹介します。
寸法
オフィスレイアウトを検討する際は、安全性と快適性の両立のために、適切な寸法を確保することが重要です。
法律面では、労働安全衛生法・建築基準法・消防法によって、最低限守るべき基準が定められています。たとえば、労働者一人あたり10㎥以上の気積を確保すること、廊下幅は両側居室で1.6m以上、片側のみで1.2m以上などの規定があります。
また、一般的な目安としては、一人が通れる通路幅は最低60cm、二人がすれ違える通路幅は120cmとされています。メイン通路は、160cm程度の幅を確保することが望ましいでしょう。
デスク周りでは、椅子を引いて立ち上がるスペースと後ろを人が通るスペースを合わせて180cm程度が必要です。
出典:中央労働災害防止協会安全衛生情報センター「労働安全衛生規則第600条」
出典:e-GOV法令検索「建築基準法施行令第119条」
出典:日本オフィス家具協会(JOIFA)「地震に備えた安全なオフィスづくり オフィスの地震対策」
ゾーニング
ゾーニングとは、オフィスを目的や機能ごとにエリア分けする作業です。
オフィスは一般的に、次の4つのゾーンに分類できます。
- パブリックゾーン(エントランス、受付など)
- 共有ゾーン(会議室、リフレッシュスペースなど)
- ワークゾーン(執務エリア)
- 機密ゾーン(サーバー室、役員室など)
これらのゾーンは、セキュリティレベルや利用目的に応じて配置を計画することが重要です。一般的には、エントランスから奥に行くほどセキュリティレベルが高くなるように設計します。
動線
オフィスにおける動線設計は、業務効率や社員のストレスレベルに直結する重要な要素です。
基本的には、シンプルで直線的な動線を確保することが望ましいとされています。デスクからコピー機、デスクから会議室など、日常的によく利用する経路をスムーズに移動できれば、無駄な時間やストレスを軽減できます。
とくに人の出入りが多い場所では、広めのスペースを確保して混雑を防ぎましょう。一方で、あえて動線を複雑に設計し、自然なすれ違いや立ち話を生み出すことで、社員同士のコミュニケーションを促す手法もあります。
コンセントと配線
配線計画は、オフィスのレイアウト変更において見落とされやすく、失敗の多いポイントのひとつです。
有線LANや電話線の位置が制約となり、理想のレイアウトが実現できなかったり、配線が通路に露出して転倒リスクを生むケースも少なくありません。
まずは、既存のコンセントや配線位置を正確に把握し、新しいレイアウトでも適切な位置にあるかを確認しましょう。柔軟なレイアウトを実現するためには、無線LAN(Wi-Fi)への切り替えを検討するのも有効です。
さらに、床下に配線スペースを設けるOAフロア(二重床)を採用することで、見た目にも安全にも優れた環境を整えられます。配線計画は専門的な知識が求められる領域のため、専門業者と綿密に打ち合わせを行い、安全で使いやすい配線環境を構築しましょう。
オフィスのレイアウト変更は業者に依頼するべき?

結論として、オフィスのレイアウト変更は専門業者への依頼をおすすめします。
オフィスのレイアウト変更は、一般家庭の模様替えとは性質が大きく異なります。配線工事や内装工事、法令遵守など、専門的な知識と技術を必要とする作業が多く含まれています。
なかでも注意すべきなのが、消防法や労働安全衛生法などへの対応です。避難経路の幅や気積の確保、地震時の家具転倒防止策など、安全性に関わる基準を守らなければ、法令違反となるだけでなく、社員の安全を損なう恐れがあります。
専門業者に依頼すれば、こうしたリスクや負担を大幅に軽減でき、効率的かつ安全にレイアウト変更を進めることが可能です。初期費用は発生しますが、失敗のリスク回避や社員の作業時間削減といった観点から見ても、長期的には十分価値のある投資といえます。
オフィスのレイアウト変更を依頼する業者選びのポイント
業者選びは、レイアウト変更の成否を左右する重要な工程です。以下の4点を基準に、実績と提案力を見極めて慎重に選定しましょう。
業者の実績は豊富か
施工実績が豊富な業者は、さまざまなケースに対応してきた経験とノウハウを持っています。
まずは、業者の公式サイトで過去の施工事例を確認しましょう。とくに注目すべきは、自社のオフィス規模や業種に近い実績があるかどうかです。また、単発の優れた事例だけでなく、安定して多くの案件を手がけているかどうかも信頼性を判断するポイントになります。
丁寧なヒアリングをしてくれるか
信頼できる業者は、まず十分な時間をかけて丁寧にヒアリングを行います。
単に「どんなレイアウトにしたいか」を聞くだけでなく「なぜレイアウトを変更したいのか」「現在どのような課題を抱えているのか」といった背景まで深く掘り下げてくれるのが特徴です。
このような丁寧なヒアリングを通じて、表面的な要望だけでなく潜在的なニーズまで把握し、より的確で実践的な提案をしてくれます。
多彩なデザインを提案してくれるか
オフィスデザインは多様化しており、業者によって得意とするスタイルやデザインアプローチが異なります。
自社が求めるイメージや目的に合った提案ができる業者を選ぶことが重要です。複数の業者の施工事例を比較し、デザインの幅や提案力を確認しましょう。ただし、デザインと機能性の両立を意識して選定することが大切です。
予算内でどこまで実現してくれるか
優れた業者は、単に予算内に収めることを目的とせず、限られた予算の中で最大限の価値を生み出そうとします。
理想のレイアウトを踏まえたうえで、予算内での実現が難しい場合には、複数の代替案を提示してくれる業者は信頼できます。こうした柔軟な対応力は、経験と提案力の証でもあります。
また、価格の安さだけで判断するのは避けましょう。見積もりの内訳や施工範囲をしっかり確認し、コストと品質のバランスを見極めることが大切です。
オフィスのレイアウト変更にかかる費用を抑えるには?

ここでは、予算を有効に使いながら、オフィスのレイアウト変更費用削減のポイントを紹介します。
全工程をトータルサポートしてくれる業者を選ぶ
費用削減の最も効果的な方法は、デザイン、内装工事、家具選定、配線工事などをすべて一括で対応できる業者に依頼することです。
各工程を別々の業者に依頼すると、それぞれに中間マージンが発生し、トータルの費用が高くなります。一方、すべてを一社に任せられるトータルサポート型の業者を選べば、中間マージンを削減でき、費用を抑えられます。
さらに、窓口が一本化されることで、やり取りの手間も大幅に削減され、担当者の負担軽減にもつながります。
複数の業者から見積もりを取る
費用の妥当性を確認するためには、複数の業者から相見積もりを取ることが効果的です。少なくとも3社程度から見積もりを依頼し、金額だけでなく、作業内容・スケジュール・提案内容の質を比較検討しましょう。
ただし、最も安い業者を選べば良いとは限りません。見積もりの内訳を丁寧に確認し、必要な作業がすべて含まれているか、追加費用の発生リスクがないかをしっかりチェックすることが大切です。
まとめ
オフィスのレイアウト変更は、働く環境を整えるだけでなく、生産性やコミュニケーション、そして企業イメージを高めるための重要な取り組みです。目的を明確にし、計画的に進めることで、業務効率の向上や社員のモチベーションアップにつながります。
workkit by HITOBA DESIGNでは、経営課題の解決を見据えたオフィスデザインを提案しています。企業の課題や働き方を丁寧にヒアリングし、デザイン性と機能性を両立した空間づくりをサポートします。
デザインから施工までを一貫して対応する体制により、担当者様の負担を軽減しながら、理想のオフィス環境を実現します。
レイアウト変更やオフィス改修をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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