従業員エンゲージメントを高める8つの施策!取り組みの手順やポイントも
従業員エンゲージメントを高めることは、企業の持続的な成長に欠かせない経営課題のひとつです。離職率が高い、社員のモチベーションが低いといった課題を抱えている企業にとって、従業員エンゲージメントの向上は急務といえるでしょう。
本記事では、従業員エンゲージメントを高めるための具体的な8つの施策や、取り組みの手順、実践のポイントを詳しく解説します。自社の課題に合った効果的な施策を見つけ、組織の活性化につなげていきましょう。
従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントとは、従業員が企業の理念やビジョンに共感し、自発的に貢献しようとする意欲や姿勢のことを指します。単なる愛社精神や忠誠心とは異なり、企業と従業員の双方向の強い結びつきを表す概念です。
エンゲージメント(engagement)という言葉は、もともと「契約」「約束」「誓約」といった意味を持ち、2者間における深い関係性を示しています。従業員エンゲージメントの文脈では、企業への信頼と会社のために貢献したいという自発的な意欲が組み合わさった状態を意味するのです。
従業員エンゲージメントの尺度は正式には定義されておらず、企業によって判断基準が多少異なります。そのため、自社にとっての従業員エンゲージメントを明確に定義し、独自の基準を設けながら状態を観測していくことが重要です。
「従業員エンゲージメントが高い」とはどういう状態か
従業員エンゲージメントが高い従業員には、いくつかの共通した特徴が見られます。
まず、職場環境や評価制度に満足しており、仕事を通じて十分な成長の機会を得られていると感じています。さらに、自社の方向性や経営理念に深く共感し、組織の目標達成に向けて積極的に行動する姿勢を持っています。
具体的には、会社への信頼感が高く、組織や仲間とのつながりを実感できている状態といえるでしょう。自分の仕事が企業の成功に貢献していると認識し、積極的に関わろうとする意欲にあふれています。
このような状態は、従業員の「満足度」「成長度」「共感度」の3つの側面が高いレベルで満たされており、企業と従業員の関係が良好に保たれているといえるでしょう。
従業員エンゲージメントと似た言葉との違い
従業員エンゲージメントは、しばしば他の概念と混同されがちです。ここでは、類似する言葉との違いを明確にしていきます。
【従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントの違い】
ワークエンゲージメントは、仕事そのものに対する前向きな心理状態を指します。活力、熱意、没頭という3つの要素から構成され、仕事への意欲に焦点を当てた概念です。
一方、従業員エンゲージメントは企業という組織全体への愛着や貢献意欲を含みます。仕事だけでなく、組織に対する帰属意識や企業理念への共感も重要な要素となるのです。ワークエンゲージメントを「仕事」軸、従業員エンゲージメントを「組織」軸で捉えるとわかりやすいでしょう。
【従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い】
従業員満足度は、給与や福利厚生、労働環境など、従業員が会社から受け取るものに対する評価を示します。従業員が企業を一方的に評価する指標であり、居心地の良さに重きが置かれています。
従業員エンゲージメントは、企業と従業員の双方向的な信頼関係を問う点が大きく異なります。満足度が高くても、必ずしも企業の業績向上に直結するわけではありません。しかし、エンゲージメントが高い場合は、自発的な貢献意欲を伴うため、直接的に業績向上につながりやすいのです。
【従業員エンゲージメントとモチベーションの違い】
モチベーションは、個人の動機付けや、やる気という心理状態を表します。主に個人的な要因によって左右される一時的な感情であり、外的な報酬や刺激によって高まることが多いです。
従業員エンゲージメントは、企業への愛着や信頼という関係性を示す概念です。モチベーションが高くてもエンゲージメントが低いと、より良い条件を求めて転職してしまうリスクがあります。両者は相互に影響し合いますが、本質的には異なる概念なのです。
従業員エンゲージメントの向上が求められている背景
近年、従業員エンゲージメントの重要性が急速に高まっています。その背景には、働き方や労働環境における大きな変化があります。
人材の流動化が進んでいるから
終身雇用制度が崩壊し、生涯一社に勤め上げるという従来の労働観が薄れています。転職や再就職が一般化し、人材の流動化が進む中、企業は優秀な人材をいかに引き留められるかという課題に直面しているのです。
従業員エンゲージメントの高い従業員は、自社への帰属意識が高く、愛着や信頼が深いため、退職リスクも低い状態といえます。人材の流動化が進む時代だからこそ、企業は自社の定着率を高めるために、従業員エンゲージメントの向上に注力する必要があるのです。
キャリア自律が必要になっているから
AIの浸透や市場の国際化、消費者ニーズの多様化など、ビジネス環境の変化は激しさを増しています。先読みの難しい状況においては、従業員一人ひとりが自発的にスキルをアップデートし、社会の変化に柔軟に対応していく必要があります。
従業員エンゲージメントの高い従業員は、仕事へのモチベーションや成長に対する欲求が高い状態です。自律的なスキルアップが期待でき、企業としての成長スピードを格段に高めることができます。変化の激しい時代を生き抜くために、従業員のキャリア自律を促すことが重要なのです。
コミュニケーションの非対面化が進んでいるから
新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが浸透し、コミュニケーションの非対面化が急速に進みました。従業員間のコミュニケーションが極度に少ない状態では、従業員が組織から必要とされているのか、正当に評価されているのかといった不安を抱えやすくなります。
オンラインでのつながりが増えた結果、従業員同士の関係性が希薄になり、企業の方向性を伝えることが難しくなったという課題も生まれています。企業理念に共感しにくくなったことで、自発的な貢献意欲が低下するリスクがあるのです。従業員の予期せぬ退職を防ぐためにも、従業員エンゲージメントを改善する必要性が高まっています。
日本企業における従業員エンゲージメントの現状

世論調査やコンサルティングを手掛ける米国企業ギャラップ社の調査によると、日本企業の従業員エンゲージメントは世界最低水準という厳しい状況にあります。
2025年に発表された調査結果では、日本の従業員エンゲージメントは7%という数値が示されており、これは世界平均の約3分の1に留まっています。世界全体では2023年を境に従業員エンゲージメントの上昇が頭打ちになっているものの、日本企業においてはとくに深刻な問題といえるでしょう。
各国の社会情勢や労働環境が異なるため一概には比較できませんが、日本企業は従業員エンゲージメントを改善するためのポイントが多くあり、取り組むべき課題を数多く抱えている状況です。
グローバル経済を生き抜き、持続的な成長を実現するためにも、従業員エンゲージメントの向上に積極的に取り組む必要があります。
出典:GALLUP「State of the Global Workplace Understanding Employees, Informing Leaders 2025 Report」
従業員エンゲージメントを高めるメリット
従業員エンゲージメントを高めることで、企業にはさまざまな利点がもたらされます。組織全体に好影響を与える主なメリットを見ていきましょう。
組織の活性化につながる
従業員エンゲージメントを高めることで、組織に対して貢献意欲の高い従業員が増えていきます。目標を達成するにはどうすればよいか、組織をより良くするにはどんな方法があるかといった前向きな意見が、従業員から自然に生まれやすくなるのです。
仕事の「やらされている感」が減り、従業員がより生産的に仕事へ取り組めるようになります。チーム内の協力やコミュニケーションも活発になり、従業員同士の結束が高まるなど、職場全体の雰囲気が活性化します。このように職場が活性化することで、業績への好影響も期待できるでしょう。
離職率を低下させられる
退職意向のある人材は、仕事にやりがいがない、経営方針に共感できないなど、何かしらの不満を抱えているものです。一方で従業員エンゲージメントが高い従業員は、自組織への不満が少なく、組織に対して積極的な姿勢を持っています。
従業員の帰属意識や愛社精神を高めることで、離職率の低減が期待できます。優秀な人材の流出を防ぐことができれば、採用や教育にかかるコストも大幅に削減できるでしょう。企業の損失を抑えながら、安定した事業運営が可能になります。
顧客満足度が向上する
従業員エンゲージメントが高いということは、従業員が自分の仕事に対して意義を感じ、こだわりを発揮しやすい状態です。当然ながら、従業員の取り組み方が前向きになれば、提供する商品やサービスの品質も高まりやすくなります。
企業への愛着が深い従業員は、顧客に対しても積極的かつ丁寧に対応するため、自社のサービスや製品の質が向上します。結果として顧客の満足度につながり、企業としての信頼度もより向上させることが可能になるのです。
従業員エンゲージメントを構成する3つの要素
従業員エンゲージメントは、3つの主要な要素で構成されています。これらの要素を理解し、それぞれに働きかけることが、エンゲージメント向上の鍵となります。
理解度
理解度とは、従業員が企業の理念やビジョン、方向性を具体的に理解し支持している状態を指します。企業と従業員の方向性が一致することで共感が生まれ、従業員が当事者意識を持てるようになります。
企業が何を目指しているのか、どのような価値を社会に提供しようとしているのかを従業員が深く理解していれば、日々の業務にも意義を見出しやすくなります。理解度が高まることで、業績向上につながりやすくなるのです。
帰属意識
帰属意識とは、企業や組織、共に働く従業員に対する誇りや愛着の度合いを表します。チームの一員である自覚を持ち、組織に所属していることに価値を感じている状態です。
帰属意識が高い従業員は、企業や仲間とのつながりを実感しています。自分が組織から必要とされていると感じ、組織に貢献したいという思いを持っています。帰属意識を育むことで、従業員の定着率向上にもつながるのです。
行動意欲
行動意欲とは、企業の成功に向けて自発的に貢献しようとする意欲のことです。理解度や帰属意識が高まった上で、企業が環境や機会を整えることで、従業員の行動意欲が引き出されます。
行動意欲の高い従業員は、指示を待つのではなく、自ら考えて動きます。組織の課題を見つけ、解決策を提案し、実行に移していく積極性を持っています。この行動意欲こそが、企業の成長を加速させる原動力となるのです。
従業員エンゲージメントを高めるための取り組み8選

従業員エンゲージメントを高めるための具体的な施策を8つ紹介します。自社の状況や課題に合わせて、効果的な取り組みを選択していきましょう。
1. 企業の理念やビジョンを従業員に理解してもらう
従業員エンゲージメントを高めるためには、企業としての理念やビジョンを明確にし、従業員に浸透させることが大切です。
素晴らしいビジョンがあっても、浸透していなければ意味がありません。
そして、従業員が企業の方向性を理解し共感しているほど、企業に貢献したいという想いは強くなります。
顧客や社会に提供できる価値は何か、どのような企業を目指しているのかを明らかにすることで、従業員からの賛同も集めやすくなるでしょう。キックオフミーティングや社内報、トップメッセージ、企業の目指すべき姿をまとめたブランドブックなど、多様な機会を通じて従業員への周知を図ることが重要です。
理念を単に掲げるだけでなく、それが日々の業務とどう結びついているのかを具体的に示すことで、従業員は自分の仕事の意義を見出しやすくなります。
2. 社内コミュニケーションを活発化させる
人は「一緒に働いている人のことをよく知らない」「信頼できない」という状態では、自組織への愛着も持ちにくいものです。社内コミュニケーションを活発化させ、従業員同士の関係性を深めましょう。
具体的には、従業員同士が感謝の言葉を紙に書いて贈り合うサンクスカードの導入や、定期的なランチミーティングの開催が挙げられます。
リモートワークが中心の職場では、オンラインでの1on1ミーティングや社内SNSの活用も有効です。チャットツールを使った気軽なコミュニケーションの場を設けることで、オープンに意見を交わせる環境を整えましょう。
上司や同僚との接点を常に感じさせることで、従業員の帰属意識も高めやすくなります。雑談ができる雰囲気を作ることも重要です。
3. 上司のマネジメント力を向上させる
従業員エンゲージメントを向上させるには、上司のフィードバック能力やマネジメントスキルを高めることも重要です。従業員が正当に評価されていると感じるかどうかは、上司の伝え方にも左右されるためです。
具体的には、目標達成に向けてチームを一致団結させるマネジメント力や、部下の話を真摯に聞き適切なフィードバックを行う能力が求められます。管理職向けのフィードバック研修や評価面談研修を実施し、部下との効果的な面談方法や評価の伝え方を学ばせることもひとつの施策でしょう。
上司のマネジメント手法を改善することで、チーム全体の意欲を高めることにつながります。部下の成長を支援し、能力を最大限に引き出せる環境を整えることが、マネージャーの重要な役割なのです。
4. 明快な評価制度・人事制度を整える
従業員エンゲージメントを向上させるには、公平性の高い人事制度へ改善することも有効でしょう。正当な評価を得られない職場では、組織に貢献しようというモチベーションも湧かないものです。
成果だけを評価するのではなく、企業理念の体現度や成果に至るまでのプロセスも評価基準に加えるという方法があります。こうした評価基準を明確にし、透明性を高めることで、従業員の納得度が上がります。
評価への納得度を上げることで、従業員の仕事への積極性や意欲を高めることが可能です。正当に評価されていると従業員が感じられる制度を構築することが、エンゲージメント向上には欠かせません。
5. 表彰制度を導入する
「個人として尊重してもらえている」と従業員が感じる環境ほど、それに報いようと貢献する意欲も一層高まります。従業員の頑張りを承認し称賛する仕組み、いわゆるレコグニションを取り入れることが効果的です。
社長賞やMVP、チーム表彰など、定期的に表彰の場を設けるのもよいでしょう。こうした表彰制度は、従業員の自尊心を高め、さらなる貢献意欲につながります。
自分の努力が認められていると実感できることで、帰属意識や働きがいが向上するのです。
6. 従業員のキャリア開発を支援する
従業員が自らの成長を感じられる職場ほど、もっと組織のために働きたいという意欲も高まります。従業員の成長を支援できるような、キャリア開発の施策を取り入れることも効果的です。
キャリアデザイン研修を実施して従業員に今後のキャリア設計を促したり、管理職研修や中堅社員向け研修をはじめ階層別のOff-JTを手厚くしたりという方法があります。資格取得支援やスキルアップのための学習機会の提供も有効です。
キャリア開発支援を充実させることで、会社が自分のことを大事にしてくれているという従業員の満足度につながり、帰属意識の向上も期待できます。成長実感を持てる環境が、エンゲージメントを高めるのです。
7. ワークライフバランスを改善する
休みが十分に取れない、長時間の残業が常態化しているという職場環境では、従業員も自組織に貢献したいとは感じなくなるでしょう。休日制度や勤務時間を見直して、従業員のワークライフバランスを整えることも重要です。
柔軟に勤務時間を調整できるフレックスタイム制や、あらかじめ有給休暇の取得日を決めておく計画的付与、残業しない曜日を決めるノー残業デーなどの施策が挙げられます。リモートワークの選択肢を設けることも、ワークライフバランスの改善に寄与します。
心身ともに無理なく働ける職場をつくることは、従業員の組織に対する愛着を育む第一歩といえるでしょう。健康的に働ける環境が、エンゲージメントの基盤となります。
8. オフィス環境を整える
働きやすい快適なオフィス環境は、従業員の満足度やパフォーマンス、企業への誇りを高める重要な要素です。物理的な空間が従業員の心理や行動に大きな影響を与えることが、さまざまな研究で明らかになっています。
コミュニケーションを活性化させるオープンなレイアウトや、集中して作業できる個室ブース、リフレッシュできる休憩スペースなど、多様な働き方に対応した空間設計が求められます。
企業理念を体現するデザインを取り入れることで、従業員の帰属意識を視覚的にも高めることができるのです。
照明や空調、家具の配置といった細かな要素も、従業員の快適性や生産性に影響します。オフィス環境の整備は、他の施策にも複合的な効果を及ぼす強力な一手といえるでしょう。経営課題であるコミュニケーション促進や出社意欲の向上を、空間デザインを通じて実現することが可能なのです。
従業員エンゲージメントを高めるステップ

従業員エンゲージメント向上に取り組む際の具体的な手順を3つのステップで解説します。計画的に進めることで、効果的な施策実行が可能になります。
1. 自社にとっての従業員エンゲージメントを定義付ける
従業員エンゲージメントの概念は曖昧になりがちです。自社にとっての従業員エンゲージメントとは何か、どのような状態を目指すのかを明確に定義することが最初のステップとなります。
組織の目標を自発的に達成したいと思える状態なのか、知人に自社を勧めたいと感じる状態なのか、具体的な姿を描きましょう。定義を明確にすることで、施策の方向性が定まり、ブレのない取り組みが可能になります。
経営陣や人事部門だけでなく、現場の管理職も含めて共通認識を持つことが重要です。
2. 現状の課題を洗い出す
現状と理想のギャップを把握するために、エンゲージメントサーベイ(調査)を実施しましょう。従業員の意識や状態を定量的に測定することで、表面化していない潜在的な問題を特定できます。
調査項目の例としては、企業理念への共感度、上司との関係性、キャリア開発の機会、職場環境への満足度などが挙げられます。調査結果を分析し、自社が抱える具体的な課題を明らかにすることが、効果的な施策立案の基礎となるのです。
課題を把握することは施策の第一歩です。客観的なデータに基づいて現状を理解しましょう。
3. 課題解決につながる施策を検討し実行する
洗い出した課題に対して、優先順位をつけて施策を検討します。すべての課題に一度に取り組むのではなく、影響度の大きいものから段階的に実施していくことが現実的です。
施策は一時的なもので終わらせず、中長期的な視点で持続可能な戦略を練る必要があります。施策の実行後は、定期的に振り返り(定性・定量)と改善を行うPDCAサイクルを回し続けることが不可欠です。
エンゲージメント向上は継続的な取り組みが求められます。根気強く改善を重ねていきましょう。
まとめ

従業員エンゲージメントを高めることは、離職率の低下や生産性の向上、顧客満足度の改善など、企業の持続的な成長に直結する重要な取り組みです。
とくに、オフィス環境の整備は、コミュニケーションの活性化や帰属意識の向上など、他の施策にも複合的な効果をもたらす強力な施策といえます。
オフィスのデザインは、ただの作業空間を提供するだけでなく、従業員が自ら積極的に働きかける意欲を引き出し、チームの協力を促進する場としても機能します。
workkit by HITOBA DESIGNでは、見た目や機能面はもちろんのこと、経営課題を解決する本質的なオフィス設計・施工を提供しています。
従業員エンゲージメント向上を実現するオフィス空間づくりをお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。貴社の課題に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。