小規模オフィスのデザインで押さえるべきポイントは?注意点もまとめて解説
オフィスのデザインは、従業員の作業効率をはじめ、職場の雰囲気やコミュニケーションの活性化など、さまざまな要素に影響を与えます。そのため、できるだけこだわりを持ってデザインをする必要がありますが、オフィスの規模感も重視することが大切です。
この記事では、小規模オフィスを対象に、デザイン時に注意すべきポイントを解説します。あわせて、限られたスペースを有効活用できるレイアウトの例も紹介しているので、小規模オフィスの設計にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
小規模オフィスの定義とは
そもそも、小規模オフィスとはどの程度の規模のものを指すのでしょうか。小規模オフィスに厳密な定義は存在しませんが、5名前後での使用を目安にした面積を小規模オフィスとイメージされることが多いです。
予算はないものの事務所を構えたいフリーランスや、事業を始めたばかりのスタートアップ企業などが多く利用しています。
小規模オフィスのメリットとは

小規模オフィスは、利用者にとってさまざまなメリットをもたらす存在です。以下では、具体的な小規模オフィスのメリットについて取り上げるため、順番にチェックしていきましょう。
レイアウトの自由度の高さ
小規模オフィスのメリットのひとつとして、レイアウトの自由度の高さが挙げられます。大規模オフィスでは、従業員全員の意見を取り入れるのが難しく、無理に調整しようとすると、かえって誰にとっても使いづらい中途半端なレイアウトになってしまう恐れがあります。
一方で、小規模オフィスはその人数の少なさから、従業員の意見や要望を柔軟に取り入れやすく、働きやすい環境を実現しやすいのが特徴です。従業員の意向が反映されたオフィスは、モチベーションの向上や業務効率の改善にもつながるため、よりよい職場づくりに直結します。
コストの抑えやすさ
コストを抑えやすい点も、小規模オフィスのメリットです。オフィスを構えるにあたって、予算に不安を抱く方は少なくありません。
オフィスを用意する場合、オフィスそのものだけでなく、デスクや椅子、ロッカーなどのオフィス用品も準備する必要があります。そして、これらの費用はオフィスの規模の大きさに比例して大きくなるため、大規模なオフィスを構える際は高額な予算を確保しなければなりません。
しかし、小規模オフィスは大規模オフィスに比べると安価です。また、用意する備品の数も少なくすむため、全体の予算を低く抑えられます。
統一感の持たせやすさ
小規模オフィスは、デザインに統一感を持たせやすいです。大規模オフィスの場合、用意する備品の数が多く、あとから備品を買い足していくことも少なくありません。しかし、このケースではデザインが不揃いになりやすいです。
小規模オフィスは必要な備品の数が少ないため、統一したデザインでレイアウトできます。オフィスのデザインは、企業のブランディングにも影響を与える要素です。上手く活かせれば、企業風土として社内外によいイメージを持ってもらえるでしょう。
コミュニケーションの取りやすさ
従業員同士のコミュニケーションが取りやすいことも、小規模オフィスならではのメリットです。円滑なコミュニケーションは、業務の効率化やトラブル防止に直結します。物理的な距離が離れていると、ちょっとした意思疎通が難しくなり、情報の伝達ミスや認識のズレなど、さまざまな問題が生じやすくなります。
これが繰り返されると、チーム内の信頼関係が損なわれ、職場の雰囲気にも悪影響を及ぼす可能性があります。
その点、小規模オフィスは物理的な距離が自然と近くなるため、日常的な声かけや相談がしやすく、コミュニケーションが活発になりやすい環境です。これにより、連携ミスの防止や職場の一体感の向上が期待できます。
小規模オフィスのデメリットとは

小規模オフィスには、レイアウトの自由度の高さや予算の抑えやすさなど、さまざまなメリットが存在します。しかし、その一方でデメリットも複数あることも忘れてはいけません。
小規模オフィスの具体的なデメリットは、以下のとおりです。
作業スペースが狭いと不便
小規模オフィスの代表的なデメリットとして、作業スペースの狭さが挙げられます。作業スペースが狭いと、どうしても行える作業に制限が出てきてしまい、作業効率が低下しかねません。
作業スペースの狭さを改善する方法はさまざまですが、テレワークの導入、社外スペースの利用などがおすすめです。ただし、設備投資やレンタル費用などのコストが発生する可能性があるため、事前に予算とのバランスを検討することが重要です。
圧迫感がある
小規模オフィスのデメリットのひとつに「圧迫感を感じやすい環境」が挙げられます。空間にゆとりがないと、従業員にとって息苦しさや閉塞感を感じやすくなり、それがストレスや集中力の低下につながる可能性があります。
こうした圧迫感は、内装の工夫や家具の配置を見直すことである程度軽減できます。それでも改善が難しい場合は、中規模から大規模のオフィスへの移転も視野に入れるとよいでしょう。
パーソナルスペースを確保しにくい
小規模オフィスは、パーソナルスペースが確保しにくい点もデメリットとして挙げられます。小規模オフィスでは物理的なスペースが限られているため、十分な距離感や視線を遮る工夫が難しく、常に人の目が気になる環境になりがちです。
このような環境が続くと、無意識のうちにストレスが蓄積し、業務パフォーマンスの低下や、対人トラブルの原因となることもあります。可能であれば、パーテーションの設置や座席配置の工夫によって、一定のパーソナルスペースを確保できるよう設計することがおすすめです。
セキュリティ面の懸念
セキュリティ面の懸念も小規模オフィスのデメリットです。昨今はさまざまな機密情報を扱う関係上、従業員・クライアントに関係なくセキュリティに対する意識が高くなっています。
小規模オフィスの場合、物理的な距離が近いため、作業中のパソコンの画面を覗かれたり、話を聞かれたりするリスクが高いです。万が一情報漏洩が発生した場合、クライアントの信頼を失ってしまい、最悪の場合、取引を打ち切られる恐れがあります。
一度失った信頼を取り戻すのは容易ではありません。とくに小規模オフィスにおいては、限られた人員や設備の中での運営となるため、セキュリティ対策には一層の注意が必要です。
万が一の情報漏洩やトラブルを未然に防ぐためにも、日頃から万全の体制を整えておきましょう。
小規模オフィスのデザインのポイント

小規模オフィスを快適に過ごせる空間に仕上げるためには、デザインが重要です。以下では、過去にオフィスのデザインをした経験がない方、そしてデザインに悩んでいる方向けに、オフィスのデザインをするにあたって押さえるべきポイントについて解説します。
パーテーションや収納を活用する
小規模オフィスで快適なオフィス空間を実現するにあたって、パーテーションの存在は欠かせません。パーテーションは従業員のプライベートな空間の確保、そしてセキュリティのために必要です。
ただし、パーテーションを使いすぎてしまうと圧迫感が強まってしまうため、適度な数に留めましょう。そして、小規模オフィスでは収納スペースが足りなくなるケースが多いため、収納もしっかり確保しましょう。
なお、最近では収納としても利用できるパーテーションも登場しています。活用すれば、必要最低限の備品だけでプライベート空間が確保できるだけでなく、収納の問題も解決できるため、活用してみましょう。
視線を遮らない
小規模オフィスのデザインを考える際は、視線を遮らないような工夫をしましょう。視線が遮られてしまうと、どうしても空間全体を狭く感じてしまいます。
また、視線が遮られてしまうと、従業員の様子を把握するのも困難になります。そのため、高さが低いオフィス家具を採用して視線が遠くまで届くようにする、パーテーションの数を減らすなどの対策をしましょう。
音にも配慮する
視覚のみならず、聴覚にも気を配るのも小規模オフィスのデザインのポイントです。小規模なオフィスの場合、コピー機の稼働音や、ほかの従業員がパソコンのキーを叩いている音など、ちょっとした音が気になってしまう場合があります。
音によって集中力が途切れてしまうと、業務効率が低下する可能性も否定できません。また、単純に従業員のストレスにつながってしまう恐れもあります。吸音材を採用する、音が出る機器は部屋の隅に配置するなどして対策しましょう。
内装と家具の調和を意識する
小規模オフィスでは、内装や家具のデザインが空間全体に与える影響がとくに大きくなります。そのため、内装と家具の調和を意識したコーディネートが重要です。
仮に家具や内装の選定を誤ると、見た目のバランスが崩れるだけでなく、機能性にも悪影響を及ぼしかねません。 統一感のない空間や使い勝手の悪いレイアウトでは、業務の効率が下がってしまう恐れもあります。
もし、十分な検討時間が確保できない場合や、自社での選定に不安がある場合は、デザインから施工までを一括で対応してくれる専門業者に依頼するのもひとつの方法です。プロの視点を取り入れることで、機能性とデザイン性の両立したオフィス空間の実現が期待できます。
将来的な増員も考慮する
オフィスのデザインを考える際は、将来的な増員も考慮しましょう。人数が増えた場合、オフィスのスペースが手狭になってしまいます。もし移転が必要になってしまうと、その分コストがかかってしまうため、経済的とはいえません。
そのため、可変性の高いオフィス家具を導入する、ペーパーレスを進めて省スペース化を進めるなどの対策を行いましょう。
小規模オフィスのデザインを考える際の注意点

小規模オフィスのデザインを考えるにあたって、いくつか注意しておきたいポイントが存在します。注意点をあらかじめ押さえておけば、より快適な作業空間を実現できるでしょう。
ここでは、小規模オフィスのデザインを考える際の注意点について解説します。
1名あたりの必要面積を意識する
デザインを検討する際は、従業員1名あたりの必要面積を意識しましょう。一般的に、従業員1名が必要とするスペースの広さは3坪といわれています。これを下回ってしまうと、作業スペースが足りず、作業効率が低下したり、従業員のストレス値が上昇したりする可能性も否定できません。
ただし、テレワークが主な就業スタイルで、出社している従業員の数が少ない場合は、作業スペースの広さが3坪を下回っても窮屈さを感じにくいです。オフィスの広さや就業形式などを考慮して、適切な作業スペースの広さを確保できるようにしましょう。
ミーティングスペースを軽視しない
デザインを検討する際は、ミーティングスペースも重視しましょう。
「わざわざミーティングのためのスペースを作る必要はないのでは?」と考える方もいますが、専用のスペースがないと外の音が気になったり、スペースが狭いせいでミーティングの参加者が全員参加できなくなったりして、ミーティングの進行に影響が出る可能性があります。
そのため、快適にミーティングを実施できるように、防音やゾーニングにこだわったスペース作り、およびデザインの検討をしましょう。
動線を意識する
オフィスのデザインにおいて、動線も意識しましょう。動線が悪いと、従業員がオフィス内をスムーズに移動できない、作業の効率が著しく低下するなどの問題が発生し、従業員のモチベーションや企業の経営にも深刻な影響が出かねません。
そのため、コピー機を従業員全員が利用しやすい場所に配置する、普段使わない作業スペースはあえて遠くに設けるなど実際の従業員の動きを意識してオフィスのデザインを考えましょう。
従業員の希望も反映する
オフィスのデザインを検討する際には、従業員の希望や意見を取り入れることも重要なポイントです。日々その空間で業務を行うのは従業員であるため、快適に過ごせるか、効率的に作業ができるかといった視点を重視して設計を進めましょう。
小規模オフィスであれば、従業員数が限られている分、意見の吸い上げや反映が比較的容易です。日常的なコミュニケーションや定期的なヒアリングを通じて、現場の声を的確に反映することで、働きやすく、満足度の高いオフィスづくりが可能になります
小規模オフィスにおすすめのレイアウト
最後に、小規模オフィスに適している、おすすめレイアウトをいくつか紹介します。オフィスのレイアウトが決まらない方は、ぜひ参考にしてください。
対向型レイアウト
対向型レイアウトとは、デスク同士を向かい合わせに配置するスタイルで、現在も多くの企業で広く採用されている基本的なレイアウトのひとつです。従業員同士が顔を合わせやすく、自然とコミュニケーションが生まれやすい点や、電話やパソコンの配線をまとめやすい点が主なメリットです。
一方で、プライベートな空間を確保しづらく、向かい合う相手の視線が気になって集中しづらいという課題もあります。こうしたデメリットに対しては、パーテーションを設けるなど、適度な距離感とプライバシーを確保する工夫が求められます。
同向型レイアウト
同向型レイアウトとは、すべてのデスクを同じ方向に配置する方式のことです。コールセンターをはじめとする、受け付け業務をメインに行っているオフィスで採用されています。
プライバシーを保ちやすいのが特徴で、集中力が求められる業務に最適なスタイルです。なお、従業員全員が同じ方向を向いている関係上、コミュニケーションが取りにくい点がデメリットのため、チャットツールやメールなどを利用して、意思の疎通をスムーズに行えるような工夫をする必要があります。
背面型レイアウト
背面型レイアウトとは、従業員同士が背中合わせの状態で座る方式のことです。スペース効率のよさが特徴で、通路幅も広く確保できます。正面に誰もいないため、プライバシー性も高く、集中して業務に取り組むことが可能です。
また、振り返れば従業員同士でコミュニケーションも簡単に取れます。ただし、通路側からパソコンの画面が丸見えになってしまう、全員が背を向けている関係上、全体の様子を把握しにくいなどのデメリットもある点に注意しましょう。
ブース型レイアウト
ブース型レイアウトは、席と席の間をパーテーションで区切る、ブースを設けるなどして、ソロワーク専用のスペースを作る方式のことです。周囲の視線や音を感じにくくなるのがメリットで、機密情報を扱う業務や、集中力が必要な業務を行うのに向いています。
一方で、コミュニケーションを取りにくい点がデメリットです。
フリーアドレス型レイアウト
フリーアドレス型レイアウトとは、個人のスペースを持たず、当日の業務や気分に合わせて自由に席を選択する方式のことです。コミュニケーションの活発化、そしてスペースの有効活用などの効果が期待できます。
一方で、書類の管理や収納スペースの確保が難しい点がデメリットです。
workkit by HITOBA DESIGNでは、さまざまなオフィスの事例を掲載しています。
具体的なイメージを描くうえで参考になる情報が多数そろっていますので、
ぜひあわせてご覧ください。
まとめ

小規模なオフィスはコストの削減、デザインの自由度の高さといった、さまざまなメリットがあります。しかし、作業スペースの確保が困難、圧迫感があるなど、デメリットがあります。そうしたメリットとデメリットを踏まえ、快適で機能的なオフィス空間を実現するには、設計段階から専門的な視点を取り入れることが重要です。
workkit by HITOBA DESIGNでは、オフィスの内装設計から施工までをワンストップで対応しています。プロジェクトごとに最適な体制を構築し、社外パートナーを含む経験豊富なデザイナーを柔軟に配置することで、多様でクリエイティブなデザイン提案を実現しています。
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