ハイブリッドワークで業務効率が向上!導入するメリットや注意点とは

オフィス環境改善

オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークは、近年注目を集めている働き方の一つです。
必要に応じてオフィスワークとテレワークでの働き方を従業員が自分で選べるため、業務の効率化につながるとされています。

ハイブリッドワークの導入を検討しているなら、メリットやデメリットのほか、導入する際の注意点などを理解することが大切です。
しかし、具体的にどのようなことを知っておくべきか分からない方もいるでしょう。

今回は、ハイブリッドワークのメリットやデメリット、導入手順、注意点などについてご紹介します。
あわせて、意識したいオフィスレイアウトのポイントについてもまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

ハイブリッドワークとは

ハイブリッドワークは、自宅やワーキングスペースなどを活用するテレワークと、出社して働くオフィスワークを組み合わせたものです。
例えば、週に最低2日は出社するように定め、残りの3日分は自分でテレワークにするかオフィスワークにするかを決められます。
 
出社する曜日が決まっている企業もあり、ハイブリッドワークと一口に言ってもそのスタイルはさまざまです。

ハイブリッドワークを導入している企業の割合はどれくらい?

ハイブリッドワークに関して、国土交通省から統計が出ています。
国土交通省の「テレワーカーの割合は減少、出社と組み合わせるハイブリットワークが拡大~令和5年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~」によると、令和5年時点でテレワークを導入している企業のうち、週1日~4日のテレワークとしている企業の割合は以下の通りです。
 
・週1日:16.9%
・週2日:17.2%
・週3日:13.6%
・週4日:10.4%
・合計:58.1%
 
資料によると、6割近い企業がハイブリッドワークを導入している結果となりました。
令和4年時点の合計53.7%と比較するとハイブリッドワークの企業の割合は増えており、今後も増える可能性があります。

ハイブリッドワーク導入のメリット

ハイブリッドワークを導入すると、柔軟な働き方ができるだけでなく従業員の満足度や積極性が増すというメリットもあります。
メリットについて詳しく解説していきましょう。

1. 柔軟な働き方ができる

ハイブリッドワークではテレワークとオフィスワークを自分で選択可能です。
 
育児や介護をしていても、仕事と両立しやすくなります。
家族や大切なイベントごとに合わせてテレワークにするといった柔軟な働き方もできるので、ワークライフバランスの実現にもつながるでしょう。
 
また、急な病院への付き添いなど、突発的な事態にも対応しやすくなります。
大雨や台風で出社できないとなった時にも、落ち着いて自宅で仕事ができるでしょう。

2. 従業員の満足度が高まる

ハイブリッドワークでは従業員が自分の都合に合わせてテレワークとオフィスワークを使い分けられます。
働く場所を選べるのは従業員にとって魅力であり、働きやすい環境になると考えられるでしょう。
 
その結果として従業員の満足度が向上し、離職率の低下にもつながります。

3. 生産性が増加する

ハイブリッドワークでは、従業員が自分で働き方を決められる点が特徴です。
 
同じ作業でも、自宅やコワーキングスペースで行うことで仕事が進む人もいれば、オフィスの方がよいという人もいます。
また、作業内容によってテレワークとオフィスワークを使い分けたい人もいるでしょう。
 
従業員にとって働きやすい方法・場所で仕事ができるため、仕事に対して前向きに取り組みやすくなります。
それぞれ効率的に仕事を進めやすい環境が整うため、企業全体の生産性も向上するでしょう。

4. 優秀な人材の獲得につながる

ハイブリッドワークによって得られるメリットは、求職者へのアピールポイントにもなります。
 
例えば、柔軟な働き方をしやすい職場環境は、ワークライフバランスを重視されることも多い昨今で重要なアピールポイントです。
従業員の満足度の高さも魅力となるでしょう。
 
また、ハイブリッドワークにより業務効率化が進むことで、採用活動に注力しやすくなります。
入社後は、育児や介護などと両立しやすく定着率の向上にもつながるため、人材不足にもなりにくくなる可能性があることもメリットです。

5. オフィス空間を有効活用できる

ハイブリッドワークでは、一度にオフィスを使用する従業員の数が少なくなります。
従業員全員分の固定席を用意する必要がないため、オフィス空間にスペースが生まれるでしょう。
 
空いたエリアは、カフェスペースや会議室や集中ブースなどに活用できます。
また、不要なスペースが多いのであればオフィス自体を縮小することも可能です。
 
ただし、その日出社する従業員の作業スペースが足りなくならないよう、縮小する場合でもある程度のゆとりは必要になります。
 
オフィスにカフェスペースを設けるメリットについては「オフィスにカフェスペースを設けるメリットとは?活用法や導入事例をご紹介」で詳しく解説しています。

ハイブリッドワーク導入のデメリット

ハイブリッドワークには、柔軟な働き方がしやすいなどのメリットがある一方で、情報漏えいのリスクやコミュニケーションの減少といったデメリットもあります。
導入する際は、デメリットもよく理解したうえで決定することが大切です。

1. 情報漏えいのリスクがある

ハイブリッドワークでは、従業員が社外で仕事をすることになるため、オフィスで仕事をするよりも情報漏えいのリスクは高くなります。
書類やデータの入ったUSBを置き忘れたり、外でパソコンを開くことで画面を盗み見られたりする可能性もあるでしょう。
 
特に、今までテレワークを行っていなかった企業が導入する場合は、開始前にセキュリティ面の強化やセキュリティ研修を行うなどの対策が必要です。

2. コミュニケーション不足につながる恐れがある

テレワークが増えると、必然的に従業員間で直接コミュニケーションの機会は減ります。
オフィスワークであれば雰囲気で従業員が困っていると気づく場合もありますが、テレワークだと気づけない可能性もあるでしょう。
自分から連絡しない限りは作業の進捗が把握しにくい環境なので、意図せずプロジェクトの進行速度が遅くなる恐れもあります。
 
また、トラブル時にすぐ担当者につなげられない可能性がある点もデメリットです。
こういった事態を防ぐためには、コミュニケーションツールを積極的に使用したりグループで同じ出社日を作ったりするとよいでしょう。

3. 制度の見直しが必要になる

ハイブリッドワークではテレワークとオフィスワークが混在するため、勤務管理や評価制度の見直しが必要です。
オフィスワークのみであれば、従業員が出社時と退社時に打刻をすることで勤怠管理が行えました。
 
しかし、テレワークでは人によって働き方が異なるため、同じような勤怠管理はできなくなります。
そのため、テレワークでも利用できる勤怠管理ツールの導入が必要です。
 
また、評価制度も変えたほうがよいでしょう。
オフィスワークを中心とした評価制度のままでは、テレワークをメインにしている人とそうでない人で差の出る可能性があるためです。
作業の進捗状況や実績などに応じて判断できるような、新たな評価制度の構築を行う必要があります。

ハイブリッドワークの導入手順

ハイブリッドワークは、メリットやデメリットを理解したうえで、導入するかしないかを判断することが重要です。
実際に導入すると決めた場合は、次の手順を参考にするとよいでしょう。

1. 運用ルールを決める

ハイブリッドワークにすると、テレワークとオフィスワークで始業時間・終業時間・休憩時間などに差が出ます。
これにより、評価に差が出る可能性もあるでしょう。
従来のオフィスワーク中心の社内規則では不具合が出る可能性もあるため、必要に応じて変更します。
 
また、ハイブリッドワークはテレワークとオフィスワークの両方をする働き方なので、週に〇回は出社といったルール策定も必要です。
さらに、テレワークの日でも進捗状況を確認できるよう、報告するタイミングのルールや、作業の進行においてトラブルが発生したときの対応方法、連絡先なども決めたほうがよいでしょう。

2. 制度をハイブリッドワークに合わせたものにする

オフィスワーク中心の働き方からハイブリッドワークを導入へ移行する場合、評価制度や勤怠管理システムの変更が必要になる場合もあります。
テレワーク中心とオフィスワーク中心の従業員それぞれが見たときに、できるだけ公平な制度変更を行います。
 
また、評価だけでなく福利厚生にも差が出ないようにしましょう。
制度を大きく変えることにもなるので、評価制度や勤怠管理システムのコンサルタントなどに相談することも選択肢の一つです。

3. ハイブリッドワークができる環境を整える

テレワークとオフィスワークの従業員がコミュニケーションを取りやすいよう、コミュニケーションツールの導入が必要です。
セキュリティ面を考えると、テレワーク向けに専用の端末やノートパソコンを用意した方がよいケースもあります。
 
さらに、オフィスの席を固定せずフリーアドレスにすると自分の席を気にしなくてよくなるため、従業員同士のコミュニケーションが活発になりやすいでしょう。
 
フリーアドレスは、使われていない席を削減できるため、オフィス空間の無駄を減らすのにも役立ちます。
テレワークでもオフィスワークでも両方で働きやすい環境を整えると、より仕事に取り組みやすくなるでしょう。
 
フリーアドレスや社内コミュニケーションによるメリットは「フリーアドレスとは?企業に変革をもたらす柔軟な働き方と成功の秘訣【事例付き】」や「社内コミュニケーションで得られるメリットは?オフィスデザインによる成功事例」も参考にしてください。

4. セキュリティ対策をする

ハイブリッドワークにおいて、セキュリティ対策は必須です。
情報漏えいは企業の信頼を失墜させます。
 
従業員に対してセキュリティ研修を行うだけでなく、外で意図しない情報流出を防ぐ対策も行いましょう。
ログインでは二段階認証をしたり、特定のサイト以外にはアクセスできないようにしたりするのも対策の一つです。
 
また、カフェなどで作業をするときにフリーWi-Fiを使うと、悪意のある人からWi-Fiを通じて情報を盗まれる可能性があります。
意図せぬ情報漏えいを防ぐため、ノートパソコンをフリーWi-Fiなしで使用できるようにする方法もあります。
ファイルのアクセス権限は必要な人だけに絞ることも必要です。

ハイブリッドワーク導入時の注意点

導入に際して、注意しておきたいポイントをまとめました。
より働きやすい環境をつくるためにも、チェックしておきましょう。

こまめな情報共有をする

対面でやり取りできるオフィスワーク中心の従業員とテレワーク中心の従業員では、持っている情報に差が出る場合があります。
対面で伝えるだけでなく、情報共有ツールを使用してこまめに連絡をすることで、それぞれの従業員が持っている情報に差が出ないようにしましょう。
 
細かなことでも情報共有を欠かさないことで、プロジェクトの進捗状況や課題が発見しやすくなり、スムーズに対応できます。
こまめな情報共有は、従業員が相談しやすい環境を作るうえでのメリットです。

コミュニケーションを取る機会・場を設ける

コミュニケーションは、従業員が連携して作業を進めるためにも重要です。
メールや電話だけでなく、手軽に使えるビジネス向けチャットなどをコミュニケーションツールとして導入すると、気軽に連絡を取りやすくなるでしょう。
 
また、オンライン会議を定期的に開いて、相談できる機会を作ることも大切です。
社風や企業規模にもよりますが、月に何回かなどを決めてプロジェクトメンバーが揃う日を作ったり、従業員全員での懇親会を開いたりすると、対面で会う機会を作れます。
 
特に、新入社員や転職してきた社員がいるときは、実際に会う機会を作ることで「どういった人たちと一緒に働いているか」を確認できるため、安心して働きやすくなるでしょう。

ハイブリッドワーク導入で意識したいオフィスレイアウトのポイント

ハイブリッドワーク向けのオフィスレイアウトは、柔軟な働き方に対応したものにする必要があります。
オフィスワークを選択する従業員も少なからずいるので、オフィスワーク用のスペースはある程度確保しつつ、フリーアドレスにして従業員が自分で働く場所を選べるとよいでしょう。
 
そのうえで、不要な場所は削減し、カフェスペースや会議室などを加えます。
リラックスできる場所と集中する場所がオフィス内にあることで、従業員は気持ちの切り替えをしやすくなるでしょう。
 
また、ハイブリッドワークでは、テレワーク中心の人がオフィスワークのために出社したときに求めるものとして「コミュニケーション」があるといわれています。
スペースが有効活用されている機能的なオフィスではコミュニケーションが活発になりやすく、新たなアイデアも生まれやすいでしょう。
 
ハイブリッドワーカーが働きやすいオフィスや、おしゃれで機能的なオフィスについては「ハイブリッドワーカーが働きやすいオフィスのデスクレイアウトとは?」や「おしゃれで機能的な企業オフィスの作り方は?6つの事例を画像付きでご紹介」も参考にしてください。

ハイブリッドワークにも対応しやすいオフィスの事例

workkitが手掛けた、ハイブリッドワークに対応しやすいオフィスの事例を紹介します。

マイポックス株式会社様

オフィスの壁沿いに設置されたひな壇は、日常のコミュニケーションの場のみならず、セミナーや会議も実施できる便利な場所です。
オフィスワークをする従業員が集う場所として機能します。

ワークスペースは仕切りをなくし、作業状況や気分に応じて選べるレイアウト設計なので、作業しやすい空間となっています。
必要に応じて、壁で仕切られた小部屋の利用も可能です。
 
→事例の詳細はこちら

ハイブリッドワークで、より働きやすい環境へ

ハイブリッドワークを導入すると、従業員はライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になります。
作業効率も上がるため、企業全体の生産性もアップするでしょう。
 
一方で、対面でのコミュニケーションが減少しやすかったり、セキュリティ面でのリスクがあったりするなどのデメリットもあります。
デメリットを補うためには、導入前にしっかりとルール策定やセキュリティ対策をし、ハイブリッドワーク向けに評価基準や勤怠管理方法などを整えることが大切です。
 
また、テレワークにより出社頻度が減る従業員も出ることから、オフィスはフリーアドレスにすると無駄な空間を減らせ、新たにカフェスペースや会議室などに有効活用できるでしょう。
 
workkitではフリーアドレスやカフェスペースなどを採用したさまざまなオフィスレイアウトの事例を紹介しています。
ハイブリッドワーク向けのオフィスレイアウトについて悩んでいるならお気軽にご相談ください。