オフィスの会議室にこだわる。有意義な会議を実現させるデザインとは?

コミュニケーション活性化

オフィスには、さまざまな用途の部屋があります。なかでも、執務スペースと同様に重要なのが会議室です。有意義な話し合いを行うために、オフィスの会議室はどうあるべきでしょうか。

本記事では、会議室をデザインするときに考えておきたい要素やポイントを解説します。WORK KITが手がけた会議室にこだわった実例も厳選して紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。

ミーティングスペースのタイプ

オフィスにおけるミーティングスペースは、用途や目的に応じて大きく2つに分類することができます。主に会議室として使用される「クローズ空間」と、オープンなコミュニケーションを促進する「オープン空間」です。それぞれの特徴と活用方法について見ていきましょう。

クローズタイプのミーティングスペース

クローズタイプのミーティングスペースは、プライバシーと集中力を重視した会議やミーティングのための専用スペースです。壁やパーテーションで区切られた独立した空間で、機密性の高い商談や、重要な議題を話し合う際に適しています。

クローズタイプのメリット

  • 防音性が確保されると同時に、外部からの視線や騒音に煩わされることなく、参加者が落ち着いて議論に集中できる
  • プロジェクターやホワイトボードなどの会議用設備を常設でき、必要に応じて可動式の間仕切りで空間をフレキシブルに利用できる
  • オンライン会議にも対応しやすく、様々な規模や目的の会議に対応できる実用的な空間として機能する

クローズタイプのデメリット

  • 完全に閉じられた空間のため圧迫感を感じる
  • 防音設備や空調・換気システムの導入には高額な設備投資と維持管理コストが必要
  • 固定的なスペース配置により柔軟な運用が制限される
  • 密閉空間における換気、温度管理、採光の調整といった課題がある


【事例紹介】フレキシブルな可動式会議室で実現する開放的なオフィス空間

株式会社フジモト様

こちらのオフィスには、12名用と6名用の2つの会議室が設置されています。一般的にクローズタイプの会議室は圧迫感が課題となりますが、この事例ではガラス製の可動式間仕切りを採用することでその問題を解消しています。それぞれの会議室は用途に応じて使い分けられ、間仕切りの開閉により一つの空間としても利用可能です。透明なガラスの採用により開放感のある空間を実現し、社内の様子が見渡せることで一体感のあるオフィス環境を生み出しました。
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【事例紹介】自然光と可動式空間で癒しと柔軟な利用を実現した会議室

医療法人社団家族の森 多摩ファミリークリニック様

豊かに降り注ぐ自然光と開放感が特長の工夫が施された明るい会議室です。日当たりの良い2つのミーティングルームは、可動式間仕切りを活用することで個室としても、また1つの大きな空間としても利用可能です。大人数での会議の際は間仕切りを収納し、ベンチソファも活用することで柔軟な収容が可能となっています。さらに、窓側に配置された植栽は空間のアクセントとなるだけでなく、スタッフの心を癒す効果も期待できます。
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【事例紹介】大人数でも快適に利用できる多目的会議室

NABLAS株式会社様
こちらのオフィスには、最大64名を収容できる多目的なセミナースペースを設けました。AI教室やプログラミングスクール、各種勉強会やイベントなど、幅広い用途に対応できる大型プロジェクターを完備しています。可動式で収納も可能なミーティングチェアを採用することで、自由な空間活用とスムーズなコミュニケーションを実現しています。

オープンなミーティングスペース

オープンなミーティングスペースは、自由でカジュアルなコミュニケーションを促進するための開放的なスペースです。壁や仕切りのない、あるいは最小限の仕切りしかない環境で、簡易的なミーティングやインフォーマルな打ち合わせに適しています。

オープンタイプのメリット

  • ラウンジやカフェのような居心地のよい雰囲気を演出しやすい
  • 社員同士の自然な交流やアイデアを生み出すきっかけを作れる
  • フレキシブルな家具配置や可動式の備品を活用することで、少人数での打ち合わせから全体会議まで、様々な用途に対応できる
  • リラックスした雰囲気の中では活発で柔軟な議論が生まれやすい
  • チームや部署の垣根を越えたコラボレーションを促進できる

オープンタイプのデメリット

  • 秘匿性が低く情報漏洩の危険がある
  • 周囲の音や声が気になり気が散る可能性がある
  • かしこまった商談や打ち合わせには不向き


【事例紹介】オフィス改革を実現する多目的ワークラウンジ

キリンエンジニアリング株式会社様
この事例では、「業務効率」「コミュニケーション」「社員の健康」という3つのUP(改革・改善)を実現するオフィスデザインを展開しました。とくに「ワークラウンジ」は、日常的なワークスタイルに変化をもたら空間として位置づけています。ワークラウンジは、従来の会議室やデスクワークスペースとは大きく異なり、リラックスした雰囲気の中で仕事やコミュニケーションができる多目的スペースです。カウンター席とソファ席を組み合わせることで、カジュアルな打ち合わせから集中作業まで幅広く対応できます。
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【事例紹介】コミュニケーションを促進する多目的ワークラウンジ

株式会社アトラエ vol.3|曲線のソファベンチ・可動式スツール

株式会社アトラエ様
ワークラウンジとワークスペースの2フロアに分かれたオフィスです。ワークラウンジスペースには、空間の主役となるビッグカウンターを備えています。来客時の打ち合わせや食事会、社内外のイベントなど幅広い用途に対応できる自由度の高い空間で、多目的な交流を促進するパブリックスペースとして機能しています。また、固定的なテーブルと椅子ではなく、可動式の造作スツールを採用することで、より気軽なコミュニケーションを促進。高低差のある配置と天板トレイの組み合わせにより、座席としてだけでなくディスプレイスペースとしても活用できる工夫が施されています。
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【事例紹介】フレキシブルな用途に対応するひな壇スペース

セミナーに活用できる雛壇席
セミナーに活用できる雛壇席

Mipox株式会社様
東京駅から徒歩1分という好立地を活かしたこちらのオフィスには、開放的なひな壇席を設置しました。この空間は、日常的なコミュニケーションの場としてだけでなく、全社会議やセミナー開催時の集会スペースとしても活用されています。また、他拠点のスタッフが立ち寄れる中継点としての役割も果たし、社内の交流を促進する重要な場となっています。
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オフィスの会議室に求められる要素は?

オフィスの会議室は、参加メンバーが集中して有意義な話し合いを行える環境にする必要があります。複数の人が利用する場所でもあり、近年の働き方の変化に合わせ使い方も考えなければいけません。ここでは、オフィスにも必要な要素を考えます。

集中して話し合いができる

会議室は、基本的に話し合いを行う場所です。集中して議題についてディスカッションができるようにしましょう。「ガラス張りのために外部の視線や人通りが気になる」「外の音が大きすぎて会議室の発言者の声が聞こえない」などの問題は集中力を妨げます。まずは、会議室を設ける場所そのものの環境から検討する必要があります。

設備が充実している

集中力を維持するためには、居心地よくストレスのかかりにくい設備環境も重要です。空調や換気設備を整えましょう。

また照明設備も、しっかり計画してみてください。参加者の顔がしっかり見渡せるように部屋全体を明るくするだけでなく、プロジェクターなどで投影される映像・画像を見るために部屋を暗くすることもあります。シーンによって、適切な照度に切り替えができるような照明計画が大切です。

ノートパソコンの持ち込みやプロジェクター・スピーカーなども使われるでしょう。電源が適切な位置に十分用意されているかどうかもポイントです。

オンライン会議にも対応できる

近年、テレワーク・リモートワークが普及し、オンラインでの会議も一般的になりました。一部の人だけオンラインで参加するということも考えられます。そこで、オンラインでの声・音の反響や画面が見やすい位置かどうかなどを考慮しなければいけません。

プロジェクターやスクリーン、スピーカーなど、オンライン会議で使用する器具はすぐにセッティングできるかあるいは常設されているでしょうか。また、それらの器具を収納しておくスペースは用意する必要があります。

長時間過ごしても快適

会議室に限ったことではありませんが、居心地のよさも重要なポイントと言えます。とくに会議は長時間になる場合もあります。休憩スペースを併設したり、からだに負担の少ないチェアを導入したり、快適に過ごせる工夫をしてみてください。短時間や活発に動きがある会議・ミーティングでは、スタンディングデスクなどを利用してみてもよいかもしれません。

また、常時利用する部屋ではないことから、不十分な換気や温度管理の不安定さも考えられます。一度に多くの人が集まる場所でもあるため、空気環境を整えることも大切です。

汎用性が高い

会議室には、さまざまな使用用途があります。例えば、応接室・少人数のミーティングスペース・研修室・ワークショップや講演会会場などが挙げられるでしょう。また、休憩やランチのための場所や集中して作業するために個人が一時的に利用するケースもあります。会社や業務の特性に合わせて、想定されるケースに対応する環境を作ってみてください。

使いやすい会議室のレイアウトと特徴

会議室をデザインするときには、内装材や設備だけでなくテーブルやチェアをどのようにレイアウトするかを考えます。会議室の使い方により、適したレイアウト方法は変わるでしょう。ここでは、基本となる会議室のレイアウトについて解説します。

対面型

会議参加者が向かい合わせに顔を見ながら意見交換を行うのが「対面型」です。他社との商談や部署の異なるチームでのディスカッションなどに向いています。

島型

4〜6席のテーブルを向かい合わせるように並べて「島」を作る形式です。複数のグループによる研修やグループワーク、小規模のミーティングなどに利用されます。

コの字型・ロの字型

大人数での会議で一般的なのが、テーブルを「コ」の字型、あるいは「ロ」の字型に並べる配置方法です。コの字型の空いているスペースには、プロジェクター用のスクリーンやホワイトボードなどを設置するケースがよく見られます。

スクール型・シアター型

テーブルや椅子を正面に向けて配置するレイアウトは、セミナーや研修・講演会などに向いています。テーブル無しの場合は、簡易的なテーブルが付いた椅子やバインダーを利用するとよいでしょう。

会議室をデザインするときのポイント

会議室は、企業や利用者の求める用途に合わせてデザインしなければいけません。ここでは、意識すべきポイントを解説します。

窓や出入口の位置との関係性

会議室をオフィス内のどの場所に配置するかをあらかじめ検討する必要があるでしょう。出入口側が正面になる配置では、会議途中の出入りがあった場合に邪魔になる可能性も考えられます。

また窓からの直射日光がまぶしい、パソコンや机上に反射するといったことがないように窓との位置関係も考えておきます。遮光機能のあるカーテンやブラインドを設置する必要があるかもしれません。逆に窓がない場合は、適切な換気ができるような設備を用意してください。

内装材が会議に適しているか

会議では、発言者の声の聞き取りやすさも重要です。とくに近年では、オンラインでの会議も増えていることから音の反響は深刻な問題です。吸音性の高い壁材や床材を使用するなど工夫をしてください。また、会議中に立ち座りや移動が頻繁に行われる場合は、かたい素材の床では足音が響きやすくなります。カーペットなど、音を吸収する素材を使用するとよいでしょう。

照明・音響設備は適切か

プロジェクター等での投影がある場合は、室内を暗くする必要があります。部屋全体のオンオフだけでなく、場所ごとの切り替えやスムーズな調光ができるとよいよいでしょう。

大人数で行う会議室や講義・講演会などでは、声が全体に届かない可能性もあります。状況によっては、会場内にいる全員がしっかりと内容を把握できるように、マイクやスピーカーを利用してください。

家具・設備に過不足はないか

作業をする場所ではなく、話し合いをすることが前提の場所です。会議に適したテーブル・チェアを使用してください。また、収納家具やコンセントなどが不足しないようにあらかじめしっかり検討する必要があるでしょう。

会議の種類によって、用途に合った使い方ができるような家具・設備を選ぶことをおすすめします。自由に動かせるように可動式のテーブルを選ぶ、カーテンやパーテーションなどで会議室を適切な広さに区切るなどの工夫をしてみてください。

快適に集中できる会議室で実りあるディスカッションを

会議室は、社内外の複数の人が集まる空間です。会議だけでなく、研修や講演会など使用用途の幅が広い点も踏まえ、必要な設備や家具を過不足なく用意して集中できる環境をしっかりと整えましょう。