ワークスタイルの多様化に伴い、オフィスでの柔軟な働き方が一般的になってきました。しかし、長時間のデスクワークは心身に負担をかけることがあります。作業効率を向上させるには、適切な休息と気分転換の場が欠かせません。
このような背景から、多くの企業が「休憩スペース」を設置し始めています。これらのスペースは、リフレッシュの機会を提供するだけでなく、従業員間のコミュニケーションを促進する重要な役割も果たしています。
本記事では、オフィスデザインの専門家であるWORK KITが、効果的な休憩スペースのデザインのコツを解説します。また、魅力的な休憩室を設けた10の実例を紹介します。特徴や工夫点、快適な休憩環境づくりのヒントが満載です。多様なニーズに応える休憩スペースの実例を参考に、理想的なリフレッシュエリアを実現し、生産性と従業員満足度の向上を図ってみてください。
オフィスに休憩スペースを設けることで、従業員の生産性向上や職場環境の改善など、多くのメリットが生まれます。ここでは、休憩スペースがもたらすメリットを詳しく解説します。
大人の集中力が続く時間は諸説ありますが、50分から90分程度が限界ではないでしょうか。適度に休憩をとれば疲労が回復し、また集中して作業に取り掛かれるようになります。食事や仮眠をとるための休憩スペースがあれば、しっかりと気持ちの切り替えができるでしょう。
さらに、休憩スペースでは、ストレッチや軽い運動を行うことも可能です。体を動かすことで血流が良くなり、心身ともにリフレッシュできます。また、自然光や緑を取り入れた休憩スペースは、目の疲れを和らげ、心を落ち着かせる効果があります。
テレワーク・リモートワークを行う企業も増え、同じチームでも顔を合わせて話をする機会が減っている方もいるでしょう。オンラインでの仕事は便利な側面がある一方で、コミュニケーション不足を感じる声がよく聞かれます。休憩スペースやフリースペースを設けると、社内のさまざまな部署の人と顔を合わせ、話をする機会が増えコミュニケーションが活発になります。これは単なる雑談だけでなく、部門を超えた情報交換や新しいアイデアの創出にもつながります。
また、休憩スペースでのカジュアルな会話は、職場の雰囲気を和やかにし、チームワークの向上にも寄与します。さらに、新入社員や異動してきた社員にとっては、休憩スペースが自然な形で他の社員と交流できる貴重な場となり、新しい職場環境への適応をサポートします。
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アイデアは、リラックスした環境で生まれやすいといわれます。散歩中や公園などの心地よい屋外、ベッド・お風呂・トイレなどの緊張から解放された場所で、ひらめいた経験がある方もいるのではないでしょうか。クリエイティブな仕事の方や営業戦略や効率のよい事務処理方法を検討するときなど、休憩スペースでくつろぎながら思索してみるのもよいかもしれません。
休憩スペースには、従来のデスクワークとは異なる雰囲気や刺激があります。例えば、快適なソファに座ってコーヒーを飲みながら考えを巡らせたり、窓際で外の景色を眺めながらアイデアを練ったりすることができます。また、他の社員との偶然の出会いや会話が、思いもよらない発想につながることもあります。このような環境は、固定観念から解放され、新しい視点を得るのに役立ちます。
オフィスデザインは、企業がどういう理念で事業を行っているかを見る判断基準の一つです。休憩スペースは来訪者との打ち合わせなどで、社外の人が出入りする場を兼ねているケースもあります。洗練されたオフィスデザインができていれば、対外的な印象もあがるでしょう。特に、休憩スペースは企業の文化や価値観を反映する重要な場所です。例えば、環境に配慮した素材を使用したり、地元アーティストの作品を飾ったりすることで、企業の社会的責任や地域とのつながりを表現できます。
また、最新のテクノロジーを取り入れた休憩スペースは、企業の革新性をアピールする効果があります。さらに、快適でデザイン性の高い休憩スペースは、SNSなどで従業員や来訪者によって自然と発信され、企業イメージの向上につながります。
快適な休憩スペースを設けることで、従業員の満足度が高まります。リラックスできる環境や、コミュニケーションを取りやすい場所があることで、従業員のモチベーションが向上し、仕事への取り組み方も積極的になります。具体的には、休憩スペースでストレス解消や気分転換ができることで、仕事中のストレスが軽減されます。また、快適な環境で休憩することで、仕事への集中力が回復し、生産性の向上にもつながります。
さらに、休憩スペースでの社員同士の交流は、チームワークの強化や職場の雰囲気改善に寄与します。これらの要素が相まって、従業員の仕事に対する満足度が高まり、結果として離職率の低下や長期的な人材定着にもつながります。企業が従業員の健康と快適性を重視していることを示す休憩スペースは、従業員の帰属意識を高める重要な要素となります。
充実した休憩スペースは、企業の福利厚生の一環として求職者にアピールできます。働きやすい環境を整えていることは、優秀な人材を引き付ける理由の一つとなり採用活動にもプラスの影響を与えるでしょう。とくに、ワークライフバランスを重視する若い世代の求職者にとって、快適な休憩スペースの存在は大きな魅力となるのではないでしょうか。
また、休憩スペースのデザインや機能性は、企業の従業員に対する姿勢や価値観を反映します。例えば、多様な休憩スタイルに対応したスペース設計は、企業のダイバーシティ(※)への取り組みを示唆します。採用面接時に休憩スペースを案内することで、企業の魅力を直接的に伝えることもできます。
※ダイバーシティ(多様性):性別・年齢・人種・障がい・性的指向など、様々な背景を持つ人々を受け入れ、尊重する考え方。
では快適な休憩スペースを作るには、どのようなポイントに気をつけるとよいでしょうか。
気持ちの切り替えをするためには、いつもの仕事場を離れる必要があります。休んでいるときに、執務をしている人の姿が見える環境ではリラックスできないかもしれません。しかし、あまり離れすぎてしまうと、仕事に戻りにくくなります。昼食用・仮眠用など、30分から1時間程度休む場所であれば、あえてフロアや部屋を変えてもよいでしょう。小休憩スペースであれば、執務フロアの一部に間仕切りをつけて設けるなど、デスクとのアクセスがよいようにします。
休憩スペースを作る目的はさまざまです。食事をする場として使うなら、冷蔵庫や電子レンジ・電気ポットなどが必要ですし、小休憩でもコーヒーメーカーや自動販売機があると喜ばれるかもしれません。またくつろぐ場所にはソファを置き、食事や喫茶用ならテーブルと椅子があるとよいでしょう。
企業によっては、デスクワークの運動不足改善のために、運動できるマシンや場所がほしいという声があがるケースもあります。従業員が必要としているものを聞いて、休憩スペースの設計に取り入れると満足度も高まります。
くつろぐために休憩スペースに行っても、ソファや椅子の数が少なすぎると座れないかもしれません。食事をしようと思ったら、空きスペースがなくて困るなどの問題が発生することもあります。休憩スペースを設けるときは、従業員数や利用目的にあわせた広さを確保してください。
また休憩したいと考えていても、隣で仕事をしている人がいるとくつろげない可能性も考えられます。状況次第では休憩スペースと(仕事もできる)フリースペースは、別にするのがおすすめです。場所に余裕があるようなら、体調がよくないときや一人で考え事をしたいときに使える、プライベートゾーンも設けるとよいでしょう。
リラックスする環境には家具や設備だけでなく、心にうるおいを感じられる要素をプラスしてください。アートは感性を心地よく刺激し、殺風景になりがちなオフィスを彩ってくれます。またインテリアグリーンは目にやさしく、リラックス効果が生まれます。音楽や香りも空間を構成する大切な要素です。公園や森でのんびりしている気持ちになれるような、森の香りのアロマを焚いたり、自然音をBGMに流したりといった工夫をするとよいかもしれません。
休憩スペースにはメリットがある一方で、注意しなければいけない点もあります。
適度な休憩は大切ですが、場合によっては仕事場を離れてダラダラとしてしまう可能性も否めません。仕事と休息の線引きをしっかりして、不必要な利用を控えるように管理する必用があります。業種や部署によって業務内容や性質が異なるため、特徴にあわせた運用方法を計画してください。
書籍やコーヒーサーバーなどを社員が共有して使う場合には、バックナンバーの管理や清掃などを誰かが行わなければいけません。飲食物があると、汚れやニオイが気になる場合もあります。あらかじめ誰が管理するか決める、当番制にするなどのルールを決めることをおすすめします。また利用者が節度を持って利用するように、社内で周知しましょう。
休憩スペースで仕事を行う方もいるでしょう。パソコンや書類を執務スペース以外に持ち出すときには、紛失などが起こる可能性があります。外部の人が出入りするなら、より情報漏洩の危険が高まります。リラックス用の場所専用であれば、パソコンは持ち込まないようにする、セキュリティがきちんとされた環境にするなどしてください。
WORK KITでは、快適な休憩スペースをふくめたオフィスデザインをたくさん行っています。ここでは素敵な休憩スペースを取り入れた事例を厳選してご紹介します。
【株式会社マイクロアド 様】
テレワーク・リモートワークを推奨した働き方をしながらも、対面で得られるメリットを意識したオフィスデザイン。ベンチソファ・BOXソファ・カウンターなど、気分転換をしながら働ける環境を設けています。「ニューノーマルな働き方」の実現と定着が見える、これからのオフィスが実現されているでしょう。
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【株式会社Avirity Information様】
植物をたくさん取り入れたオフィスです。サーバー運用保守・システム設計など、神経の張り詰める業務が多い企業様だからこそ、自然のなかでリラックスできるような雰囲気が、働く人の心とからだをリラックスさせてくれます。植物が目隠しになり、お互いの気配は感じながらも、視線を気にせずに過ごせるため、緊張とリラックスのバランスがとてもよい環境になっています。
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【株式会社ココペリ様】
ハイブリッドワークが定着したなかで、オフィスの意義を見直し再構築された空間。フロアごとに「伝達」「対話」「集中」と異なるテーマを持ちながらも、ナチュラルで落ち着けるスペースがつくられました。執務スペースと隣接し、くつろぎながら仕事にとりかかれるブースや、気持ちの切り替えをしっかりできるカフェのような休憩スペース。ワーカーが、それぞれの働き方にあわせて、能動的に動けるオフィスになっています。
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【株式会社日本エスコン様】
エントランスラウンジやフリースペースは、高級ホテルのロビーを思わせる雰囲気です。洗練された内装材と上質な家具が配置された空間で、従業員は快適にくつろぎながらリフレッシュできます。さらに、別途カフェスペースも用意されており、コーヒーや軽食を楽しみながらリラッ
クスできる環境が整っています。来訪者も利用可能なこれらのスペースは、企業イメージを体現しつつ、ゆったりとした時間を過ごせる場所となっています。高級感のある休憩スペースとカフェスペースの組み合わせは、従業員の満足度を高め、同時に企業の先進性を表現しているといえるでしょう。
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【株式会社プライムクロス様】
大きな窓から差し込む自然光と木素材の温かみが、癒しの空間を演出しています。休憩エリアには、向かい合わせの一人掛けソファ席や複数人で使用可能な大型テーブル席を配置し、くつろぎながら作業や簡易的なミーティングができるスペースを設けました。従業員同士のコミュニケーションを促進しつつ、リラックスした雰囲気の中で生産的な時間を過ごせるようになっています。また、窓際には社員からのリクエストに応えて、靴を脱いでリラックスできる小上がりの畳スペースを設けました。
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【株式会社NTTデータ モビリティ&レジリエンス事業部様】
ソファ席やパーソナルチェアを配置し、従業員のリフレッシュと生産性向上を両立させる工夫が施された多機能な休憩スペースを作りました。また、窓際に小上がりの畳スペースが設けられています。それらの席には電源が用意されており、リラックスしながらも必要に応じて作業ができる環境が整っています。プレイエリアでは、パターゴルフを楽しむことができます。このスペースは、作業の合間の息抜きだけでなく、社員同士のコミュニケーションを促進する場としても機能しています。
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【株式会社NTTデータ Toyosu Office様】
ワンフロア全体に広がる開放的なオフィスデザインの中心に、社員のリフレッシュを促すカフェラウンジを設置しました。このスペースは、休憩とコミュニケーションの両機能を備えた多目的エリアです。随所に配置されたグリーンが、さらに癒しの効果を高めています。開放感のある空間設計で、大きな窓から自然光を十分に取り入れた明るく快適な環境です。カフェラウンジは単なる休憩スペースにとどまらず、社員同士の自然なコミュニケーションを促進し、創造性を刺激する場としても機能しています。
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【株式会社フラントリーブ様】
休憩スペースの設計において、窓側の空間を有効活用することは重要です。そこで、窓側に階段型のベンチを設置し、自然光を取り入れながらくつろげる空間を作りました。階段状の設計により、視線の高さに変化をつけ、多様な休憩スタイルに対応できるようになっています。窓際で景色を眺めながらリラックスしたり、コーヒーを飲みながら同僚と気軽に会話を楽しんだりと、フレキシブルな使い方が可能です。さらに、全体的にニュアンスカラーを用いることで、柔らかな雰囲気を演出し、リラックスしやすい環境を整えています。
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【京未来株式会社様】
窓際には小上がりの畳スペースを配置し、ここでは簡単な筋力トレーニングやストレッチが可能です。自然光が差し込む明るい環境で、心身ともにリラックスできる空間となっています。また、ソファ席やファミレス風の席も用意し、様々な休憩スタイルに対応しています。ランチミーティングや気分転換のための休憩など、多目的に利用できるよう設計しました。全体的に木素材を多用し、温かみのある和モダンな雰囲気を演出。素材の質感にこだわることで、リラックスしながらも洗練された空間を実現しました。
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【エネルエックス・ジャパン株式会社様】
リフレッシュスペースには、快適なソファや大きなテーブルを配置することで、他のワークエリアとは異なるリラックスした雰囲気を演出しています。また、デザイン面でも他のエリアとの差別化を図っています。柔らかな色調や素材を使用し、より家庭的で落ち着いた雰囲気を醸し出すことで、オフィス内でありながら一時的に仕事から離れてリラックスできる空間となっています。このようなデザインの工夫により、効果的に気分転換を図り、再び仕事に戻った際により高い集中力を発揮できます。
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オフィスデザインをするうえで、業務効率や従業員の満足度アップは大切な要素になるでしょう。執務をするためのデスク周辺だけでなく、ときには肩の力をぬいてリラックスする場所もオフィスには必要です。魅力的な休憩スペースを設けて、働きやすいオフィスを実現させましょう。