業務改善や社員の働きやすい環境整備は、どの企業にとっても重要な課題です。オフィスの新設や移転時だけでなく、いつでもよりよい環境にブラッシュアップする必要があります。例えば、デスクワークをメインにしている従業員の体の負担を軽くすることも、オフィス環境の改善につながるのではないでしょうか。
長時間座ったままで仕事を行い、肩こり・腰痛・ストレートネックなどの悩みを抱えている方も多いでしょう。そこで本記事では、正しい姿勢の重要性や体に負担がかかりにくい椅子の選び方を解説します。
数多くのオフィスデザインを手がけるWORK KITが、専門家ならではの視点で選んだおすすめの椅子もご紹介します。よい家具を導入して、従業員が健康的に働けるオフィスを目指してみてください。
長時間パソコン作業や事務処理に集中していると、無意識に前のめりになったり猫背になったりするでしょう。姿勢の悪化により筋肉が緊張して、肩や首・腰などに負担がかかるため、痛みを伴うような体調不良を引き起こします。また、お尻や太ももの圧迫で血の巡りが悪くなることが、老廃物がたまりむくみの原因となります。
このような体調不良は、集中力低下につながり生産性が下がる要因の一つです。メンタルにも悪影響を及ぼす可能性があるため、正しい姿勢で体の負担を軽減させなければいけません。
体にフィットしない椅子を使うと、さまざまな影響があります。そこで、まずはデスクワークの正しい姿勢を確認してみましょう。はじめは意識しすぎてしまい、かえって力んでしまい疲れるかもしれません。しかし継続すると、からだへの負荷が減り体調不良が軽くなるのを感じられるでしょう。
椅子に座ったときの足のポジションで、正しい姿勢になっているか確認してみましょう。
1. 椅子に深く腰かける
2. 背もたれに骨盤の上部がついている状態にする
3. ひざ裏と椅子の座面の間にこぶし一つが入るすき間をあける
4. 自然に背筋を伸ばした状態で足裏全体が床についているか確認する
5. 足のポジションの調整をする(椅子の昇降機能やクッション・フットレストの利用)
正しく椅子に座れたら、次は机とからだの関係性を見ていきます。机上に手を置いたときに、肘が直角になるようにしましょう。机の高さが低すぎると腕が浮いた状態になり、高すぎると肩が上がってしまいます。机の高さの目安は、「椅子の座面高さ(身長×1/4)+差尺(さじゃく:身長×1/6)」。例えば、身長160㎝の方には「(160×0.25)+(160×0.16)=65.6㎝」の高さが適切となります。
しかしオフィスデスクのほとんどは、高さ65㎝から72㎝程度で規格化されています。日本人の平均身長が高くなったことや車いすに対応できるようにといった配慮から、現在は72㎝のものが一般的です。不特定多数の人が利用するオフィスの机は、高さの調整ができないケースも多いかもしれません。仮にオフィスの机が高さ72㎝だった場合は、やや高く感じられる可能性があるため、椅子の高さを変えたり、クッションを利用したりして適切な高さに調整してください。
現代では、パソコンで作業をするデスクワーカーがほとんどです。そこで、パソコン画面との位置関係も重要なポイントになります。画面と目の距離は、40㎝以上あけるように意識してください。
また画面は目線のやや下にくるようにします。テレワーク・リモートワークの普及もあり、ノートパソコンを持ち歩いて作業する方も増えています。机の上に置くだけでは、ノートパソコンの画面が低く、猫背になりやすいため注意が必要です。高さや角度を変えられるパソコンスタンドを併用して、適切な位置に置くようにしましょう。
デスクワークをするときには、顎を引き、頭をからだの真上に持ってきた状態をキープしてください。頭は5㎏ほどの重さがあり、背骨や筋肉に負荷がかかります。そのため正しい位置で支えないと体調不良につながります。
いま、深刻な健康被害としてあげられる症状の一つに「ストレートネック」があります。これは、首の骨が本来持っているS字カーブがなくなり、まっすぐになった状態をいいます。頭痛や眼精疲労などの原因となり、重症化すると起きていられないほどの痛みやしびれ・ヘルニアなどになる可能性もあります。
このストレートネックは、うつむいてスマートフォンを使うことやパソコンの長時間利用によって引き起こされます。そのため、デスクワークをするときには頭の位置も重要なチェックポイントです。横から見たときに、耳の穴・肩の中心・股関節が一直線になる位置が正しい姿勢です。定期的に「顎を引く」を意識するとよいでしょう。
自分の力だけで長時間体を支え続けるのは、とても大変です。そのため、正しい姿勢をサポートしてくれるような椅子を選ぶことが大切です。適切な椅子を選ぶ際のポイントを3つ紹介します。
①背もたれの高さ
腰をサポートするローバック・肩甲骨から肩までサポートするミドルバック、頭部までサポートするハイバックがあります。ハイバックはほかの二つに比べて高価で広いスペースを要しますが、安定感があり体をしっかり支えてくれます。疲れにくさを重視する方にはハイバックがおすすめです。
大人が座るときに必要な最小幅は45cmです。55~60cm幅があるとゆとりを持って座れるでしょう。しかし、体格には個人差があるため、腰かけたときに安定感のあるサイズを選ぶことが大切です。
身長×0.25cmが目安と言われています。前項で示したとおり、足裏が床にしっかりつき、机の高さとバランスがよい座面高さを検討する必要があります。
座面や背もたれの中材は、座り心地に大きく影響します。もっとも一般的な素材は、ウレタンです。クッション性があり、やわらかく体を受け止めてくれます。やや固めの素材には、モールドウレタンがあり、長時間の座位でも疲れにくいでしょう。通気性がよいメッシュ素材も、オフィスチェアによく使われます。
肌に直接触れる張地にもこだわってみてください。やわらかく色柄が豊富なファブリックや通気性のよいメッシュ素材・重厚感のある革張りなど、素材の特徴と合わせてインテリアにマッチするかどうかも検討するとよいでしょう。
座面の高さやひじ掛けの位置を調整できると、より体に楽な体勢で過ごせます。また、背もたれが後ろへ倒れるロッキング機能があると、仕事の合間に体を伸ばしてリラックスできるでしょう。背もたれに腰を支えるランバーサポートがあると、腰へかかる負担を軽減できます。このように、疲れにくい姿勢をサポートしてくれる機能性がある椅子がおすすめです。
正しい姿勢を維持するには、サポート機能がしっかりしている椅子がおすすめです。オフィスチェアの多くは、背もたれの角度を調整できるものや体圧分散ができる座面など、デスクワーカーが楽に姿勢をキープできるようになっています。
ここでは、おすすめの海外メーカーのオフィスチェアを厳選して6つご紹介します。それぞれの特徴を詳しく解説しますので、働き方やオフィスデザインにあう、最適なチェアをぜひ見つけてみてください。
1994年に、アメリカのオフィス家具メーカーHermanMiller(ハーマンミラー)より発表された「アーロンチェア」。人間工学に基づき、ワーカーの姿勢を最適にサポートする工夫が随所に施されています。デザイナーのビル・スタンフとドン・チャドウィックは、さまざまな体型に対応できるような設計を研究し、このオフィスチェアを生み出しました。
快適な座り心地を実現するための優れたポイントは次の3つです。
また特筆すべき特徴として、機能性やサポート能力の高さを維持したまま、地球環境に配慮した素材でつくられている点が挙げられます。これまでもリサイクル素材を50%以上しようされていましたが、新たに椅子本体に年間約234tもの約海洋プラスチック(海にあるプラスチックごみ)を再利用した素材を使われるようになりました。人にも環境にもやさしいものづくりは、今後ますます重要とされるポイントでしょう。
京未来株式会社 詳しい事例紹介はこちら
オウレットラボ合同会社 詳しい事例紹介はこちら
世界的に人気の高いプロダクトデザイナー チャールズアンドレイ・イームズによって設計された「アルミナムグループチェア」。誕生から60年以上を経た現代でも異彩を放つ美しいフォルムが魅力的です。すっきりとしたシンプルなデザインでオフィスだけでなく、自宅のワークスペースにもマッチします。
見た目の美しさだけでなく、快適性に徹底してこだわり革新的なサスペンションを開発し、心地よい座り心地をもたらしました。オプションの張地「シグナル」は、通気性がよく体重を均等に分散してくれるメッシュ素材で、長時間快適に座れるでしょう。
アルミ製のフレームや脚部は軽くて取り扱いやすいうえに、耐久性が高く、ハードなオフィス使いに向いています。ハーマンミラーでは、従来のデザイン性や快適性を残しながらも、最新の技術を駆使しながら改良を加え、常に最適なかたちで展開しています。
世界的に人気の高いプロダクトデザイナー チャールズアンドレイ・イームズによって設計された「アルミナムグループチェア」。誕生から60年以上を経た現代でも異彩を放つ美しいフォルムが魅力的です。すっきりとしたシンプルなデザインでオフィスだけでなく、自宅のワークスペースにもマッチします。
見た目の美しさだけでなく、快適性に徹底してこだわり革新的なサスペンションを開発し、心地よい座り心地をもたらしました。オプションの張地「シグナル」は、通気性がよく体重を均等に分散してくれるメッシュ素材で、長時間快適に座れるでしょう。
アルミ製のフレームや脚部は軽くて取り扱いやすいうえに、耐久性が高く、ハードなオフィス使いに向いています。ハーマンミラーでは、従来のデザイン性や快適性を残しながらも、最新の技術を駆使しながら改良を加え、常に最適なかたちで展開しています。
株式会社アトラエ 詳しい事例紹介はこちら
株式会社未来ボックス 詳しい事例紹介はこちら
デザイナー イヴ・べアールは、ハーマンミラーの次の要望に応えるチェアを開発しました。
●美しいデザイン
●最先端の人間工学
●洗練された設計工学
●環境への配慮
●手頃な価格帯
この条件を叶えた理想のオフィスチェアが「セイルチェア」です。フレームのない3Dインテリジェントサスペンションバックは、仙骨を支えて背骨のS字カーブを自然な状態で保ちます。
背もたれ部を横から見たときに帆船の帆のように見えます。セイルチェアの名前の由来は、この「帆・帆船=Sail(セイル)」からきています。背面を支える革新的なYタワー構造の「Y」を「i」に置き換えて「Sayl」と名付けました。
また、ポリ塩化ビニールを含まず、ほとんどが完全にリサイクルできる環境にも配慮したデザインである点も忘れてはいけません。
セイルチェアはWORK KITがデザインを手掛けるオフィスでも、非常に多く導入しています。さまざまなカラー展開によって、オフィスの雰囲気も変化します。
公益財団法人日本陸上競技連盟 詳しい事例紹介はこちら
リンクタイズ株式会社 詳しい事例紹介はこちら
サイズミック・テクノロジーズ株式会社 詳しい事例紹介はこちら
特徴的な後ろ姿が、オフィスのアクセントにもなる「ミラ2 チェア」。オリジナルの「ミラチェア」を、より快適性を向上させるために改良が加えられたチェアです。
仕事の内容は人それぞれで、ますます進化し活動的になりました。チェアも一定の形状ではサポートできない状況が生まれることに気づいたデザイナーたちが、個々のからだにシンクロして動くように生まれ変わらせたのです。具体的には、座面と背もたれが座る人の動きにあわせて動く点が挙げられます。また、シンプルな調節機能で使う人によりフィットするように微調整できます。
背もたれ部は穴の開いた成形ポリマー製で、布地のレイヤーがついた「バタフライバック」とお手入れしやすい布地レイヤーなしの「トライフレックス」が選べます。カラーバリエーションも豊富で、シンプルなモノトーンで落ち着いた印象にも、鮮やかな彩りを添えたポップな雰囲気にも演出できるでしょう。
株式会社バリューファースト 詳しい事例紹介はこちら
PrimalVenue
1950年創業、スイスの家具メーカーvitra(ヴィトラ)。ホームユースからオフィス家具まで、幅広く取りそろえています。
2010年にイタリアのデザイナー アントニオ・チッテリオが開発した「IDチェア」は、さまざまなニーズにあわせてカスタマイズできるチェアシリーズで、さまざまなオプションを備えています。
シリーズのなかでも「ID トリム」は、ウレタンフォーム布張りの背もたれと座面でできた、からだへのあたりがやさしいチェアです。シートの奥行きを調節し、体格にあわせて前後にスライドさせてフィットした状態を維持できます。アーム部分は上下だけでなく、横にスライドさせられるので業務内容や好みにあわせて位置を調整してください。
背もたれにステッチがあり、シンプルながら優しさを感じられるデザイン。オフィスにもなじみやすく、執務スペースにとどまらず会議室などでも活躍してくれます。
株式会社バンダイナムコセブンズ 詳しい事例紹介はこちら
株式会社NTTデータMSE 詳しい事例紹介はこちら
2014年にvitraから発表された「オールスター」は、丸みがあるデザインのオフィスチェアです。ハードな形状をしているオフィスチェアが多いなか、ポップでかわいらしい形をしており、リラックスした気持ちで座ることができます。クッション性のよい背もたれと座面は座り心地がよく、快適に仕事に取り組めるでしょう。
背もたれと座面の布地は色を変えられるため、バイカラーのコーディネートも可能。アームと一体化したフレームもホワイトとブラックを選べます。自宅使いにもぴったりのサイズ感なので、部屋のインテリアにあわせてカラーチョイスを楽しんでみてはいかがでしょうか。
ダノンジャパン株式会社 詳しい事例紹介はこちら
デスクワークを長時間続けると、からだに大きな負担がかかり、重篤な病気になる可能性があります。また体調不良から精神面に影響が出てしまい、作業効率が下がることも考えられます。健康だからこそ、仕事にもやりがいを持って取り組めるでしょう。正しい姿勢をサポートするオフィスチェアを使って、姿勢を維持できるように意識してみてください。