オフィスでは多くの人が、さまざまな施設・設備を利用しています。執務室・会議室・トイレなど、スムーズに移動し利用するためにも案内標識が必要です。しかし、ただ部屋名や施設名が書かれているだけでは、インテリア性を損ねてしまいます。そこで、意識したいのが適切なサイン計画です。
オフィスに必要なサインにはどのようなものがあり、どのような点に気をつけるとよいのでしょうか。サインにこだわったオフィスデザイン事例と合わせて、オフィスに必要なサインについてご紹介します。
オフィスは複数の人が利用しています。そのため、共有する場所や物をわかりやすく表示する必要があるでしょう。そこで重要になってくるのが「サイン計画」です。
そもそも「サイン」とは、目印・標識・表示などを言います。サイン計画は、どういった案内表示・標識をどのように設置すればよいかを考えることです。公共の場や店舗、オフィスなど、不特定多数の人が利用する場所に計画されます。
公衆トイレの場所や駅の切符売り場の位置、タクシー乗り場やバス停の場所を示すサインなど、日常的にあらゆるところで目にすることがあるのではないでしょうか。自由に活動しやすくするために、必要なものです。
オフィスのサイン計画を考えるときに、とくに意識しておくとよいポイントをご紹介します。
わかりやすさと同時に、企業のアイデンティティや理念を伝えられるサインであることも重要です。視認性の高いフォントは、企業の雰囲気や取り扱っている製品・サービスと印象が異なることがあります。カラーやフォントが会社のイメージに合っているかも、チェックしておきたいポイントです。
サイン自体のデザインや明確さも重要ですが、取り付ける場所や位置によっても相手に伝わりやすいかどうかが変わります。また、サインが多すぎるとかえって混乱を招くかもしれません。適切な位置に、必要な数のサインを設置するように検討してみてください。サインを必要とする人にしっかり認識してもらえるような位置、高さを調整しましょう。
一言でサインといっても、さまざまな種類があります。ここでは、オフィスで必要なサインをご紹介します。
もっとも多くの人の目に触れるのが、社名を表すサインではないでしょうか。エントランスの受付や出入口付近に設置されることが多いでしょう。ロゴを併用して社名を掲げるケースもあります。会社の顔として、とても大切なサインです。
執務室・会議室・トイレなどの場所を示す案内サインです。日常的に利用する人にとっては、見なくても理解できる場所かもしれません。しかし、新入社員や来訪者にとっては欠かせない目印です。間違いなく適切な場所へ移動し、施設を利用してもらうためにも重要なサインと言えるでしょう。
規則を示すサインも、オフィスに必要なものです。例えば、「立ち入り禁止」や「火気厳禁」・「荷物を置かないでください」などのサインが該当します。注意書きは、しっかりと対象者が従えるよう、明確に示す必要があります。しかし、文章では伝わりにくかったり、見た目がよくなかったりするかもしれません。マークやピクトグラムを併用するなどして、伝えるとよいのではないでしょうか。
ブランディングに使うための、広告目的のサインもあります。キャンペーンのお知らせや企業イメージを描いたグラフィックなどが挙げられるでしょう。社内の通路や広い壁面に描かれるだけでなく、ネオンサインのような照明やデジタルサイネージを活用する企業も見られます。
会社の顔となる「ロゴマーク」同様に、実はオフィスデザインの要となるサイン計画です。これまでWORK KITが手掛けてきた事例とともにご紹介します。
エントランスからミーティングルームに続くスムーズな動線計画を行ったオフィスです。ミーティングルームの入口には、視認性の高いフォントを使い、シンプルにデザインされたサインを設置しました。インパクトのあるグラフィックが施されたガラスとのバランスがよく、見やすく印象的なサインとなっています。
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通りに面したガラス張りのオープンなオフィスです。ピクトグラムと呼ばれるシンボルを添えることで、文字だけのサインより視認性を高めたサインを用いました。シンプルですが、優美なサインデザインとなっています。また、会議室のサインには筆記体を採用し、ほかのサインとは異なる柔らかさをプラスしました。
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ハイブリッドワークを取り入れながらも、出社したくなるオフィスを目指して設計・デザインされたオフィスのエントランスに設けられた「社名」を記したサインです。「O」のフォントには「SPPED TEAM BUILDING OWNERSHIP RECRUIT CHALLENGE」の5つの企業理念が輪になり、外へ延びだすような広がりをイメージしたデザインを施しています。
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日本を代表する食品企業である背景から、食へのこだわりをオフィスで過ごす人が共有できるサイン計画を意識しました。サインにピクトグラムやイラストを加えることで、視認性が高まるだけでなく会社のアイデンティティを連想させやすくなります。そこで、「おいしく食べて健康づくり」という志に紐づけて、ピクトグラムを取り入れたサインを採用しました。個性的であり、働く社員にとっても愛着の湧くサイン計画です。
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清潔感を大切にしてデザインされたオフィスです。ビルから見える景観を活かし、心地よさにこだわっています。そこで、社風に合わせた落ち着きのある上品な印象を演出する、サンセリフ体のフォントによるシンプルなサインを設置しました。会議室やブースが複数あり、それらを識別するために「Vega」「Betelgeuse」など惑星名で表しています。文字と文字の間を広く取り、すっきりとした印象です。
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不特定多数の人が出入りし活動するオフィスでは、共有する場所や物をしっかり把握するためにサイン計画を行うことが重要です。わかりやすく伝えたいことを表現できているかということは、もっとも大切なポイントになるでしょう。しかし、オフィスではもう一歩踏み込んだ計画が必要になってくるのではないでしょうか。なぜなら、サイン1つでも企業のアイデンティティを表現することができるからです。
オフィスのサインは、デスクレイアウトや内装デザインに比べて意識が向きにくい場所かもしれません。サインにこだわることで、細部までデザイン性に優れた空間を生み出すことができます。ぜひ、働く人も訪れる人に、わかりやすく必要なことを伝えると同時に、企業の特性や理念を伝えられるサイン計画にこだわってみてください。