人生100年時代の到来と言われるなかで、「定年」の考え方も変わってきています。年齢を重ねても健康に働き続けられるかどうかは、重要な課題の一つなのではないでしょうか。近年、そのような状況を踏まえて、企業主導で従業員の心身の健康維持サポートを行い、政府も力を入れてバックアップしています。
健康的に働くといっても、いったい何をすればよいでしょうか。健康維持には、十分な休息・栄養バランスのよい食事・適度な運動が大切です。しかし、デスクワークがメインの働き方では、どうしても運動不足になってしまいます。そこで本記事では、働く人の運動不足について考えてみます。また、運動不足の改善を助ける企業の取り組み方もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
働く人の健康を守るのは、企業にとっても大きな課題の一つです。人生100年時代の「生涯現役社会づくり」の必要性をしっかりと理解し、実現に向けて大切な運動不足を解消について考えてみましょう。
そもそも「健康経営」とは、従業員の健康づくりを経営的な視点で考え、実現に向けて取り組むことです。継続的な人材不足が叫ばれるなかで、政府も認定制度を設けて積極的なサポートを行っています。健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト「ACTION!健康経営」では、健康経営を行い認定された企業銘柄や取り組みの詳細を知ることができます。前向きに取り組むためのヒントが見つかりますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
なんとなく、運動不足だと感じている方は多いでしょう。厚生労働省の令和1年(2019年)の「国民健康・栄養調査」を参照すると、運動習慣のある人の割合は男性で33.4%、女性で25.1%といずれも半数を大きく下回る結果となっています。2020年に起こった世界的なパンデミックの影響もあり、テレワーク・リモートワークの普及や外出を控えることで、ますます運動をしなくなる傾向がみられます。
運動不足はどのような健康問題を引き起こすのでしょうか。運動不足に加えて、暴飲暴食が積み重なると高血圧・肥満・糖尿病といった生活習慣病につながります。また、パソコン作業による身体への負担で肩こりや頭痛・眼性疲労が起きる方もいるでしょう。身体的な疲労や病気は、メンタルにも大きな影響を及ぼします。生産性やモチベーションの低下を招く要因となります。
運動不足を解消すれば、健康的な暮らしにつながります。毎日、生き生きとした気持ちで働ければ仕事に対する満足度も上がるのではないでしょうか。心身の健康があってこそ、やりがいを持って仕事に取り組めます。また、仕事だけでなく終業後や休日も「疲労回復」にあてるのではなく、趣味や前向きな活動に取り組むための時間に使えるため、生活の質を上げるきっかけになるでしょう。
健康的に働くためには、運動不足の解消が重要なことがわかりました。では、オフィスで運動不足を解消するためにどのような活動をすればよいのでしょうか。自分自身で意識的にやれることや企業が用意するとよいものなどをご紹介します。
毎日、ジムに通って運動をするのは時間的・精神的・経済的に負担が大きいかもしれません。まずは、簡単なストレッチから始めてみてはいかがでしょうか。椅子に座ったままでできる肩回しや両手を伸ばすストレッチなど、気軽にやってみてください。30分に1回、1時間に1回など、自分で時間を決めて習慣化させるとよいでしょう。
運動のファーストステップが習慣づけられたら、昼休憩時間に簡単な筋トレや立ち上がってできるストレッチなど、アクションを大きくしていきます。動画を見ながら、近くの席の同僚と声を掛け合えば、コミュニケーション促進を図ることもできます。
休憩スペースに運動をするための場所を取り入れることで、より積極的に取り組めるようになります。ストレッチができるような場所や筋トレ用の道具を置き、自由に楽しく運動ができるように促す環境を整えます。
本格的なマシンがなくても、きちんと「運動」をするための場所が用意されていれば、身体を動かすことに集中できます。しっかり気持ちを切り替えてリフレッシュすると、仕事にも集中できるので効率アップにもつながるでしょう。
座ったままになるデスクワークでは、血流が悪くなり身体への負担が大きくなります。スタンディングワークを取り入れて、適度に立ち座りをすれば血流の促進ができるでしょう。足の筋力低下を防ぐこともできます。
スタンディングワークを行うためには、企業側が昇降型デスクの導入やカウンタータイプのテーブル・デスクを用意しなければいけません。業務内容に即していない場合もあるため、実際に働く人の声を参考にしながら導入を検討してみてください。
積極的な運動不足解消の取り組みは、個人の意識に任せるのではなく、企業がリードして提供する必要があります。健康にまつわる情報共有や運動イベントの開催などを企業側が行うとよいでしょう。
大切なのは「実際に運動をしてもらうこと」です。積極性を持って参加してもらえるような広報活動を意識してみてください。総務課や担当者だけの課題ではなく、経営にも影響を与える活動であることを認識し、全員で取り組むことが重要です。
WORK KITでは、健康的な働き方を促進するために運動不足を解消するための施設・設備を備えたオフィスデザインも手掛けています。従業員の運動不足解消にフォーカスしたオフィスを厳選してご紹介します。
はじめにご紹介するのは、AI研究開発・コンサルティング・人材育成事業などを展開する企業です。集中してデスクワークに取り組むエンジニアにとって、運動する機会は限られます。そこで、リフレッシュスペースにボルダリングシステムを用意しました。楽しみながら身体を動かせるでしょう。多目的に活用できるコミュニティスペースにあり、一人で業務に取り組む機会が多いエンジニアにとってのコミュニケーション促進にもつながる空間となっています。
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ナチュラルモダンで明るい印象のオフィスです。ビューティ&ヘルスケア商品のブランド育成支援・海外マーケティング・販売事業を行っているこちらの企業では、働きやすいオフィス環境づくりに前向きです。大きく開かれた窓際には、トレーニング&リフレッシュスペースを配し、筋力トレーニングが気軽にできるようになっています。靴を脱いで上がれる小上がり空間なので、リラックスして過ごせるでしょう。
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遊び心の感じられるリフレッシュスペースのある事例をご紹介します。交通社会基盤の開発・運用を行っている企業の移転に伴うオフィスデザインです。北欧×日本テイストをテーマに、優しいナチュラルな雰囲気の内装になりました。プレイエリアでは、パターゴルフができるようになっており、仕事中の息抜きにぴったりです。遊びながら運動不足解消を促進し、社員同士がコミュニケーションをとることができます。
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全面ガラス張りで周囲に開かれたオフィスの1階には、筋トレ用のマシンやトレッドミルを用意したジムスペースがあります。また、2階にはボルダリングができるラウンジも作られました。高速バス・夜行バスを運営する企業で、長距離移動をしてきた運転手の体調管理ができるように、身体を動かしゆっくりと休める環境が整えられています。
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業務効率・コミュニケーション・社員の健康の3つを向上させ、社員一人ひとりが誇りをもって働けるオフィスを目指してデザインしました。回遊できるゾーニングは、風通しがよく能動的なアウトプットを促します。シンプルながら、インテリアグリーンを取り入れた居心地のよい空間にジムスペースが設置された、心身のストレスを軽減できるような設計です。
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健康的な生活は、仕事・私生活のいずれにおいても大切な要素です。毎日の仕事に追われていると、どうしてもないがしろにしてしまう「運動」ですが、心身の健康にとっては欠かせない活動の一つです。オフィスで積極的に運動不足を解消する活動をして、健康的な働き方を実現させましょう。