色は人の心理に大きな影響を与えます。インテリアを考えるときには、色の持つさまざまな効果をうまく取り入れることも大切です。それは、住宅や商業施設に限らず、オフィスも同様と言えます。
とくにオフィスは、多種多様な業務・応接・商談のほか、休息のためのエリアなど、さまざまな用途の場所があります。オフィスこそ、それぞれの用途に合わせたカラーコーディネートは重要なのではないでしょうか。
そこで、これまでWORK KITが手掛けてきた事例をカラータイプ別にシリーズとしてご紹介していきます。初回の本記事では、カラフルなコーディネートのオフィスをピックアップしました。オフィスデザインの特徴も詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
オフィスにはさまざまな用途があり、不特定多数の人が利用しています。それぞれの用途に合わせて、色の効果を生かせばより快適に業務に取り組む環境を作ることができます。集中して業務に取り組むには「青」、リラックスするための休憩スペースには「緑」を使うなどが挙げられるでしょう。
また、企業の特徴を示すコーポレートカラーをインテリアに取り入れて、企業理念や雰囲気を社内外に伝えることも可能です。従業員が心地よく仕事に取り組めるかどうかだけでなく、対外的に企業の魅力をアピールするきっかけにできます。
はじめにご紹介するのは、カラフルな壁面アートが魅力的な空間です。ITを活用した最先端技術や車の運航に伴うビックデータを用いた、新しいモビリティサービスの企画・開発・運用をしている企業のオフィスです。
東京のスタートアップ企業との連携や技術開発、シェアオフィスの交流を目的とした拠点です。東京から世界へ、グローバルに人が集い、イノベーションを促進することをコンセプトとしています。
元々はトヨタ自動車の寮として使われていた施設をリノベーションしました。むき出しの躯体を生かし、作りこまない雰囲気に仕上げています。
タイヤがあしらわれた造作家具は、自動車の企業をイメージさせるオリジナルデザインです。セカンダリーマーケットで仕入れ、再生生地を利用して張地を変えました。赤・緑・黄色・ピンクなど、インテリアに使われているアクセントカラーと呼応するようなカラフルな色味が目を引きます。
従業員がリラックスした雰囲気のなかで、積極的なコミュニケーションを図るためのパーソナルソファとして活用しています。ワークチェアもセカンダリーマーケットから仕入れて、座面の張地を変えました。エコを意識した家具選定も企業の目指すポイントをアピールする要素の一つとなるでしょう。
「織機」から自動車メーカーへ、そして新たな可能性を生み出す企業へと変遷をイメージしたギミックがオフィス全体に散りばめられています。角度によって、見えるものがかわるアートもその一つです。視点を変えて、ある一点から見つめると企業ロゴのモチーフが浮かび上がる仕掛けになっています。
企業ロゴをアートとして見せるだけでなく、「視点を変えて見る」ことの大切さを伝える重要な役割を担っています。
訪れる人をわくわくさせる仕掛けも、企業の想いを表現するものの一つと言えるでしょう。例えば、フロアマップのデザイン。こちらのオフィスでは、社内外の打ち合わせを含めて、来訪者も多いため、目的のエリアへの誘導サインも重要です。
シンプルなライングラフィックで構成されたフロアマップは、カラフルで見る人の目を楽しませると同時にわかりやすく導いてくれます。
エントランスラウンジやワークスペース・階段など、さまざまな場所にグラフィックアートが描かれています。会社の歴史やグループで受け継ぐDNAを表現しています。ロゴカラーを用いたカラフルなアートが、会社の歩みやビジョン・物語を伝えてくれるでしょう。
しっかりと、企業理念を表現するためには、デザインの前に行う打ち合わせが重要です。これらのアートは、丁寧なヒアリングを行いデザインや構図を検討することから始まり、長い時間をかけて仕上げられました。
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エントランスには、見る角度によって表情が変わるダイクダイクロイノックフィルムを貼りました。また、社名部分がネオンで光る立体感のある壁面装飾も、見る人の気持ちを惹きつける意匠となっています。見る角度の陰影により、雰囲気が変わって見える面白味があります。
ガラス張りの会議室には吸音パネル「iwasemi™ HX-α」を導入しました。機能性の高さに加えて、意匠性の高さやユニークさも印象的です。
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白を基調にした空間ですが、あちこちにブルーをプラスしています。ブルーが白に映え、清潔感のある印象を与えてくれるでしょう。クリーンなイメージが、医薬品を扱う企業にぴったりです。
会議室には、フレームでデザインされたペンダントライトを取り入れました。ガラスの壁につけられた吸音材の幾何学模様との相性も抜群です。シンプルな白い空間に、リズムを与える存在になっています。
ワークスペースも、白×ブルーのカラーコーディネートです。白だけでは緊張感のある雰囲気になりやすいかもしれません。オフィス全体でカラーを統一しているのでまとまりはありますが、柔らかさをプラスするために床材にグレーを採用しました。グレーが入ることで、緊張感がほぐれて穏やかな気持ちで業務に取り組めるでしょう。
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シャンパンの輸入販売・ブランディング事業を手掛ける企業のオフィスは、近未来感あふれるデザインとなりました。宇宙をイメージしたエントランス、非日常感たっぷりの空間演出を存分に味わうことができます。カラフルな照明演出は、来訪者の期待感を高めてくれるでしょう。
SF映画の世界に迷い込んだようなエントランスホール。宇宙船のなかにいるような、わくわくした気持ちをもたらしてくれます。照明やモニター映像が、未知の世界へ導いてくれるでしょう。光は青・黄・赤など、さまざまな色に変わり、特別な時間を楽しめます。
エントランスホールの奥には、思わず進んでみたくなるような通路が続きます。扉を開けば、ネオンの光が来訪者を誘い込むように導いてくれるでしょう。この先には何が待っているのか、わくわくするはずです。
通路には、こちらの企業が取り扱う歴代のシャンパンが飾られています。人感センサーで順に光る仕掛けになっており、特別感たっぷりの演出を堪能できます。ディスプレイスペースを兼ねた通路は、自社の商品を印象的にアピールし、企業の魅力を表現した空間になりました。
通路の先には、執務エリア・応接エリアが続きます。エントランスから続くメッセージ性のある演出は、来訪者の期待感を高めます。ブランドイメージ・商品をしっかりと見て興味を膨らませたうえで、商談・打ち合わせに臨めるでしょう。
エントランス・通路の近未来感に対して、ワークスペースはナチュラルなインテリアです。大きな窓から見える景色を堪能しながら、居心地のよい空間で仕事に取り組むことができます。
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オフィスデザインにおいて、カラーコーディネートは従業員の作業効率や居心地のよさを上げるだけでなく、アイデンティティを伝えるための要素にもなります。一般的には、空間に使う色数は3色ほどにしたバランスが推奨されるかもしれません。しかし、今回ご紹介したオフィスのように、カラフルに複数の色を取り入れることで、よりブランドの魅力を高める効果を出すことも可能です。ブランディングの一つとして、カラーコーディネートを取り入れてみてください。