近年、オフィスのカフェスペースは、従業員の心身の健康維持とワークライフバランスの向上に大きな効果をもたらすとして注目を集めています。リフレッシュや休憩の場としてだけではなく、部署間の活発なコミュニケーションを促進し、新しいアイデアを生み出す創造的な場としても機能してくれるでしょう。従業員満足度の向上にもつながることから、多くの企業がオフィスへの導入を進めています。
そこで本記事では、オフィスカフェスペースのメリットと具体的なプランニング方法を解説します。WORK KITが手がけた、実際のカフェスペース導入事例も紹介しますので、理想的な空間づくりのイメージを具体的に掴めます。オフィスへのカフェスペース導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
オフィスカフェスペースが企業にもたらす価値について、3つのポイントを詳しく紹介します。これらの価値は、現代のワークプレイス改革において重要な役割を果たしています。
リラックススペースを設けることで、従業員のメンタルヘルスの向上とストレス軽減が期待できます。落ち着いた雰囲気での休憩は、心身のリフレッシュを促し、集中力の回復にも効果的です。さらに、適切な休憩時間を確保することで、長時間労働を抑制し、業務効率を向上にもつながるでしょう。
ウォーターサーバーやコーヒーメーカー、自動販売機などの充実した設備を整備すると、従業員が快適に過ごせる環境を実現できます。また、季節に応じた飲み物の提供や、健康に配慮したスナック菓子、栄養バランスの取れた軽食メニューなども、社員から高い評価を得られるサービスの一つです。昼食時以外にも気軽に利用できる飲食スペースを提供することで、適度な休憩時間をとるきっかけになります。
快適なオフィス環境は、就職活動中の人が会社を選ぶときの大切なポイントの一つです。カフェスペースがあることで、「この会社は社員を大切にしている」という印象を与えることができるのではないでしょうか。また、会社見学に来た就活生や求職者が実際にカフェスペースを見ることで、「ここは働きやすそうだな」と感じるきっかけにもなります。
オフィスのカフェスペース導入を成功させるための4つのステップを紹介します。
カフェスペースの設置を成功させるためには、まず適切な場所の選定と空間設計が重要です。オフィス全体のレイアウトを考慮しながら適切な広さと配置を決定し、社員が利用しやすい動線を確保しましょう。また、周囲の執務スペースへの影響を考慮し、会話音や飲食の匂いが仕事の妨げにならないよう配慮することも大切です。さらに、自然光や間接照明を効果的に活用することで、リラックスできる雰囲気を演出することができます。
カフェスペース導入にあたっては、慎重な費用計画が必要です。まず初期費用として、次のような費用が発生します。
さらに運営するにあたり、以下のランニングコストも見込んでおきましょう。ランニングコストは、継続的にかかる費用です。長期的な運用が可能かどうかもしっかり把握しておく必要があります。
●維持管理費:清掃費、設備点検費
●消耗品費:コーヒー豆、紙コップ、洗剤など
●光熱費:電気代、水道代、ガス代
●設備修理費
実際の予算規模は、企業の規模や導入目的、利用人数、提供するサービスの内容などによって大きく異なります。オフィス設計の専門家に相談し、適切な予算計画を立ててみてください。
多目的な利用を想定した柔軟なレイアウトを計画することが重要です。カフェスペースとして、次のようなシーン・エリア設定ができます。用意できる広さや用途、予算に合わせて、適切なエリアを設けてみてください。
●1人での利用スペース(カウンター席や個人ブース):集中作業や短時間の休憩に適した、プライバシーに配慮した静かな環境。
●少人数での打ち合わせスペース(4~6人掛けテーブル):インフォーマルな打ち合わせやランチミーティングに最適な、適度な距離感のある空間
●グループ利用スペース(大テーブルやソファ席):部署間のコミュニケーションや創造的な議論を促進する、開放的で自由度の高い環境
快適なカフェスペースに必要な設備を、用途に応じて選定します。カフェスペースに必要な家具・設備をピックアップしますので、参考にしてみてください。また、選定の際には、耐久性やメンテナンス、管理のしやすさも考慮しましょう。
●飲食関連設備
・コーヒーマシン
・給湯設備
・ウォーターサーバー
・冷蔵庫
・食器類
・紙コップやマドラーなどの消耗品
・菓子・軽食の販売サービス
●家具・設備
・テーブル・チェア
・ソファ
・個人ブース
・照明器具
・音響設備
・空気清浄機
・パーテーション
・観葉植物・フェイクグリーン
カフェスペース導入の成功には、企画から承認、実施までの確実な実務プロセスが重要です。ここでは、カフェスペースの導入プロジェクトを進める上で必要な6つの実務的なポイントを解説します。
カフェスペースを設ける広さの余裕はあるか、従業員が業務に集中できるスペースは確保できるか、現在の各エリアの使われ方はどうなっているかなど、現状をしっかり確認します。また、従業員が実際にどのような働き方をしているか、休憩の取り方はどうかなども把握して、カフェスペースの場所や広さを考えていきます。また、各部署の仕事の特徴や、コミュニケーションで困っていることはないかなども確認して、より効果的なカフェスペースの計画を立てましょう。
カフェスペースを作るためには、内装工事や家具、設備の購入費用に加えて、電気代や消耗品、清掃費用などの運営費用も必要になります。また、従業員の満足度や仕事の効率がどの程度向上するのかも考えて、投資する価値があるかどうかを判断します。これらの情報は、次のステップで会社の承認を得る際の大切な資料になるでしょう。
まずは経営陣に向けた提案資料を作り、予算の申請を行います。その後、施設管理部門や人事部門と相談しながら、働く環境への影響についても確認してみてください。従業員の意見も聞きながら、使い方のルールなども決めていきましょう。各部署からの意見や要望もしっかり取り入れることで、みんなが使いやすいカフェスペースを作ることができます。
カフェスペースを作るまでの具体的な予定を立てていきましょう。設計・工事・家具の搬入設置、使い始めるまでの流れを細かく決めます。工事中は普段の仕事に支障が出ないよう、少しずつ進めていく計画を立ててみてください。また、従業員への説明時間も必要です。最初は試験的に使ってもらい、意見を聞きながら必要な調整をしていきましょう。
想定されるリスクを特定し、その対策を事前に準備します。例えば、工事遅延・予算超過・利用者の混雑による業務効率低下・設備トラブルなどのリスクを洗い出し、それぞれに対する具体的な対応策や代替案を用意します。また、定期的なリスク評価を行い、必要に応じて計画を修正できる体制を整えておくとよいでしょう。
日常的な管理・運営を担当する部署や担当者の選定、清掃・メンテナンス業者との契約、消耗品の発注・在庫管理体制の構築など、継続的な運営に必要な体制を整備しておきます。また、利用状況のモニタリングや満足度調査の実施方法、改善提案の収集・実施プロセスなども作り、継続的な改善を可能にする運営体制を整えることが重要です。
実際のカフェスペース運営では、空間づくりから日々の管理まで、具体的な実践ノウハウが必要です。ここでは、快適な空間づくりと効果的な運用のための8つの実践的なポイントを紹介します。
カフェスペースは、部署間の交流を活性化させる要素の一つです。向かい合って座れる円形テーブルや、気軽に立ち話ができるカウンター席を設置することで、自然なコミュニケーションが生まれやすい環境を作れます。
円滑なコミュニケーションと居心地のよい空間を実現するために、開かれた雰囲気にします。例えば、高い仕切りを避け、視線が通りやすい低めのパーテーションを採用してみてください。また、明るい色調の内装材を使用し、自然光を取り入れると開放的な雰囲気を演出できます。
リラックス空間としてだけでなく、ワークショップや勉強会など、さまざまなシーンで活用できるようにフレキシブルな空間にしてみてください。例えば、可動式の家具を使い、状況に応じてレイアウトを変更できるようにするのもおすすめです。また、2〜6人程度で気軽に集まれる小規模なミーティングスペースを分散配置することで、ブレインストーミングや簡易的な打ち合わせも気軽に行えます。
自然光を効果的に取り入れた明るい空間づくりを行い、時間帯や用途に応じて適切な照明計画を立てます。また、快適な音環境を実現するために適切なBGMと遮音性能を確保し、最適な温度・湿度・換気の管理も徹底し、快適な環境づくりを行ってください。
カウンター席やソファ席、小テーブルなど、様々なタイプの家具をバランスよく配置することで、用途に応じた快適な空間になります。また、観葉植物やアートであたたかみのある雰囲気を演出し、リラックスできる環境づくりを心がけましょう。
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日常的な管理運営も、居心地のよいカフェスペースの維持に重要です。清掃スケジュールや担当者を決め、消耗品の在庫管理システムをしっかり設けることが重要です。また、設備機器の定期的なメンテナンス計画を立てて予算管理も行いましょう。明確な利用ルール設定、社内への周知徹底も必要です。
飲食設備は定期的な清掃・点検を徹底し、食品衛生管理基準を守れるように管理しましょう。また、各設備の使用方法や注意事項をしっかり表示し、利用者全員が適切に利用できるようにします。コーヒーマシンやウォーターサーバーなどの飲料提供設備については、日常的なメンテナンスと清掃を実施し、快適な利用環境を維持できるようにしてください。
利用状況のモニタリングや利用者アンケートを行い、使いやすいカフェスペースをブラッシュアップさせることも必要です。利用者のフィードバックを積極的に取り入れて、より価値の高い空間になるようにしてみてください。
WORK KITでは、様々な企業のオフィスカフェスペースも手がけてきました。ここでは、特徴的な5つの事例をご紹介します。それぞれのプロジェクトで、企業の文化やニーズに合わせた独自の空間づくりを実現しています。
エネルエックス・ジャパン様
ワークスペースとは一線を画した空間デザインで、リビングのような居心地の良さを追求したカフェスペースを実現しました。デザインの異なるパーソナルソファや大きなダイニングテーブルを効果的に配置し、自宅でくつろぐようなリラックスできる雰囲気です。このエリアの床には木製フローリングを敷き、木のぬくもりを感じられる開放的で明るい空間になっています。
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CellMark Japan様
スウェーデンの伝統的なコーヒーブレイク「Fika」の文化を取り入れた、洗練された北欧スタイルのカフェスペースを実現しました。執務エリアとシームレスにつながりながらも、床材を切り替えて気持ちの切り替えができるようになっています。北欧テイストのインテリアで、あたたかみのある素材とカラーコーディネートを取り入れた居心地のよい空間です。休憩スペースとしてだけでなく、従業員同士の自然なコミュニケーションを促進する場としても活用できます。
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株式会社NTTデータ様
「River & Bay」のコンセプトを体現した魅力的なカフェラウンジです。海辺のリゾートをイメージしたデザインをオフィス全体に取り入れ、ネイビーカラーと木素材を効果的に組み合わせることで、「海に漂う船」を思わせる洗練された雰囲気を演出しています。集中ブースやオープンMTGスペースとゆるやかにつながりながらも、適度な仕切りによってリラックスできる空間を実現しました。
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株式会社カラミノフーズ様
食を通じたコミュニケーションを促進する、魅力的なオープンキッチンスペースです。ゆるやかにカーブするL字型のオープンキッチンを中心に、清潔感のある白とあたたかみのある木製家具を組み合わせたデザインが特徴です。キッチンスペースとワークスペースが自然に調和し、社員同士が自然に交流を図れる空間となっています。食品関連企業ならではの、人と食を繋ぐブランド価値を体現したカフェスペースを実現しました。
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株式会社アトラエ様
多目的な交流を促進する魅力的なビッグカウンターを中心としたワークラウンジ空間です。来客との打ち合わせから社内の食事会、外部向けイベントまで、幅広い用途に対応できる柔軟なスペースとなっています。シックなカラーコーディネートで落ち着きのある印象を生み出し、上質でありながら居心地の良い空間を実現しました。
→事例の詳細はコチラ
オフィスのカフェスペースは、企業の成長と従業員の働きがいを支える重要な施設です。社員の健康維持やコミュニケーションの活性化など、具体的なメリットが豊富にあります。また、企業価値を高め、採用市場での競争力向上にも貢献してくれるでしょう。
予算や運営体制など検討すべき項目はありますが、本記事で解説した実践ポイントに沿って準備を進めることで、スムーズな導入が可能です。まずは小規模なスペースから始めて、徐々に拡大していくアプローチも効果的です。ぜひ、次のステップとして具体的に導入を検討してみてください。