多様な働き方が求められるようになったと同時に、オフィスデザインが発展していく中で受付や個室を仕切るための壁が、今や社内外への印象をもたらす重要な存在と役割が変化してきました。WORK KITでは素材や施工方法に工夫することはもちろん、オリジナルを生み出すためにウォールアートやグリーンを取り入れる事例も多くなってきました。デザインで表情を造ることによって日頃から目にするオフィスも違った視点に感じることができるかもしれません。オフィスの壁はどんなものがあって、どのような印象や役割を果たしているのか、オフィスデザイン事例をもとにご紹介いたします。
モルタル調に見えるオフィスの壁面ははすべて「エイジング塗装」を施しています。「エイジング塗装」とは、時間の経過とともに変化したような質感を塗装で表現する技法で、ヴィンテージライクな風合いを醸し出すことができます。何度も調整し理想の仕上がりを追求しました。ダークトーンのソリッドな空間に無骨な壁面塗装が奥深さを与えるオフィスデザインに仕上がりました。
こちらは版築仕上げによる”地層”をイメージした壁で、印象的なエントランスを演出し、来訪者をお出迎えします。版築仕上げは一般的なコンクリート壁に比べ、柔らかい表情を持っているため版築にしか出せない風合いや素朴な土の味わいが特徴的です。ipad台の意匠もあわせることで、エントランススペースのトータルコーディネートを整えました。
造作ベンチのある広々としたエントランスの壁には「MARMORINO KS」を使用しました。ペンダントライトや自然光が壁に当たると、空間をより柔らかく演出してくれます。特徴的な艶のない左官仕上げはシンプルでありながらも、意匠性が高くエントランス全体が上品に仕上がりました。
エントランスの壁には、厳選された天然大理石を砕いて塗装した「CITTA(シィッタ)」を使用。「CITTA」はイタリア語で「街(CITY)」を意味し、ヨーロッパの町を構成する大理石のイメージからきています。天然大理石骨材の持つ独自の質感が、人工顔料では表現できない自然な風合いで洗練されたオフィスを表現します。
ワークスペースとオープンラウンジの間にある可動式の間仕切り壁。普段のオープンラウンジは打ち合わせやランチ・リフレッシュなど自席から離れて自由に活用されています。2つの空間は通常オープンフロアとして繋がった状態ですが、社内外のイベントやセミナーなど多目的利用がある場合には、壁を閉じて空間を別々にすることができます。状況に合わせて変化するフレキシブルな空間となっています。
ビルの円形部分と合わせた会議室のシンボリックなR壁。社名からイメージした船や海で、船体のようなデザインをR壁にも落とし込みました。ざらざらとした凹凸感のある特殊塗装と深いブルーを重ね合わせ、表情のある壁で、同時に手触りも楽しめます。また、通路側にある船舶風照明がアクセントとなっています。
空間を仕切るための間仕切り壁にデザインされたグラフィック。陸上競技の特徴的な動きを大小さまざまなドットで表現しています。ここは記者会見やイベントなどにも使用されるため、分かりやすいグラフィックが来訪者にもデザインコンセプトを共有できる空間が実現しました。
ダークトーンのクロスで統一しつつ、ヴィンテージ感を演出。あえてクロスの幅を不規則かつバラバラにすることで、変化をつけ味わいが生まれます。施工時間はかかりますが、空間をより良く見せるデザインのひとつでもあります。
立体のグリーンウォールは、緑の濃淡を利用してグラフィックアートのように表現。奥行きを感じさせるグリーンウォールがアクセントになり、落ち着いたオフィス空間を演出しています。
オフィスラウンジには長距離ドライバーの方々が体を動かし、リフレッシュができるようにボルダリングを取り入れました。また不燃古材の壁でアクセントを加え、居心地の良い空間に仕上げました。
執務室や会議室に黄色で塗装された壁がオフィスに大きなインパクトを与えてくれます。黄色は気持ちに活力を与えてくれる色だけに社内の活性化や発想が生まれやすくなるような演出をしてくれます。黄色といっても単色ではなく、濃淡のムラ感を作ることでポップにはならない落ち着いたものに仕上げているところがポイントです。
オフィスの会議室一面にサーファーであり、プロの写真家Kuni Takanamiさんの撮った長く続く波の写真を取り入れました。イベント以外の時にデフォルトで日々映し出される波の映像とリンクしていることもあって、来訪者には企業カルチャーの印象をもたらす壁面となり、クールな印象のオフィスラウンジの中で一際インパクトを与える壁となりました。
受付正面にはメンバーの笑顔の写真が壁面に展開されています。この壁は来訪者へ向けて企業としての姿勢や想いを感じる印象を与えてくれます。また日々ここを通るメンバーにも改めて組織としての強みを感じるような壁となり、言葉を入れなくても社内外にメッセージを発信するウォールとしての役割を持った壁となりました。
石材や無垢材で構成された壁面は、質感の際立つデザイン性の高い空間となりました。石材をメインに使うことでスタイリッシュな印象を持たせ、さらに無垢材にツヤ加工をしたことによって、木素材を使っても全体としてカジュアルになり過ぎないようにバランスを整えています。
壁面に凹凸を作り、プロジェクションマッピングができる壁。自社で制作する映像技術が空間に与える影響はインパクトがあり、見る人を魅了します。中高生の集まるスクールで活用していることから楽しめる壁であることはもちろん、技術を再現し体感できる壁面となりました。
オフィスの受付から通路へ続く白い壁面にランダムな直線ラインを走らせ、シンプルながらも動きのある壁となりました。ガラス面に貼られたスカイブルーのシートから日が差し込むことで、空間全体として清潔で爽やかな印象を与えます。シンプルな空間にはこのようなさりげない工夫が大きな印象をもたらします。
ワークスペースの壁面にオフィスのデザインコンセプトとなる“道”をグラフィックシートで表現し、床も同様のグラフィックデザインで壁面へのつながりを持たせたことで大きな広がりを印象付ける空間となりました。タイルや木などの素材を使わなくても十分すぎるほどの空間ポテンシャルを引き出す空間となりました。
オフィス内にあるイノベーションスペースの壁には電話を発明したグラハム・ベルの手書きのイラストが! これはスマートホンの技術開発を行うチームへのメッセージ。この空間で生まれるアイデアが世の中を魅了するサービスへと繋がるという意味合いを込めた作品。手書きであることがこのメッセージをより強く伝えてくれます。
ビルの内装規制が厳しい場合、如何にデザインで工夫を出すかが重要になってきます。従来のオフィス間仕切りではなく、デザインを取り入れた造作の間仕切りでオフィスに個性を生み出します。可動式のグリーンウォールは位置を変えることはもちろん癒しの効果も与えてくれます。