昨今『テレワーク』という言葉を耳にする機会が増えました。この記事を読んで下さる皆さまの中にも「テレワークをしています!」という方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。しかしながら、完全に出社をしない形式の働き方には限界があると言われていることも実情です。そこで大切になってくることが、『テレワークとオフィス業務の関わり方』です。
この記事では、日本よりも先進的にテレワークが浸透している海外にも目を向け、空間デザインが及ぼす影響についても触れながら解説していきます。
まずはじめに、テレワークという言葉の定義をおさらいした上で、推進する理由から実際の普及率までみていきましょう。
『テレワーク』とは、情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。「tele=離れた場所」と「work=働く」をあわせた造語になっています。
(引用:一般社団法人 日本テレワーク協会より)
《社会全体からの視点》
1.働き方改革
2.労働力人口の確保(少子高齢化及び人口減少を受けて)
3.生産性の向上
4.地方創生
《企業側からの視点》
5.非常時の業務継続
6.人材の確保・離職防止
7.環境負荷の軽減・オフィスコスト削減
8.生産性の向上
《労働者側からの視点》
9.ワークライフバランスの実現
10.通勤時間の削減
このようにテレワークを推進する10個の理由は、総務省によって明確に掲げられています。労働者の負担を削減するだけではなく、社会全体・企業側からみても様々な推進目的があることが分かります。
さて、ここからは海外にも目を向けてみましょう。日本の厚生労働省が調査した2018年のテレワーク導入率の結果です。アメリカ85%・イギリス38.2%・ドイツ21.9%・フランス14%・日本19.1%となっており、特にアメリカの導入率の高さには驚きます。4年前の調査でこれだけの数字ですので、コロナ禍を経て各国のテレワークの導入率はさらに向上していると考えられます。
※米国:Survey on workplace flexibility 2015, WorldatWork
英国・ドイツ・フランス:European Company Survey on Reconciliation of Work and Family Life 2010
日本:総務省「平成30(2018)年通信利用動向調査」(従業員数100人以上の企業)
しかし、そんなアメリカでもテレワークのみの業務形態とすることは難しく、テレワークとオフィス業務を組み合わせた『ハイブリット型』の働き方を採用している企業が多いようです。
なぜ、テレワークのみの業務形態とすることが難しく『ハイブリット型』の業務形態が求められているのか。テレワークそのもののメリット・デメリットをみて考えていきます。
このように様々なメリット・デメリットが挙げられるため、社会全体としてテレワークとオフィス業務を組み合わせた『ハイブリット型』の働き方を推進していく必要があることが分かりました。特にコミュニケーション不足や公私の区別については、オフィス勤務の重要性を感じますよね。
それでは、早速『ハイブリット型』の業務形態を推進している企業の代表とも言える、Googleのオフィスデザインをみていきます。
Googleは、2022年4月4日から週3日のオフィス業務と週2日のテレワークを組み合わせた『ハイブリット型』の業務を開始しました。Googleは「イノベーションが生まれる職場環境を目指している」と公式HPにて述べています。また、イノベーションとは従業員同士がリスクを恐れずにコミュニケーションを取り合い、新たなアイデアに挑戦することだ。とも公言しています。そんなGoogleが工夫を凝らした空間デザインの特徴として以下のことが挙げられます。
Googleのオフィス内には、あらゆるところに椅子やテーブル、クッションといったファニチャーが置かれています。社員の休憩やリフレッシュする場として活用することはもちろん、それらの場をオープンなワークステーションとして捉えることも可能です。社員同士のコミュニケーションに重きを置いているGoogleらしい空間デザインと言えます。
スタンディングデスクとは「立ちながら仕事をする」ためのデスクのことを指します。立って仕事をすることで、運動不足の改善や血流がよくなることによる眠気の防止、腰や背中への負担の軽減を図ることが可能です。北欧で普及したことがきっかけとなり、昨今では日本や北米にも広がりを見せています。新しいデザインや試みをすぐに導入するといった点でも、さすが天下のGoogleだと感じさせられますよね。
Googleオフィス最大の特徴とも言えるのではないでしょうか。遊び心や自由な発想を促すための仕掛けとして、Googleオフィスには様々な施設が設置されています。バスケットボールコートやボルダリングや滑り台、ビーチバレーコートまで。一見、仕事とは関係のないように思える空間ですが、これこそが「イノベーションが生まれる職場環境」なのだと思います。職場を楽しい空間だと感じることで、リラックスした脳みそとなり、これまで以上に斬新な発想を生み出しているのです。
先ほど、テレワークのデメリットとして挙げられていた「コミュニケーション不足」についてですが、週に数回のオフィス勤務で補うことが『ハイブリット型』の働き方にはとても重要です。Googleのように「空間デザインを通して、コミュニケーションを促す」ということがこれからのオフィスデザインには求められていきそうです。
ここまで『ハイブリット型』の働き方や現代に求められるオフィス空間のデザインについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
時代の流れとともに働き方は大きな変化を見せています。コロナ禍を経て、さてこれからどうしていくか。という過渡期でもあります。働き方が変われば当然、オフィス空間やデザインに求められる機能も変化していきます。この機会に今一度、テレワークやハイブリッド型の働き方が浸透している海外の工夫に目を向けてみてはいかがでしょうか。
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