オフィスの新設や移転時には、多くのコストがかかります。例えば、テナントの賃貸料や引っ越し代、設備・内装の工事費などが挙げられます。さらに、仕事を行うためには、デスクやチェアをはじめとした家具や什器が必要です。
できるだけ初期費用を抑えて、家具・什器を用意したいと考える経営者も多いのではないでしょうか。そのような場合の選択肢の一つに、オフィス家具のリースがあります。本記事では、オフィス家具のリースとはどのようなサービスか、メリット・デメリットを詳しくご紹介します。
オフィス家具をそろえるには、新規購入・移設・中古品購入あるいは、賃借などの方法があります。賃借とは費用を払って借りることを言いますが、オフィス家具はリース・レンタル・サブスクなどで借りることが可能です。
リースとは、商品を分割で支払い借りるシステムです。原則的に契約期間後に、商品を返却しなければなりませんが、継続して借りるまたは購入可能なケースがあります。希望する商品をリース会社が新たに購入するため、受注生産品を含めて新品を借りられます。途中解約ができず、仮に途中でリースを終了する場合は違約金が発生します。中長期間の利用に適しており、場合によっては新規購入のほうがトータルコストを抑えられる可能性もあるため、先の見通しを考える必要があるでしょう。
レンタルは、レンタル会社が所有している商品を借りるサービスです。リースのように、長期間の分割支払いではなく、日単位・月単位で料金が発生します。短いスパンでの契約更新となり、途中解約も可能なケースがほとんどです。原則的に、リース会社が所有している中古品を使いまわすことになります。使う期間が長くなるほど料金が加算されていくため、短期利用に適しています。
サブスクリプション(通称サブスク)もよく耳にします。サブスクとは、月額・年額など定額料金で一定期間、商品・サービスを利用できる仕組みです。リース・レンタルと似ていますが、サブスクは定額料金で一定期間自由にサービスを利用できるのに対して、レンタル・リースは料金を支払い特定のものを一時的に借りる点が違いの一つです。提供している会社によってサービス内容は異なりますが、期間内であれば自由に商品を変えられるケースもあります。
実際にオフィス家具をリースすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、6つのメリットを詳しく解説します。
オフィスの規模に関わらず、新たに家具を購入すると費用がかかります。分割で支払えるリースは、初期費用を抑えられます。契約期間中に支払う総額は、新規購入に比べると割高になるかもしれません。しかし、はじめに十分な家具や設備を用意できるため、満足なオフィス環境を整えられます。また、初期費用を抑えることで、事業のほかのことに費用を充てることも可能です。とくに、スタートアップ企業にとって、初期費用を抑えられるのは大きなメリットなのではないでしょうか。
中古品を借りるレンタルと異なり、リースは基本的に新しい物を借りるシステムです。機能性・デザイン性が高く、トレンドを抑えた家具をリースできます。また、リース会社によっては、デスク・チェアのような家具だけでなく、棚・収納・ロッカー・ホワイドボードなどの備品や什器も借りられます。サイズや種類をオフィスに合わせて選択でき、コーポレートカラーを取り入れる、間取りに合わせた壁面収納を用意するなど、オリジナリティあるオフィス設計が可能です。
複数の人が利用するオフィス家具は故障や汚れがつきやすく、メンテナンスできるかどうか心配かもしれません。リース契約では、動産保険がついているケースがほとんどです。故障した場合のメンテナンス費用を保険から補填してもらえます。また、リース会社がメーカーや修理業者とのやり取りを含めて対応してくれる場合もあり、面倒な家具の維持管理の手間やコストを削減できます。内容によっては、別途費用がかかるケースもあるため、契約時にどこまでメンテナンスのサポートがあるかを確認しておくとよいでしょう。
リース料金は賃借料として経費計上可能です。高額商品の購入は、減価償却をするといった面倒な会計処理が必要ですが、経費として精算できるため会計処理が楽になるでしょう。固定資産税はリース会社負担で、リース料に含まれている点も事務処理負担の軽減につながっています。また、経費計上できるということは、利益から差し引かれる金額となるため、節税にもなります。
多くの場合、リース期間終了後には、継続リース・返却・買い取りが可能です。オフィスは対外的にも、企業の魅力やアイデンティティを伝える場所となります。家具やインテリアにこだわり、理念や企業の雰囲気が伝わるような家具選び、インテリアコーディネートはこれからのオフィスに必須条件の一つと言えます。高級なブランド家具やデザイナーズ家具をリースで借り、リース契約期間後に自社の資産として買い取りができるのは嬉しいポイントなのではないでしょうか。
※注意:リース会社のサービスや契約内容によっては、買い取りができないこともあります。事前に確認してください。
リース契約期間終了後に、リース継続や買い取りをしない場合は返却となります。引き取りはリース会社が手配してくれるため、業者手配や廃棄処分などの手間がかかりません。また、引き取った家具は、メンテナンスをしてリユースされるため廃棄物を減らすことにつながります。リース家具をリユースするシステムは、サステナブルなオフィス環境実現に一役買ってくれます。
メリットも多いリースですが、注意しておきたいポイントもあります。リースのデメリットも把握しておき、事業や自社のスタイルにマッチするかどうかを見極めてみてください。
リース家具の持ち主はあくまでもリース会社であり、自社の所有権は持てません。契約期間が終了した後に継続して使いたい場合でも、改めてリース契約を結ぶか買い取りの手続きを行う必要があります。また、返却時には原状回復が原則となるため、汚れやキズ・故障が発生している場合は補修をしなければなりません。メンテナンスサービスや保証がついていても、長期間の使用による故障は保証の対象外になっていることもあるため、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
長期間利用の場合は、初期費用は抑えられるもののトータルコストが新規購入より高くなる可能性があります。長期的な視点で経済的な安定性を検討し、リースあるいは新規購入のどちらがよいか考えてみてください。将来的にオフィスの移転や増床などを考えているなら、必要になる家具・什器が変わるかもしれません。リース契約期間を調整して、タイミングを合わせるといった工夫をしてもよいでしょう。
リース会社の取り扱いブランド・商品によっては、自社のイメージに合う家具を選択できない可能性があります。また、レンタルは、レンタル会社が所有している商品のなかから選択しなければならないため、より選択肢が狭くなります。どのようなオフィスにしたいかを考えて、求める家具がそろっているリース会社を選んでみてください。
種類や数がたくさん必要になるオフィスの家具や什器。オフィス新設や移転のタイミングでまとめて購入するには、コスト負担が大きくなります。初期費用を抑え、新しい家具を用意できるリースで理想のオフィス空間を作ってみてください。