いつも何気なく通っているオフィスが安全かどうか、気にしたことはありますか。オフィスの規模に関わらず、窃盗や不審者への対策は重要です。凶悪犯罪事件を耳にする機会も多い近年、オフィスの防犯対策もしっかり考える必要があるでしょう。
そこで本記事では、オフィスの防犯対策がなぜ必要なのか、またどのような対策を取るとよいのかを詳しく解説します。安心・安全に働く環境整備に役立ててみてください。
自宅を留守にするときの施錠や防犯対策はしていても、オフィスの安全はあまり気にしていない方も多いのではないでしょうか。しかし、実際はオフィスでの犯罪も増えています。まずは、どのような犯罪が実際に発生しているのかをご紹介します。
令和4年(2022年)の警察庁「警報犯罪」を参照すると、重要窃盗犯の総数は年々減少していることがわかりました。しかし、令和2年(2020年)には、事業所等を対象とした窃盗犯罪の数が住宅を対象とした犯罪数を上回る結果となっています。
令和2年(2022年)に最も窃盗被害が多いとされた「事業所等」のなかでも、どのような場所が狙われやすいのでしょうか。前述の警察庁「警報犯罪」では、内訳も言及されていました。
令和2年のデータを参考にすると、出店荒らし・倉庫荒らしについで「事務所荒らし」が多い結果でした。不特定多数の人が出入りする出店、入口が複数ある倉庫・工場などだけでなく、しっかり施錠管理も行っている事務所の被害が多い点から、オフィスが危険な場所であることがわかります。
事務所での窃盗犯罪が増加していますが、実際に盗まれるものについて考えてみます。まずは、いわゆる「金目の物」が狙われます。近年では、現金を会社に置いているケースは少ないかもしれませんが、場合によっては金庫に現金・通帳・印鑑などを保管しているオフィスもあるでしょう。金庫に入れず、カギのかからないデスクの引き出しに入れている場合もあるかもしれません。まず、このような金目の物が盗まれています。
また、顧客情報・個人情報などの「データ」も盗まれる可能性があります。パソコンや取引先情報が記載されている書類が盗まれると、会社の信用にかかわる重大な問題に発展するため、管理の徹底が必要です。
万が一窃盗犯に出くわしたときには、刃物などを持っており傷つけられる危険性もあります。窃盗犯ではなくても、来訪者とのトラブルから傷害事件が発生するかもしれません。また、敷地内での放火も心配です。このように、不特定多数の人が出入りし、取引先と偽って不審者が侵入する可能性もあるオフィスでは、さまざまな危険が潜んでいる場所を言えます。
オフィスでの窃盗犯罪が増加している理由はさまざまです。しかし、その要因を知ることであらかじめ防げる犯罪があります。ここでは、なぜオフィスが犯罪に巻き込まれやすいのかを詳しく解説します。
オフィスには、従業員だけでなく、取引先・配送業者などのさまざまな人が出入りします。そのため、知らない人がオフィス内にいても「誰かの商談相手かな」「機械の故障に対応してくれている人かな」と思いこみ、不審者の侵入を見過ごしてしまうことがあります。犯罪者もその状況を利用して怪しまれずに建物内に入れることから、オフィスでの犯罪に結びつきやすくなるのです。
営業時間が限られているオフィスは、人がいる時間・いない時間がわかりやすい場所です。不在時を狙った侵入の計画を立てやすい場所のため、窃盗犯に狙われる確率が高くなります。大型連休や夜間など、とくに人がいない時間帯の防犯対策は重要です。場合によっては、給料日・集金日などに現金をオフィスに保管しておく会社もあるかもしれません。決まった日を狙った犯罪も考えられるので注意が必要です。
オフィスが集まるエリアは、休日や夜間の人通りが少なくなる傾向があります。そのため、人の少ない時間帯を狙って犯罪者が浸入する危険性が高まります。
中が見えるオフィスは、不在であることがすぐにわかり狙われやすいと考える方もいるでしょう。しかし、不審者も目立ちやすくなるため、かえって活動をしにくくなるケースもあります。人通りのある道路に面しておらず、中に入ったら外部の人が気づきにくいオフィスは、どの時間帯でも狙われやすくなります。
テナントビルに入っているオフィスは、いくつかの企業にまとめて侵入できることから、犯罪者に狙われやすくなります。自社ビルと異なり、セキュリティ対策がしっかりできていないケースもあります。また、以前の入居者が合いかぎで侵入するといった犯罪が起こる可能性も考えられるため、対策が必要です。
オフィスの安全を守るためには、どのような犯罪がなぜ発生するのかを知ることが大切です。ここまで、オフィスが狙われやすい理由を詳しくお伝えしてきました。それらの要因を取り除き、不審者の侵入を防ぐための適切な防犯対策をしましょう。最後に、具体的にどのような対策を取ればよいのかを解説します。
まずは、出入口の施錠を徹底することが重要です。夜間・休日でオフィスが無人になるときには、必ずすべての扉・窓の施錠を行ってください。近年、テレワーク・リモートワークの普及により、オフィスにいる人が少なくなっているオフィスもあります。犯罪者は、人がいない時間帯をしっかり把握して侵入するため、うっかりカギを閉め忘れることのないように注意してください。最終退出者を記名性にする、スマートロックを利用するなどの対策をするようにしましょう。
防犯カメラは設置してあるだけで抑止力になります。さらに、万が一、不審者の侵入やトラブルが発生したときには、しっかり映像を残すことができます。出入口だけでなく、オフィス内や通路、人の目が届きにくい場所の設置をおすすめします。
施錠していない出入口のほか、ガラス破りも不法侵入の経路になります。ガラス破りを防ぐには、高強度な防犯ガラスを使い侵入までの時間稼ぎをすることが重要です。ガラスの交換ができない場合は、防犯フィルムを貼り強化するだけでも効果があります。また、それらの強化ガラスは地震や不測の事故でガラスが割れたときの飛散防止にもつながります。
休日や早朝・夜間などのオフィス内に人がいない時間帯に人が浸入した際に、警報が鳴るシステムを導入するのも対策の一つです。大掛かりなシステム導入はコストがかかりますが、オフィスの規模に合わせて導入してみてはいかがでしょうか。
狙われやすいオフィスの項目でご紹介したとおり、外から内部が見えにくい場所は犯罪者にとって動きやすい環境となります。人目が気になる場所では侵入自が難しくなり、侵入したとしても不審な行動をしにくいため、はじめから狙われにくくなるでしょう。
書類やパソコン・USBデータなどがデスクや収納内で整理されていないと、万が一オフィスに侵入されたときも紛失に気付きにくくなります。また、パソコンはワイヤーでデスクに固定する、ノートパソコンや書類は帰宅時には鍵のかかる引き出しに収納するなどの対策をしっかりしてください。
オフィスは想像以上に、犯罪が発生しやすい場所です。窃盗・放火などの被害から従業員と企業の大切な情報や物を守らなければいけません。不特定多数の人が出入りし、人のいない時間帯がわかりやすいオフィスでは、施錠管理・防犯カメラの設置など、しっかり防犯対策を行うようにしましょう。