オフィスデザインを考えるときには、デスクレイアウトや作業に適したオフィス家具の選定はとても重要なポイントです。しかし、よりよい空間にするには、もっとも目に入る壁や天井・床などにもこだわるとよいでしょう。
本記事では、オフィスの壁にこだわり企業価値を高める理由を解説します。実際に使われる壁の材料やWORK KITが手掛けた実例もご紹介しますので、オフィスをより素敵な空間にするための参考にしてみてください。
一般的なオフィスの壁と言えば、白い壁紙が貼られていることが多いのではないでしょうか。オフィスのなかでも大きな面積を占める壁は、常に目に入る場所です。日常的に視界に入るので、過ごす人の心理にも影響があります。オフィスデザインでは、デスクレイアウトや家具選定に意識が向きがちですが、居心地のよい空間作りには内装材も重要です。まずは、壁にこだわるとよい理由を考えてみましょう。
無意識化でも常に視界に入り、少なからず気持ちに影響を与えます。適切な色・柄・デザインを取り入れて、集中力を上げる・リラックス効果を高めるなど、働きやすい環境をつくることが可能です。オンオフの気持ちの切り替えができ、業務の効率化・生産性向上につなげられるでしょう。また、調湿・消臭効果のある壁材や遮音性なども意識すれば、より快適で集中できるオフィス空間を生み出せます。
壁にこだわることで生産性向上ができれば、働く人のモチベーションも上がるでしょう。おしゃれで居心地がよい空間は、働く人にとって快適だと感じられるはずです。
しかし、壁が汚れている・壁紙が破れているといった状況は、かえって気分がよくないため注意が必要です。来訪者への印象も悪くなるデメリットも生み出してしまいます。壁は、デザインや雰囲気のよさだけでなく、メンテナンス性についても考慮する必要があります。
また、色による効果も期待できます。たとえば、次のような色を効果的に利用してみてはいかがでしょうか。
●青:集中力を高める効果があると言われています。単純作業をくり返す環境や冷静さが必要な空間に取り入れてみるとよいでしょう。気持ちを切り替えるのにも効果的です。
●緑:リラックス効果があり、穏やかな気持ちをもたらしてくれます。休憩スペースや食堂などの、執務から離れて安らぐための場所に用いてみてください。
●赤:高揚感をもたらし、積極的な気持ちを引き起こす色です。会議室やミーティングスペースに取り入れると、活発な意見交換ができるのではないでしょうか。
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雰囲気のよいオフィス空間でモチベーションが上がれば、従業員もいきいきと働けるでしょう。対外的にも、会社のよい状態が伝わりやすくなります。また、会社の取り扱っている商品・サービスやアイデンティティを体現するような壁にすれば、ブランディング効果も高まります。
たとえば、タイポグラフィやイラストなどを用いたグラフィックデザインで視覚的に訴える、コーポレートカラーを取り入れるなどの方法です。企業サイトや求人サイトで、オフィス内の写真を掲載するときにも、パッと目を引く壁は見る人の注目を集めます。求職者にとっても魅力的に映り、優秀な人材確保につながります。
オフィスの壁には、構造になる壁のほかに「造作壁」と「パーテーション壁」の2種類があります。ここでは、その違いを簡単にご紹介します。
造作壁は、建物の構造とは別で作られた壁です。多くの場合、床から天井まで覆い部屋を区切るためにつくられます。遮音性が高く仕上げの素材が豊富なため、デザイン性が高まります。しかし、施工に大掛かりな工事が必要で、工事期間が長くなるデメリットもあります。また、施工後に壁を動かせないので、可変性の高いエリアには不向きといえるでしょう。
パーテーションは、可動できる間仕切り壁のことです。広い会議室を複数の部屋にわける、フリースペースの一部を間仕切るときなどに使われています。天井や床に固定されているものから、置き型のものまであります。
種類が豊富で使い方に合わせて選びやすく、後から必要になったときに自由に追加できるメリットがあります。アルミ・スチール・ガラスなど、素材が限られていることが多いため自由なデザインはしにくいでしょう。また、遮音性能が低いため、しっかりと音を遮る必要がある場所には適していません。
ここでは、オフィスの壁に使われる素材について解説します。それぞれの素材に特徴があるため、適した場所に使ってみてください。
多くのオフィスで使われている仕上げ材です。シート状になっている壁紙やクロスを壁の下地材の上に貼り付けて施工します。比較的施工が楽で、安価なため使い勝手がよい壁材の1つです。
壁クロスには、主に次の3種類があります。
●ビニールクロス:もっとも一般的で、塩化ビニール樹脂などを原料にしています。色柄が豊富でメンテナンス性も高いため、大勢が利用するオフィスに向いているといえます。
●紙クロス:パルプを原料としており、和紙・洋紙タイプがあります。それぞれ独特な表情を生み出しデザイン性が高いのが特徴です。水拭きができない、汚れ・シミを落としにくいデメリットがあります。
●布クロス:レーヨン・絹・麻などのファブリック素材で作られています。高級感がある仕上がりと表情の豊かさがデザイン性を高めるうえ、通気性に優れています。一方で、ホコリがつきやすい、水拭きができないなどメンテナンス性が低いため使う場所には注意が必要です。
化学塗料から珪藻土・漆喰などの自然由来の塗料まで、さまざまな種類があります。多くの場合、特別な左官技術が必要なため、施工が難しい素材の1つです。また、クロスと比較すると高価なので、オフィス全体ではなくエントランスやアクセントになる部分にのみ使用するケースもあります。
色が豊富なうえに、塗り方次第で豊かな表情を生み出せるため、デザイン性が高い素材です。塗装材のなかには、調湿効果・消臭効果など機能性が高いものもあります。
木のあたたかみを感じられるインテリア空間を作り出せるでしょう。ナチュラルな印象で、経年変化による美しさを楽しめます。比較的カジュアルなテイストになりますが、高級木材やツヤ感のある塗装をされた木材料は、重厚感・高級感が生まれます。そのような素材は、社長室や応接室・エントランスなどにもおすすめです。無垢材や無塗装仕上げの材料は、乾燥で割れることもあるため、注意するようにしてください。
色・柄の種類が多く、高級感のあるインテリアになります。タイルはメンテナンス性が高く、使いやすい素材です。天然石は、衝撃に弱いなどのデメリットはあるものの、さまざまな表情を楽しめます。とくに天然石は高価な材料で、ラグジュアリーな雰囲気を作りたいときにはおすすめの素材です。
数多くのオフィスデザインを手掛けるWORK KITですが、壁にこだわったオフィスもたくさんあります。ここでは、厳選して2つの実例をご紹介します。
エントランスから続く通路には全長約16.5mのアートウォールが設けられ、来訪者を迎えてくれます。企業が掲げる「ハイブリッドキャピタル」への融合・進化をイメージしており、理念を強く打ち出す場所になりました。また、社員が集うワークラウンジには木質パネルの壁には3つのバリューをブラッシュレタリングで描いています。いつでも、企業理念を目にする環境で、社員が一丸となり働けるオフィスです。
→事例の詳細はコチラ
「先進×有機」をコンセプトに掲げて、白を基調にしたオフィス空間です。エントランスのネオンサインや光や見る角度によって表情が変化するダイクロイックフィルムを貼った扉など、先進的なアイテムを積極的に取り入れました。会議室には吸音パネルの「iwasemi™ HX-α」を採用し、デザイン性と機能性を兼ね備えた壁になっています。
→事例の詳細はコチラ
オフィスの壁は、何気なく存在するようで、働く人や来訪者に大きな影響を与える場所です。素材や色・柄にこだわれば、ブランディング力を高めることもできるでしょう。また、集中・リラックスなど、その場にいる人の心理に働きかけることで業務効率を上げることも可能です。家具やレイアウトだけでなく、壁にもこだわり魅力的なオフィスデザインを実現してみてください。