日本国内で主な機能が集中する東京において、最も大きな被害が懸念されている東京直下地震は、2036年までに70%の確率で発生すると言われています。
数々の活断層やプレート境が散在し、世界の地震の2割が発生している日本においてオフィスの震災対策を行うことは、もはや常識ではないでしょうか。
まずは、震災によるオフィスへの影響について知っておきましょう。
地震などの震災が発生すると、上の階ほど揺れたり、揺れが下から上に順次に伝わったり、直接伝わらないオフィスがあります。
オフィスが震災に強いかどうかは、オフィスが立地する地盤の性質や、建物の構造や高さ、耐震補強の実施状況、オフィスがある高さによって異なるのです。
剛構造は躯体全体が硬い構造で、上の階ほど揺れます。
柔構造は躯体全体の柔軟性で揺れを吸収する構造になっており、揺れが下から上に伝わり、免震構造では躯体に伝わる加速度を低減する構造になっているため、地面の揺れは躯体に直接伝わりません。
震災からオフィスを守るためには、建物の耐震性の確保も重要ですが、オフィス内装も震災対策をする必要があります。
例えば、避難口、出入り口付近に転倒や移動する物を置かない、窓ガラスのそばには背の高い家具を配置しない、ローバーティションは長く、直線配置しない、オフィス中央に背の高い家具を独立させないなどの工夫をしなければなりません。
震災時は、従業員の安全の保持、顧客や自社の災害リスクを軽減することは、企業の責任でもあります。
オフィス内装の震災対策をしていなければ、家具の転倒、落下、移動による被害を受けるでしょう。
震災は予測することが困難です。
オフィス内装も震災対策をして、できるだけ怪我人を出さない努力をしましょう。
震災対策をしている企業は、まだ多くありません。
オフィス移転の際や、オフィス内装の変更を検討している企業は、これを機に震災に備えた安全なオフィスづくりをしてみてはいかがでしょうか。
オフィス内装の震災対策として、まずは、執務室内の収納家具を工夫しましょう。
できるだけ背の低いものを選び、避難路に物が散乱しないよう、ラッチ機能やロック機能つきのものを選びましょう。
テーブルやデスクは、揺れが収まるまで身を隠せるような丈夫なものを選び、デスクが移動しないよう、床に簡単に固定できるものを選びましょう。
大型収納家具やコピー機、金庫周辺は、収納スペースと執務スペースを区別して配置し、収納家具は転倒防止対策をします。
コピー機はアジェスターを使用し、キャスターは必ずロックしておいてください。
ベルトなどで壁に連結しておくと、より震災対策として良いでしょう。
ローパーティションには、倒れにくいレイアウトにし、移動しないように床に固定します。
ビジネスキッチンは、食器やポットが散乱しないように専用収納庫を使用しましょう。
キャスター付きの家具があれば、常にストッパーをかけておきます。
ミーティングスペースでは、震災時に休息できるスペースとなるように可変性のあるテーブルや椅子を選びましょう。
ガラスには、飛散防止フィルムを使用するか、強化ガラスを選びます。
会議室は、転倒防止策をし、物が散乱しないようにしましょう。
また、混乱時を想定した動線の確保や、通路を広めにしておくこともポイントです。
防災用具は、取り出しやすい場所に配置、保管してください。
特に、懐中電灯や救急箱、水などは保存食の保管場所と分けて身の回りにおいておくといいでしょう。
避難経路はシンプルにします。
また、避難経路周辺には転倒や落下、移動の可能性がある物を置かないようにしてください。
ロビーは、震災時に一時避難場所を想定した広さを確保する必要があり、家具を置く場合は、多目的に利用できるものを選びましょう。